本丸に降りたって四年と数百日、本を手に取って一年が過ぎた。
相変わらず本歌は綺麗で、愛しげに緩く瞳が細められるのが、一等好きかも、しれない。
ここ数ヶ月、眠気に襲われて、やれ冬眠だのやれ動物らしいだの言われたが俺は写しだ。山へ修行に行き、薄汚れた布を被ってるからと言って言いたい放題言われてしまった。これも俺が写しだからか……。

謹賀新年
今年も本歌と共に過ごせるように。

師走と俺と主と本歌。落ち着いてゆったりと過ごす主が険しい顔で廊下を足早に行き来する月。
あんたは今日も元気なんだろうか、最近文のやり取りをしてくれるやつが来た。まだ友刃と呼べるほど親しくはないが、…それでも心地いい。本歌にもそういう人がいればいい。

……あげてしまった。

相変わらず変わりはない、が新しい視点から物事を見ることが出来たかもしれない。これも本歌のお陰だ、ありがとう。どうか元気で。たくさん世話になった分何も返せていないが、あんたの旅立ちを誰よりも祝福して見送ることで少しでも返せたなら嬉しい。
もうこの季節になると寒いな、本歌も凍えてないといいが。

生きてはいる。近侍に任命されている現在、多忙だ。
見ているか分からないが、友刃へ宛てて。