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┗琥珀の多幸感は然れど耽溺の音に蕩け…(43-52/61)

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52 :我/妻/善/逸(鬼/滅/の/刃)
2024/08/18(日) 01:31

>


# 漸く帰って来れた。

任務が終わっても、続け様に任務が入るとか有り得ない。
だから鬼は嫌なんだよぉおおっ…!!

──…っ、はー……

身躰が汗やら乾いた血やらで、べったべた。
うぅ…気持ち悪い。
蝶/屋/敷に着いたら風呂に入らせて欲しい、切実に。

大体、こんなクッソ暑い夏の間に迄…出て来ないでよ鬼!
唯でさえ隊服だけでも暑いのに、羽織に脚絆と…──

ぐ…っ、考えただけでも暑過ぎんだよ此の格好!

あと蝉共! 巫山戯るなよ!? 俺の耳を殺す気!?
いや解るよ!? 鳴くのが仕事だし一生懸命なのも解る!
大事な求愛行動で鳴いてらっしゃるのは解ってますとも!
でもね、でもね!?
君達の鳴き声は俺の耳にとってはとんでもねぇ騒音なの!
解る!? 騒音! 何だったから爆音って言ってもいいわ!
だからお願い、俺が近くにいる時は鳴かないでくれない!?

# だから夏は嫌なんだよぉおお"──~─…ッ!!!



そういや、炭/治/郎は大丈夫かな。
こんな暑い中、禰󠄀/豆/子ちゃんの箱も背負ってさぁ…。
次に蝶/屋/敷に帰って来れんの、いつなんだろ。

# もう逢いたいなんて堪え性、無いなぁ…──俺。

# あ…、やば。

# 炭/治/郎の事を考えただけで…我慢が出来ない、とか。
# やだ…俺ってば助平? いや、けど花の16歳ですもん俺。
# 不可抗力でしょ?

# 今日、他に誰も居なさそうで良かったぁ。
# 此れなら安心して……、…──


>

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51 :我/妻/善/逸(鬼/滅/の/刃)
2024/08/15(木) 01:39

>


腰が痛い。

何がって、そりゃあ…もう。

彼奴も俺もお盛んな年頃の男の子なんでね!

# まぁ、彼奴はちょっと盛んが過ぎてる気はしますけども…。
# いや前言撤回。
# ちょっとどころじゃねぇわ、かなり元気過ぎるわ。
# 何だったら力でも体力でも普通に負けてる。

# …っつーか彼奴、どんだけ溜め込んでんのよ!?
# いやいや違う違うっ、そっちの意味じゃなくてですね!?
# いや、そっちの意味でも間違ってないですけども!!

不安とか、心配だとか。
牴牾しさとか…色々と混ざって我慢、出来なかったんだろうな。
欲しいって言われた瞬間こそ、恥ずかしさで誤魔化したけれど。
何処迄も不安定な其の音を、どうにかしてあげたかった。
俺なんかで炭/治/郎を満たせるなら、癒せるなら。

# 音が何処か切なげで…
# 俺が頭を怪我なんてした事もあったから、余計に。
# よっぽど、俺の身躰とか気にしてくれたんだろう。
# …炭/治/郎は優し過ぎる位に、優しいから。

彼奴は、そういう奴だ。
何処迄も無償の愛を俺にくれる。
俺からは何も返せてはいないのに。
いつも貰っているだなんて、答えになってないだろ…そんなのは。
なのに彼奴はいつも、そうだ。
確信した音を響かせながら、そうはっきりと答えてくる。

だから…それでいいと、
傍に居るだけで良いと、そんな事を躊躇い無く言える彼は。
いつも一等に欲しい言葉を俺にくれる。
重過ぎる程に、惜しみ無い愛を溢れ出す程に。

# 俺の幸せの箱は、既に蓋が閉まり切らない。
# それどころか零れ出して、箱が爛れてしまいそう…で。
# そんな箱の外側を丸ごと覆い尽くす程に、
# 炭/治/郎という名の大きな器ですっぽりと包まれている。

# あっ、…これ、一生…抜け出せないヤツだ。

# だから愛される時も、そう。
# 無意識に逃げてしまいそうな俺を必ず捕まえててくれる。
# 真っ直ぐ見つめて、射抜いて、戒めて。
# 一度、絆されてしまえば…後は、もう。

彼奴の名前しか言えなくなる。
何度も、何度も、何度も、
呼んで、啼いて、請いて、

# 炭/治/郎、

# たん/じろ…っ、

欲しい、ほしい、
彼奴が、全部。
彼奴の、全部。

# 愛も、熱も、欲も、

# あの赫奕の瞳に焦がされて、焼け堕ちる迄。

昂って、叫び掛けた俺の欲望の音すら彼奴に閉じ込められた。

# …やばい、思わず俺も声が大きかったかもしれない。
# だから助かったけど、多分…
# 此奴はそれだけの理由じゃないんだろうな。

# 今迄は長男として散々、欲しがる事を我慢して来た男。
# そんな男が我慢を忘れた時、自分のモノを囲わない訳が無い。
# 己の所有物だと見定めたモノは決して、離す気は無いだろう。
# 彼奴もきっと、俺と同じで本当は欲深い。
# そうじゃなきゃ、こんなに長ったらしい接吻にならない。
# 大方、自分以外に聞かせる気が無い。

# …そんなに、俺の声を独占したいんだろうね。

# あーあ、可愛いな俺の炭/治/郎は。

でも、でもね。
一つだけ困った事が。

限界だけは考えて欲しい。
聞かれたくないのはよーく解ったけど、さ…

# ──…ねちっこいんだよ、その接吻が。 息…出来ないじゃん。

…ばか。


>

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50 :我/妻/善/逸(鬼/滅/の/刃)
2024/08/13(火) 05:12

>


あぁ……

身も心も、お腹も充実した。
こんな幸せになってていいの?

# うぇひひっ、──…多幸感、やっば。

同じ非番の日を過ごした余韻が消えない。

其の日はさ。
炭/治/郎と念願の鰻重を食べたけど…美味しいったらなかったわ。
というか誰かと食べに行く事自体、初めてな訳ですし?
何より特上だよ、特上。
こーいう日には奮発しないとね、…必要経費でしょ。

炭/治/郎ってばさ。
初めて食べるからって、やたらと緊張してたんだぜ?
其の反応がまた…可愛いったらねぇのよ。
値段の高さを知らなくて、頻りに驚いてたっけ。

> 鰻って、こんなに高いものなのか…。

なーんて二度もおんなじ事、言っちゃっててさぁ。
慣れない彼奴の為に俺が注文してあげた後も、だな。
緊張してんのか、期待してんのか…
それとも店ん中で既に漂ってる匂いが気になるのか。
やたらと…そわそわしちゃって。

# はぁ…───~、っ"…俺の恋人、可愛過ぎんだろ…!!
# 店ん中じゃなかったなら絶対、叫んでたわ俺!
# 良く我慢したもんだわ!
# 我慢出来た俺を誰か褒めてくんない!?


そんで、帰った後は一緒に風呂に入ったっけ…。

お互いが任務続きだった身で、正直…気にしてたんだよね。
いや、俺は別に炭/治/郎の汗の匂い好きですけども。
でもさ、逆は別なの。

# 出逢えた早々に抱き着いた俺が悪いのは解ってる。
# けど、いきなり何も匂い嗅ぐ事…ないと思わん?
# 任務帰りの儘、真っ直ぐ帰ったもんだからさぁ…
# 絶対、俺の身躰…汗臭かったでしょーが。
# うぅ…思い出しただけでも恥ずかしい。

お互い、久々の風呂だったから気持ち良かった。
気持ち良かったんだけど。
良かったんだけども……ね?

# 炭/治/郎の奴…

# 一緒に風呂に入った後…ま、媾いたい…とか、
# 欲しい…とか、言って来るもんだから…──

# っ…とんでもねぇ、わ。

# いやいや、かく言う俺も期待はしてましたけどね!
# 当然じゃろがい…こちとら、多感な健全男子ですから!
# 欲求不満じゃない訳、無いじゃろがい!

ま、まぁ?

そんな訳で…非番の夜は凄かった。
何がとは言わんけど。
彼奴が凄かった…その、色々と。

もう、ね…──語彙力なんて無ぇですよ。

# 俺だけ今日迄、非番になってた時点で察して頂けます?


>

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49 :我/妻/善/逸(鬼/滅/の/刃)
2024/08/10(土) 08:02

> ♡


あぁ、…──炭/治/郎の音だぁ…。

# …♡

# …♡♡



やっと逢えたぁ……、長かったよぉおおっ…!!

俺、頑張ったよね? 頑張れた方だよね!?
たった一体しか鬼…倒してないけど!
然も本当に俺か斬ったかどうかも自信、無いけども!

そんな事よりも、だよ!


# はぁあああ…───~っ…♡

# 炭/治/郎の音、めっちゃ安心するぅ……♡

# ほんと、此の音好き…っ! ずっと聞いてられる!

# 好き過ぎて耳が溶けるぅ…、とんでもねぇわぁ~…♡

# あぁ、もう…──すき、好き、スキ…!!

此の音が無いと俺、生きていけない…!

# こんな綺麗な音を出せる、炭/治/郎が大好き…!



解ってますよ。
此処は蝶/屋/敷だって事は。
みんなが居るって事も、よーく解ってますとも。

でもね、でも…
こんなの我慢出来る訳、無くない?
今だけは。

# 今だけは目一杯、彼奴に甘えたい。

# やっと、逢えたんだから…。



ただいまぁ!



# ……で、

早々に疲れて寝ちゃいましたけどね、俺の馬鹿!
やっぱり呼吸…使い過ぎちゃったかなぁ。
でもでも! 早く帰りたかったんだから仕方が無いよね?
流石に脚を骨折させる訳にいかんから神速は使わんかったけど…。

…にしても。

# はー……

# 何つー…整った寝顔な事で。
# こんなイケメンが俺の傍らで寝てるなんて、どういう事なの。
# そんな無自覚色男が、何でまた俺なんか…好いてくれたのやら。
# 本当…謎過ぎるわ。

# でも奏でられる" 音 "は確かに" 本物 "で。

# 今も…──そう。

# …っ、嬉しそうな音…させてくれちゃってさぁ。

# あーあ…これじゃ、布団から出られないじゃん。

早く起きないかなぁ…。

# 其の赫焉の瞳に、早く俺を映してくれよ。
# 其の焔に焼かれて、焦がれて爛れちまいたい。

俺の事…一生、大事にしろよな。

# 大好きだよ、炭/治/郎。


>

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48 :我/妻/善/逸(鬼/滅/の/刃)
2024/08/09(金) 10:36

>


> チュン、チュ…チュン!

ん、ぇ……?

あ…、あれっ? 待って。

やだやだっ、今度は何処デスカ!?

やだ…何処っ、此の森!?
俺、鬼追い掛けてなかったっけ!!?



# ──…あっ。 思い出したわ。
# 確か、何とか追い付いて…

# 鬼が振り向いた途端、気持ち悪い舌が伸びて来たものだから。
# 咄嗟に刀振ったのが舌…斬り落としちゃって、
# 怒った鬼が穴という穴から血肉、吸い付くしてやるって…
# そう言われて…

# ……。

# ………ん?

# 何か、物凄く腹が立って…そっから憶えてない。



俺が寝てた足元の…──これ、鬼が着てたヤツだよな?
何、俺…もしかして無意識にブチ切れた勢いで殺ったわけ?
其の儘、木陰で朝迄…ぐーすか寝てたと?

……やばい奴じゃん、俺。

# いやいや、でもさ!
# どーしても嫌だったんだよっ…仕方無いじゃん!?
# 今の俺の身躰はな、俺のだけじゃねぇんだよ!
# 俺の身躰にどーこーしていいのは彼奴だけなの!

# 弱い俺だからって、其処だけはっ…
# 其処だけは二重の意味でも舐めるなよ、まじで!!



ああぁ…──~、でも…怖かったぁ…。

チュン/たろぉ~…俺、今日も頑張ったよぉおおっ……!!

> " グサッ "

──~─~!!!?

いっ…だぁああ"っ…!!

なななな何すんのぉ…っ!?
やっぱお前、可愛くないっ…!!
こちとら炭/治/郎に逢ってなくて何日目だと思ってっ…!!

> ヂュンッ、ヂュン…ッ!!

……へ? だーからぁ~…っ!! たんじ…──

> " グサッ "

いだぃ…っ"!!



# …えっ? もしかして、炭/治/郎…??

チュン/太郎…炭/治/郎が、どうかしたの?



な、何よ…その目?
彼奴ならまだ任務のはず…──、…

# …あ。

俺の任務って、今回のは此れで完了なんだよな?

> チュンッ。

だから…此れで帰って良いんだよね?

> チュン!

じゃあ、じゃあさ…
もしかして…今夜にでも、炭/治/郎…帰って来る?

> チュンッ!!



…帰るわ、今直ぐ。

遠いって? 知るか、んなもん!
今から全速力で帰るわ!! そんなもん!!
っつーか何でそんな大事なこと言わないのぉ!?

> チュン!?
> ( だって、伝わってくれないんだもの…。 )

ほーらっ、行くよチュン/太郎!
疲労がなんぼのもんじゃい!
今から神速の勢いで帰っちゃるわい…っ!!



> …チュ、チュン……。
> ( 脚、骨折するよ…。 )


>

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47 :我/妻/善/逸(鬼/滅/の/刃)
2024/08/07(水) 23:40

>


帰りたい。

帰りたい!

帰りたいよぉ〜!!

やだやだ、もう!
もう今日で何日目よっ!?

# 前の任務の時には、生身の人間の方が怖いって思ったけど…
# やっぱ前言撤回させて。
# 鬼も怖いわ、同じ位に怖いわ!
# ああでもでもっ、やっぱり" そういう "人間の方が怖い!!

# どっちよ!? 結局、どっちなのよ俺!?

# あぁ"ああ"…っ!!!(汚い/高音)

# やっぱり両方…怖い!!

──…うぅ、炭/治/郎の" 音 "が聞きたいよぉ……。

最近、とにかく炭/治/郎の心音不足。
足りない。

足りな過ぎる! 耳が寂しい!

なぁ"~にが楽しくて此の数日間、
鬼の音ばっかり聞かなきゃならんのじゃボケがぁあっ!!

# せめて炭/治/郎の音が聞けないってんなら!
# 可愛い女の子の音でも良いから!
# 数分だけでいいから聞かせておくれよぉ!
# 街で擦れ違った時とかだけじゃ全然、足んないの!
# もうこれアレだわ、耳が欲求不満なんだわ!

帰ったら、きっと…
炭/治/郎が優しい音をさせて、出迎えてくれる。
そしたら優しい声も沢山、聞かせてくれる。
沢山、耳に…

# 耳、に…──。

# 耳…──。

# ……。



──…ひ、ぇっ。

あの声を思い出しただけで、やっ…ば。
何なの、あの声。
思い出そうとすれば、する程…──やばい。

何がやばいかって、もう…あの声全部が!

あの声に、名前を呼ばれるだけで耳がやばい!

っつーか…さっきから俺、やばいしか言ってない!
何回、やばいって言ってんのよ!?
どうした俺の語彙力!



# ……あっ。



嘘過ぎない? 俺の…──

──~─~─……っ…。

嘘でしょ、炭/治/郎の声を思い出しただけなのに。
こんなこと、ある?
こんな事、なんの…?
正直過ぎない? …俺のカラダ。

そうよね、多感の年頃だもの…不可抗力、不可抗力。
もうそういう事にしておくれよ、頼むから。
あ~…、…

# 藤の/花の/家紋の/家に着いたら…──

# ─────…。 ……っ…。


>

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46 :我/妻/善/逸(鬼/滅/の/刃)
2024/08/05(月) 21:32

>


……、…っ……。

あ、あれ?

待って…此処、何処なの?
俺、任務で街の中に居た筈だけど…っ!?

…あっ。

# そういえば。
# 夜になると鬼が出没するだの…
# そんな噂が飛び交う街で、話を聞いて回ってたんだっけ。

# それで…──、……。

# …そうだ。
# 偶々…耳に聞こえた其の声が。

# 兎に角、嫌で…
# 嫌で、嫌で、
# 嫌で、堪らなくて…。

# 道の途中で吐き気がして、其の後…

# ……あぁ、思い出した。

# 倒れたんだ、俺。

# 今、冷静に思えば。
# 耳に残っている音を思い起こせば。

# 倒れた後、誰かの声が聞こえて…
# 何処かに運ばれて。

えーと…。

それで、此処…は?

# !?

──…っ、ひぃ!? な、な、なっ、ななな何の音ぉ!!?

あれ!? もしかして村/田さん?



あ…、は…はい! 何とか。
もしかして俺の事、運んでくれたのも…──、や、やっぱり?
すみません、ご迷惑を掛けちゃいまして。

……。

# ………っ。

い、いやですね…任務続きで中々、眠れなくって~。
気が付いたら道の真ん中で寝ちゃってたみたいでして…
あはは…っ、…情けない話ですよね。

気絶すんなら、せめて鬼と対峙中だけにしろって?
村田さん…それ、俺に死ねって言ってます??

# ──…まぁ、倒れた理由なんて言える訳…無いよな。



それより、此処は何処なんです?

えっ…親切な男の人が部屋、を…?

# …大丈夫なの? それって…

倒れた俺を担いでいたら、声を掛けられて。
目が醒める迄…此の部屋を使っていい、と…。

# ……、…。

…村/田さん、すみません。
俺はもう大丈夫なんで、此処…早く出ましょ。

何で、って……あまり厄介になるのも悪いですし?
鬼の情報も聞いて回らないといけないですから…
早く出ましょ、此処から。

っ…だから、大丈夫ですってば。
俺、弱いですけど一応…身躰、鍛えてますから!
──~…っ、だ…だから…! あぁ"っ…もう。

# ──…足音がする。 まだ、遠いけれど。

# でも此の音は…解る。 此の音は…
# 此の、音は…

いいから、俺の話…聞いてください。
走れますよね、村/田さん?

黙って先に…今直ぐ、此の家を出て下さい。
村/田さんが無事に離れたのを確認したら、俺も後を追います。
訳は…聞かないで下さいね。

> ………。



あぁ、…流石は先輩だ。 行動が早い。
思えばお礼…言い損ねちゃったな。
後で追い付いたら、ちゃんと言わなきゃ。

そろそろ…かな。
此れ位、離れてくれれば…──

# 音が一気に近付いて来る…もしや、バレた?

シィィイイ…───

# …いいよ。

# 俺には、" 慣れた事だから "。

でも、村/田さんを…
俺以外の誰かを、" そんな世界 "に巻き込む事だけは許さない。



# ……。



ご、ごめんなさいねっ…村/田さん!
さっきはいきなり、走れだなんて言っちゃって。

えっ…、さっきの人にお礼はいいのか…って。

そ、そんなのいいの! だって俺達…帯刀してるんですよ?
鬼/殺/隊は政府、非公認ですし。
それに…さっきの人、警/察…呼ぼうとしてたんですから。
だから逃げるのは当然でしょ?

それよりも、良かったら一緒に鬼の情報でも集めません?
村/田さんが居ると心強いなぁ…なんて。
それと、さっきはありがとうございまぁ~す!


# 村/田さんは、別の任務の帰りだったらしい。
# 其の際の近道に此の街を通ったみたい。
# 俺を先に見つけてくれたのが彼で良かった。
# そうじゃなかったら俺、今頃…どうなってたんだろうね。
# 想像、したくもないけれど。

# 華やかな街の裏の姿を知るのは、俺だけでいい。
# …俺だけで。


>

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45 :我/妻/善/逸(鬼/滅/の/刃)
2024/08/03(土) 13:06

>


はぁ……漸く帰って来れたぁ。

最近、俺の任務…長期なの多過ぎない?
やっと蝶/屋/敷に帰って来れたけど、流石にもう居ないよな。

押し花にした向日葵、見て貰おうと思ったのに。

# ほんとは肌身離さず持っていたいけど。
# 汚れたり、血が付いたりしたら嫌だから。

お互い…任務に追われる身。
本当にゆっくりと二人で過ごせる事は少ない。
時間も鬼も、待ってはくれない。

# あぁ、そういえば炎/柱のあの人もそんな事を言っていたっけ。
# 俺は其の直ぐ傍には居なかったけども。
# 倒れた列車の陰で、禰󠄀/豆/子ちゃんを箱に入れながら聞いてた。
# あの人の声は、良く通るから…俺の耳には容易に届いてたんだよね。

時間って本当、残酷だ。

炭/治/郎だって、本当は色々と迷う時間も欲しかっただろうに。
急ぎ足で、家を出て、山を降りて、只管に歩いて。
いきなり鬼狩りの世界に入って。
其の全部が、唯一の家族である禰󠄀/豆/子ちゃんの為。

# 炭/治/郎…
# お前はさ、ほんと凄いよ。
# 大事な家族の為とはいえ…
# たった一人で此処迄、真っ直ぐに前を向ける人を俺は知らない。
# 弱い俺には絶対…真似出来ない。

# あっ、…でもでも禰󠄀/豆/子ちゃんの為だったら頑張れるかも!?

# 俺には守る為の相手どころか…家族なんて居なかったから。
# そんな炭/治/郎が格好良くて、凄いとも思った。
# けれど、其れ以上に放って置けないとも思えちゃって…──

嗚呼、守りたい。
臆病な俺でも初めて…守りたいなんて心から思えた位に。
強いけど…危うさもある。

# 格好良いけど、きっと目に見えない心は傷だらけだ。
# 凄いのは、きっと…数え切れない程の努力と鍛錬を重ねて来たんだろう。
# 一体、どれだけの苦悩と悲しみを越えて来たのか。
# …俺と一つしか変わらないのに。



───…だから、絶対に強くなって、炭治郎も俺が守る。

絶対に。

絶対に!



………。

少しずつ頭の包帯の量が減って来た。
あぁ、良かったぁ……髪色、血で染まってなくて。
金色なのには最早、慣れて来たけど。
やっぱり周囲の人からすれば…普通に此の色も異質だよな。
どうにも、ちらちら見られちゃうのは仕方が無い。

# お、女の子に見られんのはめっちゃ嬉しいけど…っ!

う、わぁ…髪に変な癖付いちゃって向日葵みたいになってる。
恥ずかしい。
し/の/ぶさんに櫛、借りなきゃ…。


>

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44 :我/妻/善/逸(鬼/滅/の/刃)
2024/07/31(水) 11:53

> キメ/学。


…あっづ…。
何なの、日本の此の夏。
暑過ぎない? 身躰溶けるわ。

唯でさえこんなクッソ暑いってのにさ…
馬鹿に走り回ってる伊/之/助は元気だな。
彼奴、マジ脳筋じゃん。
俺みたいな繊細さは持ち合わせてないわけ?

# あー…学校、終わったらアイス食いに行きたい。

# ──…いや待て。 こういう時はやっぱ…

伊/之/助~…
お前んとこって今日、俺のクラスと同じで昼頃に終わるよな?
なぁ、今日…割り勘で回転寿司、行こうぜ。

…何だよ、其の顔。

べ、別にお前と二人でって言ってねぇわ!!
勿論、炭/治/郎も一緒に決まっとるじゃろがい!
何でお前のクラスの事、聞いたと思ってんの!?
俺だけ学年…違うからお前に聞かなきゃ解らんでしょーが!

──…えっ?

何で直接、聞かないって?
そ、そりゃあ……

サボってるのバレたら怖いだろ、彼奴。

# まぁ…理由は其れだけじゃないですけど。

夏の所為か、彼奴…
朝に一緒に学校へ向かう時から顔…火照ってたんだよな。
あんなん直視出来ると思います?
俺には無理だね、あんなイケメン顔の奴の顔が赤くなってるなんて。
夏の暑さとはいえ…汗すら似合うとか卑怯にも程がある。

# 其れに、…あの顔…
# 如何しても思い出しちゃう。
# 俺と、…───、…そ、の…────

いやぁ"あああ"───~─…っ!!

# マジでとんでもないっ…とんでもねぇわあの子!!
# 何なの、あの完成された生き物!!
# ほんとに俺より年下なの彼奴…っ!!?

やべ、…っ、授業…終わった?
彼奴の足音が近付いてくる。

ど、どうしよっ…、どーしよ…っ。

# へ…平常心! 平常心!


>

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43 :我/妻/善/逸(鬼/滅/の/刃)
2024/07/30(火) 11:56

>


……む、にゃ。

うー…。

さ、む…、……?

# あー…たん/じろ、行っちゃったのか。
# 見送ってやれなかったな…。

……。

彼奴程、鼻が効く訳じゃないけど。
布団にまだ…彼奴の匂い、残ってる気がする。

# うひひ…っ、お日様の匂いだぁ…。

炭/治/郎は特別、身嗜みに気を遣ってる訳じゃ無いのに。
凄く安心する匂いがするんだよなぁ…何でだろ。
同じ男、なのに。

鍛錬とか…稽古の時の同期の奴等とかだったらさ。
唯、むさ苦しい匂いしかしない筈なのにな~。

炭/治/郎のは、こう…何だろ。 …清潔感?
爽やかというか…うん。
何て言うか匂い迄、優しい。

# 何、彼奴…汗とかそーいうの迄、優しさで出来てんの??
# 出来る男って、やっぱ其処から違うんだな…──やば。
# 顔も良いし腹立つ。

# …っ、腹立つ!!

# 何なの彼奴…っ、俺の彼氏…良過ぎて腹立つんですけど!?

# あぁ"…ッ、くそ…っ、……好き!!

あっ、いけな…──向日葵!



凄いな…日が経ってるのに全然、萎れてない。
ほんと綺麗。 というか彼奴が花なんて良く良く考えたら珍しいな…。

# もしかして、此の間…俺が贈ったお返し?
# そういや彼奴、話してる時にもちょいちょい…──

…───~──!!?

は、ひっ…!? し、し、ししし/の/ぶさぁん…っ!!?
ごめんなさいっ…起きてます! 起きてますからぁ!!

…っ、…は、い?

あー…、えーと、…だ、大丈夫です。
だいぶ痛みも引きましたし…多分、傷も塞がってますから。
朝餉ですか? はい、後で行きますね。

…えっ? 桔梗?
そうですよ、俺が…その、贈りました。
すみません…隊士は必要以上に私物を増やしてはいけないのに。
頭では解ってるんですけどね。

…!!?

えっ、…い、今、何て言いましたっ!?

# 花言葉を教えたって?! 炭/治/郎に…!??

# し/の/ぶさん、博識…っ、すてき…!!

# ──…って、違ぇわ俺の馬鹿!!
# 問題は其処じゃねぇだろっ!
# 炭/治/郎に知られたんだぞ…っ、どーすんのよ!?

へ…、へぇ……そうなんですね。

…!


そうですよ!? アレは禰󠄀/豆/子ちゃんにあげました!!
あ、当たり前じゃないですかぁ~!

じゃ、俺…顔、洗って来ますね!



# ……顔、あっつ…。

# 多分、ああ言いながら本当は知ってるんだろうな…。
# 況してや…あの炭/治/郎の事だぜ?
# 絶対ぇ、誤魔化し切れてねぇわ…ありゃ。
# どうせ顔に出てただろうなぁ、彼奴。
# 音を聞く迄もねぇですもん。 …あんな素直な長男。

…ん?

そういや伊/之/助の奴…
音はするけど何処に居んの? ──…忍者か、彼奴??


>

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