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スレ一覧
┗1640.剥製.【保存】(50-54/73)

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54 :一_文_字_則_宗(刀_剣_乱_舞)
2022/01/23(日) 21:48



1/21書簡箱より:野生の鶴永へ(折りたたみ)
野生と記しはしたが、果たして本当に野生なのかと思いつつ筆を執っている。こういう畏まったものは帳面の顔か山毛辺りに頼めばよかろうに。まぁ僕で許せ。いやなに、お前さんの便りが単純に嬉しかったんでな。閑古鳥の巣になりかけていた書簡箱に、ひらりと舞い込んだ白い鶴の美しさときたらそれは見事だろう。実に良い驚きをもらった。僕の、いや、僕らの取り留めのない言葉がお前さんの興なり心なりを惹けたのなら冥利に尽きるというものだ。うはははは。素直にふぁんだと言われたら嬉しいものよ。気味が悪いなどと思うはずもない。間違っても万人受けする帳面ではないうえに好き勝手に綴っているものを読んでくれているとはなぁ。また気が向いた時にでも覗いてやってくれ。練習なぞしなくても十分にその気持ちは伝わったぞ。ありがとう。返信は不要とあったが、お前さんの言葉を借りるなら『こんな世界』だからな。僕も伝えておこう。
お前さんにも良い驚きと良い時間がたくさん降り注ぐように願っている。



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53 :小_林_多_喜_二(文_豪_と_錬_金_術_師)
2022/01/23(日) 21:45



何かを変えたいと願い、動いた先でどん底に叩き落とされる。昔から変わらないんだ、この国は。それでも俺たちは出来ることをやるだけ。
世界は残酷だと嘆く人たちは、世界に何を期待しているんだろう。他者に裏切られたと嘆く人たちは、結局は見返りを求めていたのか。損得の勘定で回るのは経済だけじゃなく、人間関係もなのか。少なからず打算は働いたとしてもそれが全てだなんて思いたくはない。



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52 :Arthur Kirkland(A_xi_s Po_we_rs ヘ_タリ_ア)
2022/01/23(日) 21:45



業が深ければ欲も深い。わかりきった嘘で固めて砂の城を作り出す。浅く揺れる波打ち際で、この砂上の楼閣が崩れることを今か今かと待っていた。


寄せては返す。押し流して連れて行く。緩やかに見せてその実引力が働いているかのように強く引き寄せられる。
何百年も昔、七つの海を一つの船で駆け抜けた時代があった。水平線の彼方に何があるのかを想像し、未開の地に降り立つ時には宝探しをする子どもと同じ気持ちだった。踏み込まれる側にとっては野蛮なやり方に見えただろう。実際、そう言われたら否定できないこともしてきた。国としての力をつけることに必死で、遅れを取る訳にはいかなかったからだ。結果として世界に名を轟かせるに至った訳で、小国の寄せ集めでできた一つの島国が現代にも生き延びる礎ともなっている。……それを栄光と呼べるのは俺たちだけだったとしても、後悔なんてしていない。国の意思は民の意思なら後悔のしようがない。ただ、過ぎ去っていったものたちを時折思い出して、懐かしんだり、哀しんだり、愛おしがったりする……ああ、また懐古趣味だと笑われそうだ。けどな、雨が降る日はどうしても昔を思い出すんだ。頭が痛くなるほどに。


雨に愛された国。雨の国。
ンドンといえば雨といわれるほど、天気が悪いイメージを持たれているらしい。雨がよく降るからキミの性格はそんなにジメジメしているのかい、なんて言った坊やがいたが、うるせぇよ。お前だってテキサスよくぶっ飛ばしてるから落ち着きないんだろ!



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51 :大_般_若_長_光(刀_剣_乱_舞)
2022/01/21(金) 10:33



「どこへ行こうか」
「遠く、遠くに」
なあ、せっかく逃避行をしているんだ、笑ってくれないか。そんな軽口も憚られるほどに疲労が滲む声を聞いてしまったら黙る外ない。いつもは出てくる冗談も困ったことに何も機能しないまま彼女の冷えた指先を握って歩いている。
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逃げたいと言った声を拾ってしまった。言った後に俺がいることを思い出したのか慌てたように口を押えて首を横に振る。拾ったからには聞かなかったことにする訳にもいかず、顔面蒼白で否定する彼女を放っておくこともできず。自分の責務や諸々を一度でも放り出したいと思ったことに罪悪感を抱いたのか何なのか。怯える姿に憐れみと共に庇護欲が湧いたのは否定できない。気がついたら、一緒に逃げるか、と口走っていた。
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俺は彼女のことを何も知らない。俺が仕えている主であることしか。彼女もそう振舞っていたし、俺も必要以上に踏み込まない、所謂正しい主従関係を築いていた。それをなんだってか。いや、近侍としてそばにいながらどうすることもしなかった俺にも問題はあるんだが。手を伸ばすことを良しとしなかった彼女が無意識に本音をこぼすほどに追い詰められていたのだとしたら、それはやっぱり心情を甘く見積もっていた俺に問題があるんだろう。垣間見えていた幾つもの"助けて"に今更後悔している。
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「どこへ行きたい?」
「とおく、に」
それは遠国と受け取るがいいのかい?なんて言葉はきっと洒落にならない。それでも逃げたいと本気で言うなら、なら逃げるか、と手を取るくらいには彼女のことを可愛いと思っている。転移装置を使って歩き回り、乗り慣れない乗り物にも揺られ、そうして辿り着く場所がどこかなんて瑣末な話だ。
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任務の合間に「眠いから話して」とか「疲れたから結婚して」とかそういう戯れはある。「昔々あるところに金と銀の長光が当たると噂のチョ◎ボールがありましたとさ」だの「その書類の山が終わったらな」だのと返すこともできる。
「ずっと一緒にいて」
それにだけは軽口で返せなかった俺に、泣き出した顔を伏せたのは意地だったのか。今となっては知る由もない。
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皺が深く刻まれ、白髪を綺麗に纏めて眠る彼女を見つめる。いつだか昔に贈った化粧品を大事に残していたのは俺の自惚れなんかじゃないだろう。たまの外出の時に使われていたそれは古さはあれど経年を考えれば随分と綺麗なままだった。

もしもこれが付喪神になったら彼女の姿をしているのだろうか。
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彼女がやっていた手順を思い出しながら顔に色を置く。見違えるほど血色が良くなって本当にただ眠っているだけのようだ。
「綺麗にしてもらったんだね、主」
初期刀が笑う。その手には菊や百合、その他の花で溢れていた。枕元のそれが陽射しを浴びて彼女の頭を撫でている。花が好きだからきっと喜んでいるだろう。それが、自分を送るための花でも。
「……君も、そんな顔をするのかい」
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叶わない願いをひとつ、抱いた。
神様はいつだって叶える側で、自分の願いはいつだって叶うことはない。それがこんなにつらいことだと思いもしなかった。
『玉鋼に戻って彼女の腕に抱かれたい』
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戯れに言い合った日と、手を伸ばすこともできなかった夜と、ほんの少しの逃避と。あの時、このまま隠しちまおうかと思わなかった訳じゃない。逃げたいと言ったのは彼女で、帰ると言ったのも彼女だった。名残惜しかったのは俺の方だ。
思い出すのはそんなことばかりで、骨壷に入った主を見た時、玉鋼の俺とは似ても似つかないと思った。

それでも、無機物と人間の話にしちゃあ上出来じゃないかと一振りで密かに思うことは許してほしい。



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50 :北_原_白_秋(文_豪_と_錬_金_術_師)
2022/01/21(金) 10:32



自分の喜び具合に笑ってしまう。恋かどうかはわからなくても、ときめきというのは、きっとこういうものなのだろう。今の表情ちょっと可愛いとか、話せて嬉しいとか、着信音や手紙で心拍数が一瞬上がったり、相手の一挙手一投足が何だか気になったり。友情以上、けれど恋と呼ぶには凡そ熱量が足りない。
こういう気持ちをもう随分と封印していた。……出来ればもう忘れずにいたい。種から育てる植物のように、水分を与えて、養分を与えて、暖かい陽射しに照らされて、時折冷たい風に揺れたり雨に濡れそぼる。花が咲くどころか蕾がつくのかすらもわからない。けれど、たとえ枯れてしまっても、この気持ちはその時の哀しみ以上に尊いものだと思うから。思えるようになったから。大事にするよ。



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