寝起きの白珠は無防備だ。決して寝相が悪いという訳でもないが(よくもない)……余の腕の中でたっぷり微睡みに耽った後は、とくに寝間着の乱れも意に介さぬらしい。

その姿のまま人前に出る事は以後慎むように。
例え空腹に食事の匂いで誘われても、だ。

人が居るとは思わなかったんですよ、ちゃんと気をつけますから安心してくださいね？♡

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すっかり羅浮の食事に慣れたと、そう言って好物の点心を頬張るさまは愛らしいことこの上なく、白珠が幸せそうに食事する光景を眺めるだけで余は心だけでなく腹も満たされる。
だというのに、何度も余の口許へ焼売やら桃やら差し出して来るのは困った。甘い声で、与えるくせに強請るような眼差しで、妙に色香を感じる。拒むことも出来ずに三口も餌付けをされ──

「もう少し頑張りましょう？」
「ほら、もう１回」
「ちゃんと食べて下さいね」
「あーん、して？」

…………余は幼子では無いのだが。
何も言わずされるがままに咀嚼していれば褒めそやされ、気恥ずかしいやら腹立たしいやら。……反面、満更でも無いとは言えず仕舞い。斯様に余を甘やかし機嫌良く笑む、お前の愛らしさには何一つ敵わぬ。


食事を済ませた後は天舶司を主に各所を巡り、挨拶と荷の確認を行い、それらが片付いた所で白珠を呉服屋へ連れて行き花嫁衣装を見せてやった。いたく感激していたようで気分が良い。

あれを着たお前を迎えるその日が、絹糸を選んだ時から待ち遠しい。

あなたがあんまり食べてなかったのでお手伝いをしたんですよ、もっとしっかり食べないとみんなが心配しますよ？また今度食べさせてあげますね。花嫁衣装は嬉しかったです、調整も予定通り行ってますし、あとは刺繍だけですね。…そちらの進捗はノーコメントで。


Dan Feng

今日は丹恒とゆっくり過ごす日！…だったんだけど些細なことで喧嘩しちゃったんだよね。ウチと丹恒って考え方も違うし、思うことも全然違う。タイミングが悪いこともあったりして、だけど不思議と離れる気はお互いなくて。だからたまに甘えすぎちゃってるって思うこともあるんだけど、喧嘩しても可愛いなんていつも言うからずるいよね。
数ヶ月ぶり…？だったんじゃないか、ああいう空気は。今思い出してもやはり不機嫌な顔も可愛いと思う。

丹恒がくれたなんでもいうこと聞いてくれるチケットも嬉しかった。そういうことで機嫌を直すくらいウチは単純で、そうやってちゃんと話を聞いて寄り添ってくれるのが嬉しい。すぐ仲直りして今日はあの二人に譲ってあげたけど次のお休みは丹恒と一緒にデートしたいなって思ってる！いやでも予定は未定かも、したいことがあればそっちがいいし、やりたいことがいっぱい渋滞してるのも事実で。分裂出来たりしないかな、そんな奇物がないかヘルタに聞いてみよ。
俺も増えるなら…まあ……。良い…のか…？

▽

ちょっとだけ丹恒の気配がないのは寂しい。でも明日は朝から将軍のところに行くって言ってたし、寝ててくれた方がいいに決まってるんだけど、寝る前に髪を乾かして貰うあの時間がないのも、ぎゅーってして寝るのがないのも正直寂しい。今夜はひとりで何しようかなって思いながら促されてるやつをやらないといけないような気持ちだけはある。ウチも早寝をすべきなのはわかってるけど、なんとなくまだ寝るのが惜しいようなそんな気持ち。

丹恒、あのね。
大好きだよ、本当に。

意見がぶつかっても、何があっても丹恒が良いって思うし、丹恒もそう思ってくれるのは知ってる。今日も一緒にいられてすごく楽しかった！いつもありがとう、だーいすき！…へへ、2回書いちゃった。

驚きの早寝をしてしまって俺も心残りだ、足りないし寂しい。いつも言っていることだが、ずっと一緒に居るのだから次の機会は幾らでもある。また埋め合わせさせてくれ。…こちらこそ、いつもありがとう。愛してる。

可愛すぎるところをマーカーで線引きした。



March 7th

ンナ！ンナナ～～！
(見てください！日記のデザインを新しくしました～～！！)

ンナンナ！ンナ～！
(可愛く出来ていますか？褒めてください～！)


うんうん、よくできました！花丸あげちゃう、それから特別に御褒美あげちゃおうかな、他の子には内緒だよ？

ンナ～～！(やった～)


No.18

今更相性がいいとか悪いとか、そんな次元ではないでしょう。何年傍にいるとお思いで？………100年くらいでしたっけ？いけませんね、歳を取ると時間の感覚があやふやになりがちで。

とにかく。
今更あなた無しの世界で生きろだなんて、そんな甘味しかないような世の中嫌すぎます。断固お断りです。人生には辛味が必要なんです…

それはお互い様でしょ。離してあげる気も離れることを許す気もないわ。あなたの全てはあたしのもの、そうでしょう、椒丘。

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将軍と出逢い、あなたの医士となってからこれまで書き記した手記の全てを昨夜無事に写しきりました。これで、保管庫にいつ何が起きても一安心ですし、合計千頁の記念に一冊に纏める計画も真面目に考えなくてはいけません。
とは言え、この状態の僕には少し難しい作業になりますねぇ……モゼに頑張って貰いましょうか。

お疲れ様、よく頑張ったわね。あとで目一杯撫でてあげる。膝枕つきで、どうかしら。

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「もっとメロメロにしてあげるわ！」

あ～困ります、困ります将軍。勘弁して下さい、もうこれ以上僕にどうなれと言うのですか。

責任は取るから安心していいわよ。あたしの全てはあなたのもので、逆も然り。観念なさい、あたしをこんな風に変えたのはあなただから。骨抜きにして、可愛がってあげる。


Jiaoqiu

白珠がようやく羅浮に戻った。

古海にお前の星槎が墜ちるのはこれで二度目だが、その身に怪我のひとつも無いのであれば星槎が砕けようと「無事」の範疇と言えるだろう。
腕に抱いて住処に連れ帰っては、慣れた窓辺で言葉を交わし頬を撫で合い、静謐で甘やかな時を過ごして寂寥を埋めて行く。……だが、それだけでは埋まらぬものもある。


健やかなる時も病める時も…という文句は何処で見掛けたものであったか。余の前でのみお前と云う恒星が陰るのであれば、それは心を明け渡している証と見なせる。
余はそれが何より嬉しいのだ。


どんなお前も愛している。白珠。
その心の隙間を閉じるのが、余の役割でさえあればよい。

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# 土産
薄藤の狐と龍の置物。窓辺に置いて愛でることにする。

昨夜はあなたを困らせて、あたしもなんとなく落ち着かなくて。でもそんなあたしすら可愛いっていうあなたにいつも敵わないと思ってますし、きっとこれから先も同じように困らせて、あなたがあたしを困らせることもあって、それでも幾久しく、と。そう思ってますよ。…愛してるので。


Dan Feng