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スレ一覧
┗130.BLUE LAGOON(11-15/29)

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15 :翠縹
2024/07/29(月) 13:14

少し前に引き受けた夜間に行われる討伐任務の集合場所がリムサ・ロミンサのエーテライト前で、早く着き過ぎてしまい少し手持ち無沙汰になってしまったのだが、ふと空を見上げると綺麗な星空に弦月が浮かんでいた。それだけでやる気が出てしまう自分も中々に単純な性格をしていると思ったが、実際に弦月の夜は満月や新月の日に比べて狩りがし易い。その日の討伐任務は程よい月明かりがあったお陰でスムーズにことが進み、誰一人怪我をすることなく無事に成功した。それなりに稼げたからまた彼を飲みに誘おうと思う。勿論、ちゃんと貯えてもいるからな。

そして昨日、討伐任務から戻ってきたが疲れから直ぐには動けず少しぼーっとしながらエーテライト前で休憩していたのだが、気が付いたら目の前に彼が立っていた。一瞬にして疲れが吹き飛んだ。相変わらず彼はお洒落で、綺麗で、格好良くて、仕草が可愛い。俺は彼に骨抜きなんだとつくづく思う。思わず抱き締めてしまったが、討伐直後だったな……と今少し後悔している。そこまで汚れていなかったと信じたい。


随分格好良い人だなと思ったら君だったんだよね。……本当だよ?

あと三着ほど同じ装備を用意しておくか……


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14 :弦月
2024/07/25(木) 15:30

俺の行きつけのクラブに彼のこと連れてったんだ。何を着て行けばいいか迷ってたから何着か服を買ってあげた。うん、我ながら良いセンスしてたかも。彼素材良いから多少カジュアルでも似合うんじゃない?って思ってた。

「手拍子して」って言ったら本当にしてくれたから大喜びしちゃった、今度行った時は踊り方教えてあげんね。あと俺の脇と背中見すぎ。


あれは見てしまうだろう……

ムッツリ!


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13 :翠縹
2024/07/24(水) 21:35

帰る場所があるくせに、それを捨てた。この選択を取ったこと自体が世間知らずな気もしている。

黒衣森の奥深くにひっそりと存在する、何代も前から他種族との関わりを絶ってきた村が自分の故郷だ。
都会を知った今は村の生活は随分と質素だったのだと理解したが、自給自足で全てを賄っている村の秩序はしっかりと保たれていたし、村の人たちはきっと今も幸せに暮らしている。飢えの心配もなく、争いとは無縁に安心して暮らせる穏やかな村だ。近くには青く透き通るような綺麗な湖があって、その畔で本を読むのがとても好きだった。

自分も不自由もなくこの歳まで育ったのだからとても恵まれていたと思うし、幸せに暮らしていたことだって確かだ。思い出も多い。だが、広い世界を知ってしまった自分はもう、あの狭い世界では生きていけないと思う。

冒険者として村を出ること伝えた時、父はこちらの顔を見ることもなく二度と故郷に戻らないことを誓わせた。母は俯いて何も言わなかった。兄は困った様に笑って「元気でやるんだよ」と言って強く抱き締めてくれた。その日の夜中に村を発ってしまったから、それが家族との最後だった。

代々続くあの閉鎖的な村で、外に興味を持ってしまうことは脅威だったのだと思う。子供の頃に何かと可愛がってくれた人がある日突然村から姿を消したことがあったが、今考えればあの人も自分と同じだったんだろうな。子供の頃は作り話だと思っていたが、あの人がこっそりと聞かせてくれたのはアウラ族の御伽噺だったから。


彼に家族へ手紙を書いたらと言われたことがあるが、何を書けばいいのか、そもそも手紙を書くべきなのか、今も分からないままだ。……後悔してからでは遅いのはわかっているのだがな。


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12 :弦月
2024/07/23(火) 10:18

故郷に帰ることは無いと思う、と彼が話した時に、「手紙くらい出してあげなよ」と言ったことがあんだよね。

って言っても別に親を大事にしろとかそういう……説教じみた話をしたいわけじゃなくて。俺たちこんな稼業やってるわけじゃん、生きてる上での後悔なんて、少ない方が良いんだよ。別れっていつ何時やって来るか分からないんだから。

ずっと黒衣森の中で育ってきた君は知らないかもしれないけど、俺もなかなかに自然豊かな土地で育ったんだよ。一面緑豊かで牧草は生い茂ってて、川も池もあったし兄弟と泳いだこともある。
信じられないことだよね、君がリスだか何だかに覆われて苦しんでたあの真っ白で不毛なクルザスがかつては緑豊かだったって。

俺も霊災の後は、これは夢なんじゃないかって思ったんだよ。でもきっと、かつての景色の方が夢だったんじゃないかな。だったら、母さんと父さんがドラゴン族に殺されたときに一緒に醒めて欲しかった。

世には戻らない物が多すぎる。
本当に、別れを告げる瞬間なんていつ来るか分からないんだよ。
……家族も、故郷の景色もね。


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11 :翠縹
2024/07/23(火) 00:28

故郷は海から遠く離れていたから、海を初めて見たのは冒険者になってからだった。

コスタ・デル・ソルは弦月の彼も言っていたがとてもいい場所だ。
綺麗な砂浜と透き通るような青い海、それがオレンジに染る夕暮れの景色は圧巻だった。個人的には波打ち際にあった芽を出したヤシの実の成長も気になっていて、俺もコスタ・デル・ソルはお気に入りの場所になっている。まあ、まだ通りがかる程度でしか訪れたことはないんだが。近い内にゆっくり過ごしに行ってみたいと思う。

最近になって海産物を食べる機会が増えた。元々川魚は食べていたから魚は好きだったんだが、更に好きになったと思う。何よりも美味しいと思ったのはエビ。今まで味を知らなかったことが悔やまられるくらい美味しかった。逆に苦手だと思ったのはイカだな……。味は美味しいと思うが、飲み込むタイミングが分からない。諦めて無理やり飲み込みはするが。まだまだ知らない食べ物は沢山あるのだろうな。



弦月の彼と俺は、性格も生い立ちも、何もかもが真逆だと思う。
好みも違って彼と出会ってから好きになったものが沢山ある。世間知らずの自分に色んな事を教えてくれて、世界を広げてくれた彼は俺にとって一番大切な存在だ。

手厳しい彼は雛の刷り込みと言いそうな気がするが、それだけは先手を打って先に否定しておこう。

君は俺の特別だ。
俺も君の特別でありたいと思う。


それはひなチョコボの刷り込みと同じだよ……って言おうとしたら先んじて否定されてたんだけど、どういうこと?

違うものは違うからな


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