開いた手を閉じて、開いて。気付けば随分と独り遊びが得意になってきた気がする。 今じゃ考えられないかもしれないが、数年前はそりゃあもう俺はクソ重かった。思い返すと我ながらドン引く程に。俺も若かったのか、そうか。 …よし、突然だが此処で俺のトラウマ?でも紹介しよう。 詳しい内容は伏せるが、数年前ある一件が原因で……俺は、更に本心を曝け出す事が出来なくなっちまった。と言うより、ただの当たり障りのない所謂「優しい」だけの何の特徴も無い人間に成り下がった。 まあこれに関しちゃ恋仲と言うより、友人に対するそれだったんだがな。しかしそれでも誰かを信じたいという気持ちは無くならなかったんだから、俺も大概しつこいヤツのようだ。 だが今は違う。こんな俺でも笑って話せるヤツらが近くにいるんだ、ならあの一件も決して無駄なものじゃなかったんだろう。俺は今傍にいるヤツらを、大切にしていきたいと思っている。勿論これから出会っていくだろうヤツらも。 ああ、そういや今更だが…いつの間にか、このクソつまらないモンが本棚に並べられてるみたいじゃねぇか。 一体どうしたんだと目を疑ったが、素直に嬉しい。感謝、しておく。俺自身は多く並べられた本を手に取る余裕が無いのが惜しい。周りにはこんなにも、目を奪われる言葉が並んでるっつーのに。 単に惚気に中てられそうだから、何て理由とかじゃないからな、断じて。 |
酷くなる雨音と共に、下降していく。 別に何かあったわけでもねえのに、泣き出したくなるオレはただ今絶賛情緒不安定。 ……ああ、そうか。 オレはきっと、愛されたいんだ。ただ一人の、お前という誰かに。 |
夜になると押し寄せてくるのは、オレなのにそれではない何か。 求む掌は虚しく空を切るばかり。 チクショウ、羨まし……くなんて、ねえ。 |
オレってヤツは本当に自分勝手で、飽き性で。 自分からの手紙はなかなか出さない癖に、来る手紙はそわそわと待つ事が多い。 今だって早くアイツからの鳩が飛んで来やしないかと忙しなく郵便受けを開閉しまくっている。 …何て綴ってる合間に来訪の物音が聞こえて、オレはこの筆を置いてそこへと走るんだ。 クソ、早く返したらオレが心待ちにしてたみたいで…少しその鳩を掴んで時を待つ。 だけれど今すぐに返したらもう一度くらいは鳩が飛んでくんじゃないかという、そんな誘惑からの葛藤を続けるのだ。 |
目を覆い耳を塞いでも、隙間から届くそれに。 囚われる。捕まれる。 |