ハッピーバースデー、私！
ふう、ギリギリセーフね。

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イーーヴーーーー！誕生日よ、誕・生・日！もう、貴方が全然捕まらないから、今日も抜け出してリンとデートして来ちゃった。イアスともいーっぱい遊んじゃったんだから。……う、浮気じゃないからね！？そもそもイヴが私を構ってくれないのが悪いんだから。でもいいの、今夜も一緒のベッドで寝てくれるでしょう？プレゼントはいつも沢山貰っているし、これ以上のものは要らないわ。けど、ひとつだけ。これだけは絶対絶対絶対譲れないの。

今夜は貴方から私を抱き締めて！それから、愛してるって沢山言って！
あなたが締切を伸ばしてくれと懇願したからその根回しをしていたのだが、まさかその隙にデートとは困ったお姫様だ。あなたへのプレゼントはきちんと用意している。あなたが望むのなら幾らでも、あなたを抱き締めて…愛してると飽きるまで伝えよう。だからどうか、今夜だけはあなたを独占する許可が欲しい。お嬢様ではなく、アストラ、と──そう呼ぶ許可を。…ハッピーバースデー、私のお姫様。あなたにとって幸せな一日であったのならそれ以上の幸せはない。



Astra Yao

黄金の刻でのデートについては三月が書いてくれているので、その後のことを記そうと筆を執ったはいいが…何を話して、どう触れ合ったか、全て記録に残しておきたいと思ってしまうほどに幸せな時間だった。当然全てを書き残す訳にはいかないので、交わした会話から三月の迷言を抜粋し簡単に纏めておくことにする。
まとめられちゃった！？


# 三月なのかの迷言
「すぐ濯ごうとするのは駄目だと思う！」
欠点を挙げてみてくれ、と提案したところ三月が出した結論。本当にそれなのか…？まあ、程々にしよう。
だってパムが怒るじゃん！

「なのかお姉ちゃんと一緒に寝よ～」
俺が呼ぶ水龍に対して何故姉ぶるのか、甚だ疑問ではあるが……何よりも例え俺の力の一部であろうと一緒に寝るのは駄目だ。
だってウチのがお姉ちゃんだもん、まさかあの子にも妬くとは思わなかったし、その後で可愛いこと言って貰えたのも嬉しかったよ！


Dan Heng

今日は丹恒と約束してピノコニーのブティックに行ったんだ。招待されてるパーティにドレスコードがあって、折角だから丹恒と合わせようって感じでデートがてらショッピング！穹も誘ったんだけどカフカに選んで貰ってオーダーメイドのブランドスーツ買って貰ってた。カフカが買ってくれたらしいけど、姫子が金額見て驚いてたからかなりやばい金額なのかも…。

クロックボーイ像の前で待ち合わせて、ブティックに向かったんだけどお店に入るなりいっぱいドレスがあって圧倒されちゃった。すぐに店員さんが来てウチはフィッティングルームに拉致されたんだけど、事前に丹恒が似合いそうって言ってくれた後ろ側が長い…フィッシュテールのドレス。ピンク色の可愛いけど上品なドレスを試着して、ドレスに合わせたハイヒールと髪飾りをつけて丹恒にお披露目した！そしたら普段は小言を言うのに何も言わずに全部買うなんて言い出してびっくり……すごく見惚れてくれてたみたいで嬉しかったな。こんな可愛い美少女が奥さんで丹恒は幸せものだよね！……って、さらっと妻扱いされたのもすごくドキドキしたし、予算オーバーしたのにマッサージチェアの為の資金を使ってくれたのも、びっくりしたけど嬉しくて。マッサージ習得してしてあげないとね！
期待している。それと、穹がどこかにやったらしいネックマッサージャーも見付けたら教えてくれ…。

それからドレスと合わせてパールのネックレスも買ってくれたんだ。羅浮の古海の真珠で、丹恒先生が格好良く目利きしてた！あとで店員さんが教えてくれたけど花珠って呼ばれるくらいいい真珠なんだって、すごく綺麗だし、手入れの方法も教わったから大事にしなきゃ。
丹恒のタキシード姿もすっごく格好良くて、写真を撮って貰ったけどお気に入りになっちゃった。これはフォトウォールに飾らないと！…丹恒って顔も格好いいし、やっぱりスタイルもいいもんね。店員さんに素敵な旦那様ですねって言われて嬉しかった。

ウチの丹恒は宇宙で一番格好良い！

慣れないヒールで靴擦れしちゃったけど部屋に戻ってから丹恒が手当てしてくれて、……この話は恥ずかしいからまた今度！

# 今日のなのかメモ
丹恒は脚が好き…かも？

脚だけではなく、爪先、指先からその揺れ動く髪の毛先まで、隈なく好きだ。…ただ、脚に触れる機会は意外とあまりないから、つい。どんな形であれ、お前と穏やかな時間を共にし、語り合って触れ合って過ごすこの時間が…何より幸せだ。
パーティ当日の姿も、楽しみにしている。



March 7th

三月の部屋で過ごすようになってからアーカイブに触れる時間がめっきり減ってしまった。俺が寝床を移し空になった資料室は、今ではサンデーが居ることの方が多い。
彼の方から自由に閲覧させて貰う代わりに何か手伝えないかと申し出てくれたので、編集可能な範囲で協力して貰うことになった。しかし俺と違うのは、どんなにその内容が興味深くとも、彼は時間を忘れて読み耽るということは無いらしい。
夜遅い時間に用事を思い出して資料室を訪れると、以前は俺の寝床だった場所で彼が休んでいるのを見掛けることが増えた。非常に規則正しい生活をしているようで……見習うべきだな。俺だけでなく三月と穹もだ。
生活リズムが崩壊したら最後の手段、昼夜システムの調整をすればいい。丹恒もこっち側の人間になろう。
夜更かしってちょっとわくわくするよね！
はあ……。

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# 今日の丹恒メモ
じっと見詰めて三月の次の行動を待って(観察して)いたら、口付けられると思ったらしい三月が瞼を伏せたのが可愛らしかった。その期待に応えてから違うと教えると、勘違いしたことに赤くなっていたのが一層愛らしい。またやろう。
丹恒ってば最近すぐちゅうして誤魔化す気がする…！恥ずかしいからバラさないで…！！



Dan Heng

アストラ・ヤオという少女はあまりに無垢な善人で、しかし無力な少女ではなかった。彼女の歌は人々の心を癒した。音楽の起源を辿ればコミュニケーションツールの一つだとか、様々あるがお嬢様を見ているとコミュニケーションツールの説は強ち間違っていないように思う。お嬢様は真っ直ぐな心根を持ち、だが夢を見るだけの少女ではなかった。彼女は知っている。自分の価値を、…否、“自分の歌の価値“を。それが望まぬ方向でも気分で投げ出すことはない。

朝から火鍋が食べたいだとか、インスピレーションが足りず期限を伸ばして欲しいだとか、私を出し抜いて抜け出そうとしたり、そんな悪戯すら許せてしまうほどには。私の心を、彼女が照らした。知らなかったんだ、彼女と出会うまでこんなに穢れを知らない人間がいることを。だから護りたいと思った。あなたを守る盾として、あなたの憂いを払う剣として。イヴ、と呼ぶ声が好きだ。あなたの笑顔が私にとっては何よりも大切だ。私の過ちを知ってもあなたは変わらなかった。…そんなあなたに私がどれほど救われたか、きっと知らないのだろう。

私の一等星、願わくはどうかこの先も私を照らして欲しい。
そして偶にで構わないからその輝きを独り占めしたい。
また熱烈だと叱られてしまうだろうか、けれどもあなたの頬に季節外れの紅葉が散る様は何より美しく──そして、それはどんなチークよりも、あなたの肌に良く映えて綺麗なんだ。それがこの言葉一つの影響ならそれに勝る幸福はない。…それほどまでにあなたが、好きだ。

イヴったら相変わらず熱烈なんだから。そもそも、過ちって何？イヴはなーんにも間違ったことなんてしていないわ！…ふふ、私の素顔が見られるのはイヴだけなんだから。でもそれを聞いて思い出したの、そろそろ新しいチークが欲しかったのよ。明日は一緒にお買い物に行きましょう？決まり！もう決めたから、絶対にスケジュールに組み込んでね！
追伸。お堅いあの子はちゃんと直接言ってくれるって！あの子、なんだかイヴに似ている気がするわ。




EVELYN