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┗付箋と栞だらけのネタ帳(181-190/234)

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190 :善条剛毅(K/小説版SIDE:BLUE)
2014/04/20(日) 23:55

(小説版SIDE:BLUEおよびREDの内容諸々がっつりネタバレにつき、注意)
(回避)>>189




タンマツ越しから聞こえる声。
善条、とあいつが俺の名を呼ぶ。聞こえて来た声音はやはり疲れたようで、しかし何処か重荷が取れたようでもあった。

>「塩津」

名を短く呼んで、深く長い沈黙が落ちる。
告げられた言葉に、下された決意に、そこにある思いに声が空気を震わせた。

>「すまなかった」

元より饒舌ではなく、そして他に何と言うべきかも迷った挙句に出た一言。恐らくあいつも、分かっているのだろう。
他に何かを言えたのなら、何かを出来たのなら。思うが、何が正しいのか分からない為の躊躇いが行動を留めさせる。俺達の王だった羽張を斬った時には、何の意識も無く手が動いたというのに。

羽張が守っていたものを失わせたくないが為に、あいつは羽張の代わりに背負おうとした。各々の判断で、時流によって収まっていくのだろうという願望にも近い思いで、責任を放棄してしまっていた俺には責める資格など無いのだろう。この十年、俺達が確かに抱いていたものは同じであるのに。

セプター4は解散する。
その後は、今もまだ見ぬ新しい「王」を待つのみ。それがいつになるのかは誰も分からず、石盤だけが知っている。

いつか、新しい青の「王」が生まれたのなら。俺はどうするのか、いや、どうするべきなのか。
果たして、見極められるだろうか。そう考えて、俺もあいつと同じだったのだろうと思う。全て捨て切る事など出来なかった。見ないようにしていただけだったのだ、と。

……だがそれでも見極めなければならないと思うのは、いまだ脳裏に俺達の「王」であった羽張の青が確かに変わらず残っているからなのだろう。


(回避)>>189

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189 :リヴァイ(進撃の巨人)
2014/03/18(火) 23:52

選択肢を選び取り、他の可能性を切り捨てて、結果を思い知る。
何度となく経験してきた。心は冷えて、冷静のハズだ。それでも浮かぶ思考に、切り捨てられねぇ愚かさを知る。

……失いながら戦い進む事が、人間や生命を超える事であるのなら。それは恐らく、「化け物」であり、そうなるという事なのだろう。

だとしたら俺は決して、化け物にはなれねぇ「人間」だ。
だからこそ、それが出来るヤツに対して「化け物」の意味を肯定する。
囀った言葉は慰めにすらならねぇ、ただ俺自身の勝手な願望だ。
何が「正しい」のか、分からないが故の押し付けとも言って良いだろう。
悔いが無いようにと言って、悔いは無いと言って、付き纏う矛盾を飲み込んで知らぬ振りをする。

そうしてその上で、あの時確信と共に見据えた瞳に言葉ではなく思いを向ける。

クソみてぇに分かりやすく見せて示した「演出」ながらも容赦は無い暴力に、決して折れず、失う事を恐れず、逆に深く強く研ぎ澄ませて牙を向ける。
それは今にも蒼穹へ飛び立とうとする鳥のように、自由を渇望する餓狼のように。
「巨人化の力」があるから、じゃねぇ。決して誰にも、何にも変えられねぇ、変えさせられねぇ本質。

どんな感情でもあっても。俺はそれを知っている。分かっている。思い知っているからこそ、その上で思う。お前は、お前の意志で。

お前は化け物で居ろ。

道徳や条理に外れ背いていようとも。それが、化け物を超える為と存在であるというのなら。
他の余計なもんは持っていなくていい。そんなもんは必要ない。ただ一つだけを、放たれた矢のように貫いていけばいい。そんなお前が、俺は。

ああ――悪くねぇとも。

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188 :エレン・イェーガー(進撃の巨人)
2014/02/08(土) 23:49

狭く閉ざされた壁の中の世界。
檻の中の家畜のようで、鳥籠の鳥のようで。
こんな下らねぇ所で。こんなクソみてぇな終わり方があって堪るか。何も知らず、ただ巨人の胃袋の中に収まって、食われて溶かされて吐き出されるのを受け入れるだけなのか。

――そんなの違うだろ。

憧れていた。望んでいた。
塩の水で出来た海に、炎の水。氷の大地や砂の雪原。こんな壁の中よりも、外の世界はずっと広くて何があるかも、まだ何にも知らねぇんだ。
あの空に、まだ見た事もねぇ壁の向こうへ、風を待ちわびるだけの鳥にはならずに飛び出せるように。
腹の中が、頭の中が熱く滾る。忘れてなんざいねぇ、様々な思いが駆け巡る。

思い出せ。5年前、あの壁が壊された時の、母さんを失った時の事を。
あの悔しさを、憤りを、胸に刻んだ何もかもを糧にして此処まで来た。

膝を付くな、顔を上げろ。この心臓はまだ止まっちゃいねぇ。
此処に居るんだと、生きているのだと激しく脈打って知らせる。

刃を持て、抗って戦え。忘れねぇ為に、果たす為に、存在する自由の為に。
何の為に生きているかなんて、決まってるんだ。

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187 :土/方/歳/三(薄桜鬼)
2014/02/02(日) 23:47

あれはいつだったか。
恐らく、その時は日常となっていた言い合い――いや、俺が一方的に突っ掛かっていた時の、ほんの言葉の文か戯れだったのだろう。

>「――まるで咲き急ぎ、散り急ぐ花のようだな」

どうしてそうも吠え立てる、とでも言うかのように。
脈絡の無い、あの人にとっちゃ意味なんざねぇ言葉でも捻くれた頭は酷ぇ侮辱に聞こえた。少なくとも、その時の俺はそう思っていた。
後から思えば、真偽はともかくとしてもどうしても消せねぇ劣等感が意味もねぇ言い合いの中に混じって、声を上げる事でしか処理出来なかったのだろう。過ぎた事だと分かっちゃいるが、そんな自分の未熟さを恥じると同時にそれを見透かされていたあの人への何とも言えねぇ感情も蘇って来る。

#「暢気に御天道さんや雨を待つだけじゃ、蕾を付ける前に無遠慮に踏み潰されちまう」

売り言葉に買い言葉のような台詞だ。意味なんざねぇようなもんだろう。だがそれでも、譲れねぇ志はあった。
どんなものが立ちはだかろうと、自分で信じたもんを貫き通す為に、そう在ろうというものが誠となるように。

そうして不意に、徒花か、と恐らく言う訳でもなく小さく呟いたその言葉と相貌が頭の中に過ぎる。
その姿に薄く陰が出来ていた事や、揶揄の他に何かが込められていた事を、嘗てではなく今の俺は理解する事が出来たのだろうか。

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186 :ゼス(ブレイクブレイド)
2014/01/15(水) 23:57

道を違え、交差するのは「何」なのか。

既に使われない校舎の上。アンダーゴゥレムが一気に跳躍、接近する。
左手部分は以前見た時とは違い、失われて代わりにフックのような物が先端に付いている。一方の右手は内側へと曲げられており、逆手に持っているらしいそれが反転すると細長く反った刀身が露わになった。あれは――イーストシミターか?

弧を描く刃の軌道。それを後退で避け、距離を取りながら左右短長のプレスガンを持ち上げ連射。だが、直進の勢いは止まらない。右腕部を前へ、肘部を曲げた状態でイーストシミターが再び逆手に持ち変えられ――右肩部が地面に擦れる程に低い体勢からの突貫。

そして逆手状態に持っていたイーストシミターの柄が一瞬にして順手になると、アンダーゴゥレムの前になった右膝が直角状態で地面に付くと同時に下段から一気にイーストシミターが振り上げられた。

速い。再度の後退で回避しようとするが、間に合わずに鋭い斬撃音と共にレクシアスの胸部が斬られていた。裂けた割れ目から、石英を通さずに外が見える。あと少し後ろに下がっていたのが遅かったら操縦部まで、いや、俺自身までが両断されていただろう。

そこから不意に、アンダーゴゥレムの手からイーストシミターが離れる。……武器を捨てた?

武器を捨てた右手部は跳躍して来た時と同じように腰部へあてられ、数瞬の間も無く薙がれる。鈍い音が響き、振り抜かれた時には左に持っていたプレスガンの銃身が砕かれるように叩き割られていた。新たに武器を替えていたのか、と自分の武装を破壊された事で事実に気付く。

動きは止まらない。肘部を曲げゴゥレムの左頭部斜め上にまで上がった右手を再び離し、中空へ新しく替えたばかりのナタのような武器を放って代わりに同じく空へ捨てた筈のイーストシミターを再び掴む。その間にも接近は止まず、一瞬で逆手に持ち替えられたイーストシミターによる股部から狙う下段の振り抜き。そしてその振り抜きで上がった手はまたもやイーストシミターを離し、左側へ放った刃幅が広い剣を掴んで左斜めからの振り上げられた。咄嗟に身を逸らすが、完全には避け切らずに頭部の装甲が剥がれる。

違う。武器は捨てたんじゃない。次の手の為に、わざわざ仕舞うタイムロスを省く為に、空中へ留めさせたのか。
気付いたが、もう遅い。目の前のアンダーゴゥレムは、幅広の剣からイーストシミターへ持ち替えられて距離を詰めていた。

反撃出来ない。レクシアスの装備は左右どちらもプレスガンだ。ある程度距離が無ければ、有効性が無い。だが、その距離を縮める隙が見出せない。これでは防戦一方、寧ろそれすら出来ない。ただ退くしか出来ない中、目の前でイーストシミターが持ち上げられる。

――あれは誰だ。

つい先程、訣別の言葉を放ったというのに。自分がよく分かっている筈なのに。
何があった、と月並みな事を思う事すら生易しい。あの時とは、前に戦った時とは明らかに違う。
変わっていないのは、変われなかったのは、俺の方だったのか。寧ろ、変わっていないのだと、変わって欲しくないと俺は思いたかったのか。

……ライガット、と俺が知る筈の男の名を思う。

名に対する答えは無い。
代わりに正面から振り下ろされたイーストシミターの一撃が、レクシアスの右腕部と共に浮かんだ思考を斬り飛ばしていた。

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185 :アルミン・アルレルト(進撃の巨人)
2014/01/13(月) 23:59

何で忘れていたのだろう。現実は直ぐ目の前にあったのに。
一体いつから、感じている安寧が本物で、それが永遠に続くと思っていたのだろう。そんな保障なんて、何処にも無かったのに。

高く聳えた壁。それは自分達を守る為だけじゃなくて、先にある無情な事柄から目を逸らす為でもあったのだろう。意思も個性も何も関係無く、収穫されて消費されるだけの家畜と同じだったのに。

けれども唐突に、前触れも無く。
壁という優しさに偽った夢想を越えて、忘れていたはずのものが、残酷な現実を齎しにやって来る。

全てが変わる。いや、変わるんじゃない。改めて思い知らされるだけだ。そして、そう思うだけでは済まされない。今までのように、ただそこに居るだけではこの世界は生き残れない。このままでは居られないから。

だけど――戦わなくちゃ、いけなくとも。それがどんなに辛く、長いものだとしても。
火傷してしまいそうな熱風が「今」を嫌とすら言わせない程に自覚させて来ても、背負った翼が折れて地面に落ちるまで。

そこから見える広いはずの世界。壊された壁の向こうへ出る為に。

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184 :土/方/歳/三(DRIFTERS)
2014/01/06(月) 23:56

土と風が荒れ狂い、轟、と音を立てる。

刀を振るう。斬って行く。何も考えず、ただ目の前の敵を殺す事だけに特化した思考。まるでそれ以外には、必要無かったと言うかのように。踏み込んだ一歩目、その一太刀で。
この、一刀で殺す太刀捌き。初太刀は避けろと、何度も言って聞かせて来た太刀筋だ。
忘れもしない。許せる筈も無い。滲み出す嘗てを思う中、返す刃で翻る十字を見据える。

笑っていやがる。こんな状況で、いや、だからなのか。恐れを知らぬ眼が前を見て、そこに在る敵を斬る。

一体どんな戦を、どれ程重ねて来た。何を思って来た。いや、何も思わなかったのか。他の取り巻く全てが何であろうとも関係無く、思う必要も、身に付ける必要も無かったというのか。この……「侍」は。

鍔を鳴らす。これは煮え繰り返るような苛立ちか、それとも滾るような別の衝動か。

ああ、まさか。そうか、と今は要らぬ感情が過ぎり、廻る。
俺はこいつを、憎むべき島津のこの男を。

――羨ましいと、思ったのか。

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183 :エレン・イェーガー(進撃の巨人)
2013/12/25(水) 23:55

「自由の翼」を背負う、小柄な体躯。
初めて見た時はまるで蒼穹を舞う鳥のようだと思ったその背に、駆け寄って声を掛ける。

>「――リヴァイ兵長!」
#「どうした、エレン」

>「あの、今日ってリヴァイ兵長の……」

オレの言葉に振り返った兵長は言い掛けた台詞を一瞬で理解したのか目を見開いて固まって、それから眉間の皺三割増しで元の表情に戻ると低く唸るような声が向けられた。

#「エルヴィンか」
>「え?あ、はい、団長が……」
#「……そうか」

答えに低い返答と盛大な舌打ちと共に、ただでさえ悪……良くねぇ兵長の目付きが更に怖くなった。これで睨まれてたら、オレの心臓止まってたかもしれねぇ……。
何か間違えたか?だけど間違ってねぇはずだよな。団長、確かに言ってたし。

そういえば、と兵長の手には書類らしき紙束が携えられている事にも今更気付く。今から、団長の所へ報告か何かに行く途中だったのだろうか。だとしたら、オレは邪魔しちゃったんじゃねぇか……!?いや、だとすりゃその事を咎めるはずだよな。

そんな事をグダグダ考えて何気なく顔を上げると、そこで兵長とばっちり目が合う。って事は、いつの間にか兵長はオレを見ていた事になるわけで。やべぇ、オレはどんな顔晒してたんだ。慌てて顔を引き締めてみても、かえって不自然に引き攣ってるような気しかねぇ。しかもその間、兵長は全然目を逸らそうとしないから余計に落ち着かなくなる。

だからかその所為で、いや、兵長を悪く言うつもりなんざねぇけど、何となくオレも目を逸らせずに結果として見つめ合った状態のままで居ると、逆弧に曲げていた兵長の口が開いた。

#「わざわざ言うもんでもねぇだろ……諸手挙げて喜べとでも?」
>「それはそれで見てぇ気が……じゃなくて、駄目ですか?」

間髪入れねぇ問い返しに沈黙が流れる。

……やっぱり何かマズかったか?何かこのまま動けねぇし、変な汗が出て来ちまいそうだ。

こんな戦わなくちゃいけねぇ残酷な世界だからこそ、「生きている」って意味を噛み締められる。勿論、この世界から残らず巨人を駆逐するまでは、家畜みてぇにただ居る気もねぇけど。
曖昧な視界の中で見た、あの姿に――夢想するように思い描いていた所で、兵長の声が思考を引き戻させる。

#「……本当にガキだな」

ぽつり、と息混じりの言葉が漏れた。その言葉に、今度はオレの方が口を閉ざし沈黙を流す羽目になる。自分が何も言い出してねぇ癖に生まれた無言の間が気まずく感じている内に、兵長から呆けてるんじゃねぇって怒られちまったけど。

すみません、と慌てて頭を下げながら、一方で兵長の顔をちらりと伺う。……さっき一緒に吐き出された白い息は溜め息のようだったけど、呆れ以外の――兵長の言い方で例えると「悪くない」響きが籠もっていたのは気の所為なんかじゃねぇ。盗み見た兵長の顔は、無表情でも穏やかに凪いでいたから。



#「……オイ、エルヴィン。何で教えた」
>「隠す必要も無いだろう?……ところでリヴァイ」
#「何だ」
>「お前は訊いて来ないのか」
#「必要ねぇだろ」
>「そうだろうな。楽しみにしていよう」
#「……」



#(誕生日)

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182 :塩津元(K/小説版SIDE:RED)
2013/11/26(火) 23:56

(小説版SIDE:REDおよびSIDE:BLUE内容諸々がっつりネタバレにつき、注意)
(回避)>>181


……十年。何から、誰から見ても、長過ぎた時間だ。
時間が経ったって何も戻りはしないってのに、惰性だけがあって年月と共に歪んでいった。
とうに分かっていた。あんなガキに何をさせるのか、知っていて尚どうこうしようという気にはならなかった。「本来」の役目を果たすべきならば、どうするべきか考えた行動は出ていたってのに、考えるのを止めていた。そうでなけりゃ、こんなに……十年間も、引き摺っちまったりはしない。
寄り道でもない。ただ、ずるずると分かっていたのに引き延ばしていた。

お前には分かっていたのだろう。傾き墜ち掛けたあいつを止める為に斬ったお前なら。そうだろう、善条。これからどうするのか分からねぇが、いつだって正しいお前は間違えない決断をするのだろう。
……そうしてふと、自分が吐いた台詞を思い返す。

>「安心しろ、俺みたいにはならねぇ」

投げ掛けた言葉は、慰めにしてもあまりにも無責任が過ぎる。
あの赤の若造の中に過ぎった感情は、俺も知っているものだ。思い知って、残ったものを抱え切れずに身を持ち崩した今。そうはなるなと、忠告にしては身勝手だろう。

王は生まれる。新しい王が、それが近い内なのかまだ遠い先なのか、分からねぇが。そんなもんは、石盤の意志だけが知っている。
だが、それは「王」であっても俺達の、にはならねぇ。嘗てあった筈の大義は曇って見えなくなっちまって、失っちまった身にはその資格もなけりゃ許しもしないだろう。
そして、望もうとも思わねえ。

透き通った空のような嘗ての王を思い出す。
今の俺達を見てあいつは呆れるだろうか、それとも軽蔑するだろうか。……いや、湊兄弟をクランズマンにした時のように、少し困った笑みを浮かべて許すのかもしれねぇ。
結局は、単純な事だった。縋って見っともねぇ様だろうとしても。

俺達の「王」は、あいつ――羽張迅、ただ一人だけだったんだ。


(回避)>>181

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181 :藤/堂/平/助(薄桜鬼)
2013/11/25(月) 23:49

刀を通して、生々しい感触が伝わって来る。
血脂で刀が上手く抜けねぇ。鉄が錆びたみてぇな、嫌な臭いが立ち込めて鼻から肺を満たして吐きそうになる。気持ち悪ぃ、って喉から呻きが漏れた。
……五感全部が、オレがやった事を知らしめて来る。これが、「殺す」って事なんだって。
止まらねぇ震えが、かえって斬った実感を強くさせる。忘れようとしたって、忘れられねぇし逆に意識しちまう。

何で。……何で皆、平気で、当然みてぇな風に居られるんだ。いや、本当はそうじゃねぇのかもしれねぇけど、だけど、オレみたいになってるように思えねぇ。
覚悟はしてたんだ。してた筈、なんだ。皆と同じように、だけど、やっぱり違ってたんじゃねぇかって思っちまう。ただ、皆で馬鹿してた方が――って。思っても、遅いってのは分かってるけども。

……怖ぇ、と思う。
殺す事もだけど、その感覚に慣れちまうのが。

いつか、オレも慣れちまうんだろうか。
こいつらみたいに人を殺す事が、血を浴びる事が、気持ち良いって思うようになっちまうんだろうか。
――化け物に、なっちまうんだろうか。

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181 :藤/堂/平/助(薄桜鬼)
2013/11/25(月) 23:49

刀を通して、生々しい感触が伝わって来る。
血脂で刀が上手く抜けねぇ。鉄が錆びたみてぇな、嫌な臭いが立ち込めて鼻から肺を満たして吐きそうになる。気持ち悪ぃ、って喉から呻きが漏れた。
……五感全部が、オレがやった事を知らしめて来る。これが、「殺す」って事なんだって。
止まらねぇ震えが、かえって斬った実感を強くさせる。忘れようとしたって、忘れられねぇし逆に意識しちまう。

何で。……何で皆、平気で、当然みてぇな風に居られるんだ。いや、本当はそうじゃねぇのかもしれねぇけど、だけど、オレみたいになってるように思えねぇ。
覚悟はしてたんだ。してた筈、なんだ。皆と同じように、だけど、やっぱり違ってたんじゃねぇかって思っちまう。ただ、皆で馬鹿してた方が――って。思っても、遅いってのは分かってるけども。

……怖ぇ、と思う。
殺す事もだけど、その感覚に慣れちまうのが。

いつか、オレも慣れちまうんだろうか。
こいつらみたいに人を殺す事が、血を浴びる事が、気持ち良いって思うようになっちまうんだろうか。
――化け物に、なっちまうんだろうか。

189 :リヴァイ(進撃の巨人)
2014/03/18(火) 23:52

選択肢を選び取り、他の可能性を切り捨てて、結果を思い知る。
何度となく経験してきた。心は冷えて、冷静のハズだ。それでも浮かぶ思考に、切り捨てられねぇ愚かさを知る。

……失いながら戦い進む事が、人間や生命を超える事であるのなら。それは恐らく、「化け物」であり、そうなるという事なのだろう。

だとしたら俺は決して、化け物にはなれねぇ「人間」だ。
だからこそ、それが出来るヤツに対して「化け物」の意味を肯定する。
囀った言葉は慰めにすらならねぇ、ただ俺自身の勝手な願望だ。
何が「正しい」のか、分からないが故の押し付けとも言って良いだろう。
悔いが無いようにと言って、悔いは無いと言って、付き纏う矛盾を飲み込んで知らぬ振りをする。

そうしてその上で、あの時確信と共に見据えた瞳に言葉ではなく思いを向ける。

クソみてぇに分かりやすく見せて示した「演出」ながらも容赦は無い暴力に、決して折れず、失う事を恐れず、逆に深く強く研ぎ澄ませて牙を向ける。
それは今にも蒼穹へ飛び立とうとする鳥のように、自由を渇望する餓狼のように。
「巨人化の力」があるから、じゃねぇ。決して誰にも、何にも変えられねぇ、変えさせられねぇ本質。

どんな感情でもあっても。俺はそれを知っている。分かっている。思い知っているからこそ、その上で思う。お前は、お前の意志で。

お前は化け物で居ろ。

道徳や条理に外れ背いていようとも。それが、化け物を超える為と存在であるというのなら。
他の余計なもんは持っていなくていい。そんなもんは必要ない。ただ一つだけを、放たれた矢のように貫いていけばいい。そんなお前が、俺は。

ああ――悪くねぇとも。