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119.龍兎相和
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185 :白珠の手記(崩壊:スターレイル)
2024/10/28(月) 00:00


※独自設定、捏造過多

華燭を灯す前夜
紆余曲折──と書いたものの主因は花嫁修行もとい嫁に行く気がなく、その全てを放棄して星槎乗りとして生きて来たが故だけれど、嫁入りの準備にそれはもう苦労をした。まず鬼灯での染色、染め物をしたこともなければ、一生無縁だと思っていたのに。応星に手解きをして貰って、なんとか形にはなった筈。思えば本当にあの晩で全てが変わったものだと思う。そこからは曜青へ行く準備や、戻ってきてからもせっせっと針仕事に勤しみ、時には鏡流に泣きついて、ついでに景元から美味しいお菓子を分けて貰ったり、もう無理ってなったときには応星に知恵を借りた。そして何より丹楓があれで裁縫が出来ることに対して、何故だかどうしようもない程に対抗心を燃やしてしまったことを此処に告白しておこうと思う。スイカの種は飛ばせないのに裁縫が上手いなんて聞いてない。

そんなわけで二ヶ月以上をかけて仕上がった刺繍の出来は上々。満足の行く仕上がりになったと思う。鬼灯で布地を緋色に彩り、翠龍の刺繍、そして持明族の象徴たる蓮の花、龍の傍へは淡藤の狐を添えて。縫い目は多少の歪さはあるけれど、そこは御愛嬌。本当に曜青で全てを済ませていたら二ヶ月以上も会えないところで、下手したら曜青に飲月君が乗り込んできたと大騒ぎになるところだった。笑い事じゃない。

そしていよいよ、明日。全ての準備を終えて嫁入りをするのだと思うと感慨深い。両親にはタイミングが合わず会えなかったが羅浮には着いたと報せがあった。鏡流と応星がもてなしてくれるそうだ。あの二人なら安心だろう。

古い習わしではあるけれど今夜は丹楓とは違う部屋で眠り、あたしは明日の朝(というにはもうほぼ深夜ではという時間)から身体を清め、磨いて丹楓が仕立ててくれた花嫁衣装に袖を通す。丹楓の瞳──古海の色を宿した美しい上質な衣を纏って、そしてあたしは正式に楓妃となる。丹楓が「我が妻に相応の位を授けよ」と龍師に迫り、そして与えられたのが“楓妃”。我が背の君から一文字貰った贅沢で大仰な称号だけれど、それに相応しくありたいと思った。

背筋が伸びる、明日を迎えてもあたしは何も変わりはしない筈なのにそれでも間違いなくこれは節目だろう。曜青の狐族、星槎乗り、ナナシビト、雲上の五騎士…様々呼ばれるあたしを構成する全て、そこに新たに加わる楓妃。愛しいあの人の花嫁となる。昔、ひいおばあちゃんが言っていた。花嫁とは人生を花に喩えたときに一番美しく咲き誇るから花嫁なのだ、と。あたしもそうなれるだろうか、なれるといいな。


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Bai Heng


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186 :丹楓の手記(崩壊:スターレイル)
2024/10/28(月) 00:00


※独自設定、捏造過多

華燭を灯す前夜
その美狐は、ある日穹から落ちて来た。

波月古海に盛大に墜落した星槎。中に独り残って居ると聞き、海中から救い出し、薄藤の、濡れ鼠ならぬ濡れ狐を腕に抱く。水を多く飲んでいたのでそれを体内から雲吟で以て取り除き、尚も呼吸の止まった青い唇に直接酸素を吹き込んで蘇生を試み…事なきを得た。後日容態を伺えば、けろりと笑って「よくあること」と宣う。……それが、余にとっては全ての始まりだ。

よく笑い、昼夜を問わず皆を照らすお前に惹かれて止まなかった。我ら五人が奇妙にも酒席を共にし、肩を並べ得る間柄になれたのは…間違いなく、白珠、お前という存在あってこそだろう。
お前に焦がれるあまり、似た狐を連れ込んでは、白珠ではないと袖にした。不義で不埒な余の行いは濯ぎきれるものでは無いが、償えぬ罪ならば抱えて往くしかあるまい。


…あの日、酒を強請ったお前を屋敷に呼び付け、夢と嘯いて天蓋の中で肌を重ねた。その終い、お前の一言で我らの虚栄は呆気なく剥がれ落ち、夢を現に変え、夢より甘い恋をした。それらの何もかもが昨日の事のようで、何百年も過去の話のようでもある。


──明日、白珠と華燭の典を挙げる。

独り寝は頑として拒絶するつもりであったが、今宵ばかりは致し方あるまい。余の為に咲き、凡そ三百年程の生涯のうち、もっともうつくしい花となる…その身支度を整えるべく発つ白珠を、薄暮の頃に見送った。
明日になればこの日の為に誂えさせた星槎に乗り、天舶司まで花嫁を迎えに行くのだ。

我が妻に相応の位を授けよと龍師に迫り、公に“楓妃”の尊号を認めさせた。薄藤と黎明が似合いのお前に良く映える差し色となるだろう。…余の色と名が、お前の一部となる。これ程の悦びが在るだろうか。

針仕事に勤しむお前の共であった行燈も今日は一度も点かぬまま。天蓋の中独り、お前に焦がれて夜を過ごしている。だがせめて…前夜であれど、お前の毛繕いだけは誰にも譲りたくはなかった。そればかりが心残りだ。

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Dan Feng


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198 :丹楓(崩壊:スターレイル)
2024/11/03(日) 13:50



「狂って」



墜ちるばかりの余の足に、艶めかしくそれは絡み付き、爪の先から溶かされて行く。繊月の如き狐の眸に、喰らっているのはどちらだったかと錯覚した。

繋いだ手指だけがまるで初々しく、お前が「すき」と口にするたび、あの日あの夜、余の世界の色を変えた、あの瞬間を思い出すのだ。何度でも、何度でも。

白珠。お前のすべてが愛おしい。


華燭の典。(捏造、独自設定多)
豪勢に飾り付けられた星槎に乗り、天舶司まで花嫁を迎えに行く。星槎の行く先々で鐘が鳴り、羅浮にこだまして、余の到着を花嫁に報せてくれる。良き日であった。
開いた門の向こう、翠色に染まる花嫁衣装を纏った白珠は……美しかった。語彙を掻き集めても、そのうつくしさを喩える術を余は知らぬ。

花弁の舞う道を往き、祝福を浴び、口を開けば幸せだと笑う白珠に余の多幸感も増して行った。神酒を飲み交わし、帝弓に礼を為してようやく……正式に我らは番となったのだ。


夜。星槎で屋敷に戻り、重たい装飾品を幾つも順に外し、一枚、また一枚と花嫁衣装を脱がし…その甲に接吻をした。夢と嘯く必要のない天蓋の中で肌を重ね、お前の総てが余のものになったのだと繰り返し言い聞かせて白珠を抱いた。愛する美狐の艶香に宛てられ、すべてを捧げる羽目になったのは余の方であったかもしれぬ。
角も、尾も、鱗さえお前に愛でられ狂わされていく、その道程の、なんと悦ばしく気持ちの好いことか。

忘れられぬ夜がまた増える。何百年先までも、この身がお前だけを覚えている。


楓妃、あなたが与えてくれた新しいあたしの呼び名。あなたのものになったのだと、そう自覚をさせてくれた。天蓋の中のあなたはあたしだけが知る特別なあなたで。あたしその表情が一番好きです。あの晩のように繋いでくれた手も、あなたが何度も“白珠”と呼ぶだけであたしの心は満たされて、あなたの熱にずっと浮かされた儘。幾久しく、どうぞよろしくお願いしますね。



Dan Feng


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199 :白珠の手記(崩壊:スターレイル)
2024/11/03(日) 21:44


※独自設定、捏造過多

華燭の典

あの日、星槎が羅浮の古海に落ちたとき、目を開けたあたしの視界に入ったのは古海を映し出したようなうつくしい翠の瞳だった。今日はその色を纏って、あたしはあの人の花嫁になった。身体を磨き上げられ、上質な衣を纏って、化粧を施された。そんなあたしを気に入ったのか、迎えに来た丹楓はとても上機嫌だったように見える。予定にはなかった行動までして、それだけあたしに焦がれてくれたのだと思うと悪い気はしなかった。

そして帝弓の御加護を得た。ひいおばあちゃんが言っていた。「狐族の娘はね、嫁入りの日に陽光の元、雨が降ればそれは帝弓さまが祝福してくれているのよ」と。そんな御伽噺に憧れたことなんてなかった。でもそれは起きた。だからあたしはそれを丹楓に語ると流石に初耳だったのか、彼が雨を降らせたわけではなく(ほんの少し疑っていたのは彼が知っていたら雨を降らせただろうから)、本当に帝弓があたし達を祝福してくれたような気がした。

式は恙無く終わり、視界の端で涙ぐむ両親と鏡流がいた。応星と景元も祝福をしてくれ、あたしはきっとその日、一番美しく咲く花であったと思う。式を終えるなり待ちきれないと丹楓に誘われ、屋敷に戻った。丹楓の口元に移る紅が彼の肌によく映えて、あたしと口付けしたという事実を残す色があまりに綺麗で。

そして名実共にあたしは彼の妻となり、楓妃を冠することとなった。これは丹楓があたしを愛してくれた何よりの証。この日をあたしは生涯忘れることはないだろう。間違いなく今日のあたしは宇宙で一番幸せだったと胸を張れるくらいには、幸せな一日だった。


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Bai Heng


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