「性格変わったよね、なんかこう…良い性格っていうか」
「褒められてるのか貶されてるのかわからないな」
「まーまー、少なくとも前よりはいいってこと！」

悪友のような刀はそう言って笑った。
俺はただ目を逸らした。

寝られない。寝ようと思えば寝られるが、寝る気がしない。
はぁ、こういう時に話せるやつなんて居る訳がだろう。居たらそいつと話してる。
そもそも、本丸の話はしても俺の話は滅多にしない。写しのことなんかどうだっていいだろ、それよりも本歌のことだ。
あいつはまた馬鹿やっているらしい。今も起きてるんだろうな、早く寝ろとあれほど言ってるのに。
…寝てない俺に言われてもきっと困るだろうな。
もう寝る。無理矢理にでも寝る。

#本丸に戻れない、主もいない。
#ただ手紙が届くのを待ちたいだけなんだがな。

気が向いたら書く、それくらいの頻度が俺にはお似合いだ。どうせ写しの日記なんか誰も見ない。
それに、話すこともあまりない。

今日は聞いた話によると本歌が主のくろっくす、とやらを踏んで滑って転けたらしい。羞恥心からその場から逃げたと。
……突然手合わせしろと言ってきては怒りをそのままぶつけるかの様な単純且つ重みのある太刀筋だったのは、そういうことなのか。
てっきり写しが嫌になったのかと思った、そも俺なんか嫌なんだろうが。
俺だって山姥を切ったのは俺じゃない、俺は写しだと言ってきた。こんな目に遭うなんてな、俺が写しだからか？

明日はもっと本歌と、穏やかに話せたらと思う。

てんぷれいと

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飛び起きた午前九時
驚きと安堵から始まる一振りの朝

1PL／虚実混合／所謂雑記
本文検索避け無し／閲覧自己責任
形板