# 諸々、代筆以前の手記を、紙が傷む前に一冊の綴りに纏めたく、書き写す作業をしているのはお前も知っていよう。今日写した一枚に、懐かしく、良く覚えている出来事が記してあった。お前に初めて子守唄を歌って聞かせた時のことだ。
切欠は、余の欠伸がお前に伝染したことから。ふと思い出した持明時調を口にしてやれば、お前はうっとりと双眸を細め、薄藤の睫毛を揺らし余の歌声に聴き入っていた。
その瞳が淡い空色に瞬く暁星のようで、ひどく美しく、心に残っている……と。そうして寝際のひとときが纏う幸福ばかりがつらつらと書き記されていて……今と何一つ変わらぬものだなと思い知る。
あれから幾年。未だお前と天蓋を潜り、褥で浸る夢見時の心地好さについて、今も殆ど変わらぬ内容で筆を走らせているのだ。
…締め括りに、件の頁の言葉を引用して余の言葉としてお前に宛てよう。
お前に捧げた”初めて”は幾つもあるが、今後何があろうともお前にしか与えられぬ、唯の一つをくれてやる。
白珠。お前は余の生涯数百年で、やっと出逢えた最後の最愛だ。その重さ、忘れてくれるな。
あなたがどんなに駄々を捏ねても我儘を口にしてもそれさえ愛おしいからどうしようもないですよね、重さはお互い様ですから。
…愛してますよ、心の底から。12/10【花のフレークシール】
きらきらして綺麗だと思ったのでつい買ってしまった。アルバムや手帳の飾り付けに使ってくれ。
Dan Feng