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┗付箋と栞だらけのネタ帳(211-220/234)

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220 :リヴァイ(進撃の巨人)
2017/06/24(土) 23:19

(単行本21巻特別版付録小雑誌の内容ネタバレ含む為、注意)
(回避)>>219


まともに雨を認識したのは、地上に出てからだ。

地下に居た時はせいぜい地下天井の隙間から漏れ出た景色から垣間見るのが関の山で、地面から水が溢れた時に大雨だという事を感じ取るくらいだった。
地上へ出て天候というものを把握してから雨自体はそこまで珍しくはない現象だと知ったが、好きか嫌いかで問われると好きではないと答えるだろう。
外の掃除も碌に出来ねぇ上に空気の入れ替えも出来ねぇから、ジメジメしてカビが生えやすく洗濯物も満足に干せねぇ。

今日は幹部会議だ。俺やハンジ、ミケは兵団の本部に既に居る為、今不在なのは貴族どもとの会議に行っているあいつのみ。碌に現状なんざ知らねぇ奴らとの話し合いが長引いて遅れちまうという事もままある為にその点に於いては然したる問題ではないが、ずっと降り続いている雨の事が気に掛かった。
出掛ける時に雨が降りそうだから念の為に雨具を、と伝えはしたが、当の本人は余計な荷物は不要だのなんだのと言って、雨具は持って行かなかった。そしてこの雨だ。いつかの意趣返しのように無様な濡れ鼠姿を揶揄っても良いかもしれないが――思い浮かぶのは、感傷に濡れたあいつの顔だった。

選び、切り捨て、進んで来た。雨でも流し切れねぇ血溜まりと屍の上に立って――そして最後に差し出すのは、恐らく。碌でもねぇ夢に引き摺られる前に、口唇を噛み締めて思考を打ち切る。俺が、戦い守ればいいと。

まだ幹部会議まで時間はある。どうせあいつが戻らねぇ内には始まらねぇし、時間的には徹底的な掃除を行うには難しい。
窓から視線を外して部屋を出た後、自分の分は勿論あいつの雨具を手にして廊下を歩いていると向かい側からハンジとミケが並んで歩いているのを見付けた。

>「あっ、リヴァイ!」

あちらも此方の姿を確認するや否や、ハンジが大股で近付いて来た。つい反射的に踵を返しそうになった足を押し留め、二人を見遣る。

#「お前等、どうした」
>「決まってるだろ、私達も同じさ」

何が、とは言われない。言葉の代わりに、俺が持ったもう一人分の雨具へ向ける視線が問い掛けの代弁をしていた。

……昨夜、研究書類の整理が何だとか言っていた気もするが、それは終わったのだろうか。それよりも風呂に入ったのかすら気になって来る。仕事の方はモブリットに任せたもとい押し付けたのだろうと判断してそれは置いておき、こいつは後で幹部会議が始まる前に風呂にぶち込んでおこうと固く決心した。

>「……雨の匂いがすると言いはしたが」

スン、と鼻から空気を吸い込んでミケが言う。どうやらミケにも言われていたらしい。どうせ頷きながらも生返事だったのだろう、と想像が付いて無意識に眉間に皺が寄った。全く、あの野郎め。
行くぞ、と溜め息代わりに歩き出す。この天気なら少しばかり幹部クラスが居なくとも、大した問題は起こらないだろう。それよりも、この調査兵団の団長が濡れ鼠で辛気臭ぇツラしている方が余程問題だ。

>「さぁ、我らが調査兵団を迎えに行こうか!」
#「喚くな」

遠慮などひとかけらもなく、ハンジが俺とミケの背中を叩いて急かす。その勢いと間近に響く大声に顔を顰めつつ、出掛ける前にもう一度窓の外を見た。

外はまだ雨が降っている。その内止みそうな雲行きではあるが、それにはまだ少し早いだろう。
雨に濡れ思う面を見るなら、嘗て見上げたあの顔が良い。そう思いながら、あいつの雨具を握り締めた。



(回避)>>219

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219 :エレン・イェーガー(進撃の巨人)
2017/04/29(土) 23:28

五年。忘れもしないあの日から短ぇようで、長い気もする。
超大型巨人によるウォール・マリアの崩壊から、開拓地へ行かされ更に約二年間の訓練生活を経て、志願に沿った兵団へと配属になる日もあと少し。

これからだ、と思った矢先。
肌を焼くような熱い蒸気に視界を奪われ、直後に足元を揺るがす衝撃に立っていられず視界が反転する。同時に身体が浮き上がった感覚に、自身が中空へ投げ出されたのだと思い至った。

一体何が起こった、という思考と共に、まさか、という確信にも似た思いが過ぎる。
しかしこの真っ逆さまに落ちていく現状、悠長に考えている暇など無い。とにかく今の状況をどうにかする方が先だ。
意識を切り替え直した矢先、程近い場所で自分よりも速い速度で落ちていく影に気付く。落下の途中で意識を失っているらしい同期――あれはトーマスだ。呼び掛けてみても、返事が無い。先程の衝撃か何かで、気を失ってしまったのだろうか。このままでは地面に激突する、と判断して咄嗟にアンカーの先端を落ちていくトーマスの足に突き刺して壁に固定する。
その後は直ぐ近くに居た仲間に呼び掛けてトーマスの事を頼み、壁上を見据える。この確信通りなら、あそこに。
胸内から衝動を燻らせながら確実に立体機動のアンカーを壁に突き刺し、巻き上げの勢いで壁上へ再度登る。衝撃の所為か崩れ掛けた箇所もある壁上に立つと、いまだ治まらない熱風が顔に吹き付けて来た。

――「あいつ」だ。

ウォール・マリアと同じく50メートルの高さであるウォール・ローゼよりも大きな存在は、ただひとつ。五年前に初めて姿が確認された超大型巨人のみ。
顔面の皮が無く剥き出しになった面は嘗て見た時と変わりなく、思わず全身に駆け巡る震えを高揚だと言い聞かせて、両脚を壁の上にしっかりと付ける事を意識する。
そうやって出た声は、深く息が籠もって低くなった。

>「五年ぶり…だな」

五年前、あのシガンシナで見た以来。
あの時は無力を噛み締めながら、ただ見上げるだけだった。戦う術も、強さも、何もかもが届かなかった。
だが、あれから五年を掛けて、無力ではないように、強くなろうと、戦う為の術を得る為に此処まで来た。

この手が届く距離に在るのだと――忘れもしない決意を胸に、「そいつ」を睨み付けた。

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218 :沖/田/総/司(ちるらん)
2017/03/12(日) 23:00

頭の中で鳴り響く声が煩い。

鬱陶しくてならないのにこのまま埋もれてしまいたい気もして、曖昧な意識で不意に思い出す。

あの人の所に住まわせて貰って、まだ他の皆とも揃っていなかった頃。昔から逞しくて温かいその肩に乗せて貰いながら、聞いていた話。
守りたいものの為に、命を散らす事が「武」の心なのだと。

心が無いと言われたボクに、心を教えてくれた。力になりたかった。役に立ちたいと思った。あの人に、恥じないようにと望んだ。だとしたら、それは、ボクにとっては。
あの人の、貴方の、近藤さんの為に。……ボクは。

――負けたくない。守りたい。

頭の中で声がぐるぐると廻る。相変わらず鬱陶しくて煩わしくて堪らなくて、しかしそれを叩き伏せる。
そうすると、あれ程煩かった頭の中が凪いでいく。とても静かで、酷く冴えていた。

目の前は赤く、心の臓を削るような感覚が廻る。これまでと同じで、だけど自らの意志を以って動くのが分かった。

近藤さん。ボク、分かったような気がします。あの時は分からなくて、今までもそうだった事が。
響いていた頭の中の声すらも黙らせて飼い慣らして、この身を散らすのは他でもなくあの人を守る為なのだと。

血溜まりの中、柄を握り締めて立ち上がる。あの人の前に立ち塞がるものを、ボクの意志で今度こそ斬る為に。

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217 :EASY(DRIFTERS)
2016/10/09(日) 22:32

>(アニメ放映ネタにつき、注意)


ちょっと!ねぇちょっと何で私の出番無いのよ!?
何で!アイツの方が先なワケ!?事情なんて知ったこっちゃないわよ、あーもームカつく!!
しかも何よ、ちょっとしか最後映らなかったじゃない!?何処の手ブレ心霊写真なのよ。

……まぁ良いわ。どの道、私の勝ちなんだもの。
どんなに目立ったって頑張ったって、無駄で、敵わなくて、どうしようもないの。
それを思い知りなさい。見ていたら分かるでしょう、……ねぇ?

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216 :エレン・イェーガー(進撃の巨人)
2016/09/24(土) 23:07

選べ、と。
内部が崩れ落ちていく中で告げられたのは、あの時と同じ言葉。

このままでは全員瓦礫の下敷き。そうなったら、助かる見込みなど無い。それを脱せる手段は限られているが、あまりにも不確定過ぎていて逆にこのまま居るよりも悪化するかもしれないという可能性。

皆がオレを、オレの選択を待っている。どうするのか、どうしたいのか、どうするべきか。
その視線に嘗て、巨大樹の森の中での事が脳裏にフラッシュバックする。

思いたくて、信じたくて、けれど選択を間違えたばかりに失った時の事。
エルドさん、グンタさん、オルオさん、ペトラさん。……リヴァイ兵長。

オレを信じてくれたのに。オレが選択を間違えていなかったら。オレがもっと、強かったら。皆、まだ。
結果は誰にも分からないとあの人は言ってくれたけど、後悔はいつまでも引き摺って付き纏う。
今回だって同じかもしれない。また繰り返してしまうかもしれない。信じたかった、けれど信じた結果は間違っていた。再び誤りを選んでしまう事が怖くて、それでも。

裸足で駆け出した先で、誰にも分からない可能性を掴みながら願う。

どうか、今度こそ。
信じたい、信じさせて欲しい。自分を、仲間を、失わせない為に。

砕き割り飲み込んだ祈りの中に、溢れ出した涙が宙を舞って溶けていった。

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215 :今/剣(刀/剣/乱/舞)
2016/09/20(火) 21:28

(極、及び回想の内容諸々ネタバレにつき、注意)
>>214(回避)


あるじさま、ぼくのあるじさま。
いってきたあのときから、ぼくはしったことがあります。

ぼくは、よしつねこうのまもりがたなで。でも、よしつねこうのさいごのときにはぼくはおそばになくて。
へん、ですよね。おかしいですよね。あるはずのものがなくて、ないはずのものがあるなんて。

ぼくは、「今剣」はいったいどんなものだったのでしょうか。
ないはずの、でもよしつねこうのまもりがたなであるぼくは、きっと。

ぼくのこと、よしつねこうのさいごのときのこと、かえてはいけないれきしのことをしりました。
まえに、どうしてれきしはかえていけないのか、ときいたことがあるんです。
そうしたら、そういうものだ、って。いわとおしは、きっとしっていたんですね。だから、れきしはかえてはいけないものだっていったのですね。

れきしがあったから、そんざいしている。それをかえてしまったら、そんざいしなくなってしまうから。
そんざいしているのだと、おもって、そうしてくれるものがあるから。あるじさま、そうでしょう?

あるじさまのおそばにいます。あるじさまの、ぼくですから。
だからずっとおそばにおいてください、ね。


>>214(回避)

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214 :ライガット・アロー(ブレイクブレイド)
2016/09/17(土) 23:31

――思わず息が、止まった。

居る筈が無い。そんな事は有り得ねぇ。他の誰よりも分かっているのに、思ってしまった。

風にたなびいた長い髪が。
脳裏に、目の前に焼き付いた面影が。
あの、いつも馬鹿にしたような声が、耳に落ちて来たような気さえした。

そうして、不審げに呼び掛けられて我に戻る。そこに在るのは、今度から部下になるという奴の顔で。
いきなり呆けて何なんだと思われたって仕方無い。

よく見てみりゃ、髪の色も違うし――似ているけど、もう少し年下っぽいし。
……だが、とついつい呼び間違えそうになりながら、思う。

あの時、振り返り見たその顔に。
……あいつがそこに、居たと思ったんだ

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213 :マ/サ/カ/ドサマ(一血卍傑)
2016/09/14(水) 23:24

(記述当時未所持の為イメージ先行、注意)


にはくなふりが鳴弦と共に飛び立ち、嚆矢を羽搏き散らす。
一雫契り祓った血が分かたれ、花を染めて色映すのは廻る天命。蘇る嘗てとは違う理を超え、向き合ったのはただ独り。
よすがに請う呼び声に、導きを経て證文なぞ無くとも我が身が声聞と告げたなら。幾年にも忘れ失せた安寧を覚え望む。
幼けない赤子のように今は届かぬけれどと、御身が差し出した手底を取った。見据えられた瞳が覚悟を貫き、懊悩と嘆く宣は無く錚々たる魄霊を束ね戦を往く。

口唇が乗せた刹那に求めるのは何が為か。
我が五体が揃うなら、往時の如く征野を駆けよう。
かの先に昼でも淀む雲が阻むのならば、無天裂く靂とも応じよう。
契り産み出す御身に掛かる遍く全てを千切り払おう。
今一度凋落の北風に反旗を翻し、命運を繋ぐ――慰みの挿頭の花として。

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212 :ある日の104期訓練兵達(進撃の巨人)
2016/08/21(日) 22:02

>「ベルトルト……俺にも春が来たらしい」
「……はぁ……?」
>「朝から、クリスタが俺の事をちらちらと見て来るんだ。俺に気があるに違いねぇ」
「……そ、そうかい……」
>「ふっ、参ったな……まだ俺には心の準備が……おっと、クリスタから近付いて来るとはなんて積極的な……」

#「あ、あのね、ライナー……」
>>「クリスタ、放っとけって。そいつの服のケツ破けてて丸見えだって事なんてな」
『!!?』

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211 :点蔵・クロスユナイト(境界線上のホライゾン)
2016/07/21(木) 21:34

>給金を、上げてと申請、許可が出ず 様宛
とうとう自らの書まで売りに出したので御座るか。(迫真)

……というのは勿論冗談で御座るが、御無沙汰に御座った。反応が遅れてしまい、大変申し訳御座らん。……いや、そこでエクストリーム土下座もスタイリッシュ切腹もしないで御座るよ?しないで御座るからー!……コホン。

これまでの書の記憶が消えてしまうというのも物寂しくあるで御座るが、新しく認めて綴るというのも気持ちも新たに出来て良いものに御座るな。自分……存在的な意味でも消えてばかりで御座るが、何卒今後とも宜しく御願い申し上げるで御座る。
#変わらぬ縁を、と。

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214 :ライガット・アロー(ブレイクブレイド)
2016/09/17(土) 23:31

――思わず息が、止まった。

居る筈が無い。そんな事は有り得ねぇ。他の誰よりも分かっているのに、思ってしまった。

風にたなびいた長い髪が。
脳裏に、目の前に焼き付いた面影が。
あの、いつも馬鹿にしたような声が、耳に落ちて来たような気さえした。

そうして、不審げに呼び掛けられて我に戻る。そこに在るのは、今度から部下になるという奴の顔で。
いきなり呆けて何なんだと思われたって仕方無い。

よく見てみりゃ、髪の色も違うし――似ているけど、もう少し年下っぽいし。
……だが、とついつい呼び間違えそうになりながら、思う。

あの時、振り返り見たその顔に。
……あいつがそこに、居たと思ったんだ

219 :エレン・イェーガー(進撃の巨人)
2017/04/29(土) 23:28

五年。忘れもしないあの日から短ぇようで、長い気もする。
超大型巨人によるウォール・マリアの崩壊から、開拓地へ行かされ更に約二年間の訓練生活を経て、志願に沿った兵団へと配属になる日もあと少し。

これからだ、と思った矢先。
肌を焼くような熱い蒸気に視界を奪われ、直後に足元を揺るがす衝撃に立っていられず視界が反転する。同時に身体が浮き上がった感覚に、自身が中空へ投げ出されたのだと思い至った。

一体何が起こった、という思考と共に、まさか、という確信にも似た思いが過ぎる。
しかしこの真っ逆さまに落ちていく現状、悠長に考えている暇など無い。とにかく今の状況をどうにかする方が先だ。
意識を切り替え直した矢先、程近い場所で自分よりも速い速度で落ちていく影に気付く。落下の途中で意識を失っているらしい同期――あれはトーマスだ。呼び掛けてみても、返事が無い。先程の衝撃か何かで、気を失ってしまったのだろうか。このままでは地面に激突する、と判断して咄嗟にアンカーの先端を落ちていくトーマスの足に突き刺して壁に固定する。
その後は直ぐ近くに居た仲間に呼び掛けてトーマスの事を頼み、壁上を見据える。この確信通りなら、あそこに。
胸内から衝動を燻らせながら確実に立体機動のアンカーを壁に突き刺し、巻き上げの勢いで壁上へ再度登る。衝撃の所為か崩れ掛けた箇所もある壁上に立つと、いまだ治まらない熱風が顔に吹き付けて来た。

――「あいつ」だ。

ウォール・マリアと同じく50メートルの高さであるウォール・ローゼよりも大きな存在は、ただひとつ。五年前に初めて姿が確認された超大型巨人のみ。
顔面の皮が無く剥き出しになった面は嘗て見た時と変わりなく、思わず全身に駆け巡る震えを高揚だと言い聞かせて、両脚を壁の上にしっかりと付ける事を意識する。
そうやって出た声は、深く息が籠もって低くなった。

>「五年ぶり…だな」

五年前、あのシガンシナで見た以来。
あの時は無力を噛み締めながら、ただ見上げるだけだった。戦う術も、強さも、何もかもが届かなかった。
だが、あれから五年を掛けて、無力ではないように、強くなろうと、戦う為の術を得る為に此処まで来た。

この手が届く距離に在るのだと――忘れもしない決意を胸に、「そいつ」を睨み付けた。