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┗Subterranean Rose(5-9/14)

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9 :英◇
03/25-17:37

喩えば。時計を左回りに巻き戻し、あの日に還れたならば。
俺は果たして、幾度目までお前の手を取り続けるのだろうか。

どの選択肢を選ぼうとも、お前と俺が、同時に幸せになれる結末は訪れないのだと知っている。
決して選択を誤った訳ではない。最初から、そんな結末など用意されて居ないのだ。
それでも尚、俺は繰り返すことを望むのだろうか。

初めはもう一度お前に相見えるのならばそれだけで十分だと、軽い気持ちで今を繰り返し。二度目はお前だけが幸せになれる結末を探して。幾度目かで漸く訪れた結末の中で一人だけ取り残される苦しみに耐え切れずに、もう一度。
そうして幾度も繰り返し、自身の幸せだけを求めた結末に辿り着いて尚、尚、罪悪感に押し潰されて、巻き戻したあの日で。
俺は、きっともうお前に出逢わない。

有り余るだけの時間の中、お前が居た時間を繰り返して、相も変わらず俺はその答えに辿り着く。
”出逢ってしまったことが、間違いだった。”

お前は俺の合わせ鏡だった。そう在る以上、何方かが犠牲になるしかない。
幸せはいつも、誰かの犠牲の上に成り立っている。お前が其の腕に抱く愛し子は、いつか誰かから奪い去った幸せなのだと知るべきだ。

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8 :英◇
03/22-21:29

お前が居なくなっても、生きていけないなんてことはなかった。俺は今日も生きている。ぼんやりと庭を眺めて、不要になった白薔薇を刈って、またあの愛しい混色の薔薇を増やそうかと静かに夢想に耽りながら。
それは至極自然で、当然のことだった。適度な酸素と水と栄養さえあれば人は死なない。人ではない俺も、きっと似たような条件で生かされて居るだろう。まるで植物だ。呼吸の過程が逆なだけ。
愛なんてものは、生きる上で必要のない娯楽と同じ区分分けがなされるもので、其れだってただの、戯れの甘言でしかないことくらい、お前も俺も嫌という程理解していた。

それでも確かに恋は死んだに違いない。
だってもう、どうしてお前を好きで居たのかなんて、これっぽっちも思い出せない。

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7 :英◇
03/18-22:32


>(愛しい薔薇へ。)

いつか誰かが言っていた。
誕生日を祝われることは、存在を肯定されることと等しいのだと。生まれて来た生を祝福する行為なのだと。

だから俺は、俺だけはいつまでもこの日を忘れずに居ようと思う。
肯定することしか能のない俺から、何よりも大切な薔薇へ。

もう、其処まで辿り着く道さえ失われてしまったけれど。
幾年の時を越えて、お前の幸せをただ、祈り続けている。

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6 :英◇
03/16-16:24

後ろ指を指される様な恋だった。
誰にも祝福されることのない愛だった。
理知的なかの男はこう言った。考え直したらどうだ、と。
感傷的なかの女はこう言った。寂しい者同士が傷を舐め合っているのね、と。

それでも幸せだったのか、それでも幸せだと思い込みたかったのか、今となっては分からないままだ。
それでも、分からないことは、分かりたくないことだと宣った彼奴が一番正しかったことだけは、よく分かっている。

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5 :英◇
03/15-22:41

博愛主義者の言うことはまるで理解出来ない。
俺はただ一つのものを盲目的に愛するしか能がないからだ。
多くのものを愛せば、それだけ軽薄な愛になるに違いない。例えるなら水流の様なものだろう。ホースの先から流れる水は、先を圧迫して小さくすればする程水流は強くなる。其の儘では足元に水溜りを作るしか出来ないだけの水量でも、そうすれば、柵の向こうの薔薇に水を与えることも出来る様になるだろう。
元から多くを持ち合わせている訳でもない。さしたる魅力もない俺の愛を、多くのものを愛すために分散させたりしたら、それこそ埃ほどの価値もない稀薄なものになり果てるに違いない。だから俺は一つのものしか愛さない。
この無力な腕は、一つのものを守り通すだけで、一杯一杯だ。それなのに、如何して、たった一つのものでさえ壊して仕舞うんだろう。
独り言ちた問いに、博愛主義者はただ憐れむ様な目をして見せた。

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