羅浮で巻き起こった諸々の事態が一旦の収束を迎え、平穏と呼べる日常に戻った。
二日間の休養を貰い、初日は三月の診察に付き添って丹鼎司へ。結果、呼雷との戦闘に於ける狼毒の影響を鑑みて、三月は出場辞退を余儀なくされた。目的そのものが演武典礼ではなかったとは言え、それを目標に頑張っていた三月は少し堪えた様子で……珍しく落ち込んでいた。
思い付く限りの励ましを送ったつもりだが、俺はもともと言葉が上手い方では無い。……心残りにならなければ良いんだが。
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……そんな時に、と…思う反面、危機を超えた後というものは、どうしても愛しい者をより傍に感じたくなるようだ。それが俺だけではなかった、その事実が何より嬉しい。
………。
普段は鈍感なくせに、髪留めを外す、そのひと仕草で俺の意図を察してくれる。一度は躊躇っても、お前が俺を甘やかすから直ぐに我慢が利かなくなる。結果、「優しくする」と言った約束を反故にしてしまったことについては反省している。(だが回数で言えば少ない方だったはず、それを「めちゃくちゃにされた」と評されるのは些か納得行かない部分もある)
最中に痕を付けてと強請る姿があまりに嬌艶で、寝際に思い出してしまったのを眠気にかまけて理由とし、改めて寝間着を剥いで襲ったものの…あえなく寝落ちという始末。……正直、物足りない。
ことの最中は勢い余っても、いざ平時にあからさまな痕だらけのお前を見ると…何とも居た堪れない気持ちになる。だがきっと、それでも繰り返してしまう。居た堪れないと同時に、……いや、これは直接話そう。
# 余談そんなに気に入ったのか、と驚くほどに三月が耳に興味津々で嬉しい反面複雑だ。持明族なら皆同じだと思うが……、…触るのは俺だけにしておけ。
めちゃ匂わせる〜!また寝る前に聞きに行かなきゃ。すごく幸せな二日間だったよね、痕だらけで隠れないけどそれだけ丹恒がウチのこと好きってことだし嬉しいなって思う。丹恒の耳しか興味ないもん、安心していいよ!Dan Heng