背景色を白にして内容が目立たへんように白めの文字色にしたんやけど、これワシには分からへんのよなあ。濃く見えてまう。障害とかやのうて。…ある意味障害やろか。また元に戻しそうや。何度他にしても前の背景色と文字色にしてまう。
分類しよ、思て。結局、バレてもええかとか。薄い文字の日記は見んでええから薄めに。
二月十四日、元に。
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幸せの定義。
人それぞれやからなあ。
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氷室くんと紫原くんの会話を聞いて微笑ましく見守ってたとかそんな。朝から話したいわな。モーニングコールは何時でも。大抵起きてる魚類は人と構造ちゃうさかい。真顔。それと寝ぼけて駄々こねる氷室くんはかわええと思う。そら紫原くんも甘なってまうわ。しゃあない。結局、間に合うたならええし。
心臓まで染み込むような淡さで不整脈でも起こすんちゃうやろうかと錯覚したわ。───その、ワシの視界でしか捉えられへん相貌。上質な絹のように肌を愛でる繊細な言葉。ひとつ。されど、ひとつ。眼窩を透けてあざやかに踊る記憶を進んでいけば、やわらかく巡って。春の陽気よりもずっとええ穏やかな笑みを描ける。お前の花が咲くから、呼吸も、おそらく。こうして。
しなびた蕾から綻んだやさしさに結ぶ。…なあ、変わらず着いて来いや。二年間おおきに。これからも宜しゅう頼むわ。ワシの傾城へ。
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~でええ、より、~がええ。耳触りの良さを選ぶなら言葉やら何やらに気ィ付けんとなあ、とか何とか。人を以って鏡とせよ。殷鑑遠からず、や。関西弁は柔らこう聞こえるさかい助かるっちゅうか。なあ。しかし最近実感するんやけど、人に伝えたいんて、傲慢やとも思う。どうこうして欲しいも、結局は斉しい。そこへ色塗れば唯の願望。白いキャンバスに無色透明であることて、ほんまに貴重。むやみやたらと化粧を施した顔に色気はあらへん。染まるなら感性を揺さぶる劇薬のような塗料がええもんやろう、と思う。───ほんま、指紋ですらもったいないから、ワシは触れずに置く。
引き摺られやすいさかい、気ィ付けやんと。て思うのに引き摺られる。ずるずると。
そんな風に引き摺られとったら、今日は後輩にシュークリーム貰たねん。何も気ィ使わんといてな、そう云うたのに持って来てくれて。会いに来てくれただけで幸せ者やのに、ほんま涙出そうになった。疲れてるやろ、お腹空かせてるやろ、て。ずっと動きっぱなしやから、て。あのな、すまんな。ほんまに嬉しいで。
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言葉一つに感情乗せて、
一つの文字でどうにかなる。
誰も僻んでへんよ。暇があるなら努力に掛けた方がまだマシや。どうにもならへんことは僻む必要性もあらへんし。…ああ、口へ乗せた言葉に意味のある時と感情の籠る時があるんは珍しいことやねん。適当に、何にも考えやんと話してるだけの機械や。息をすることと笑うことが同じような感じやろうか。
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白昼、公園でひとり遊ぶ子供と目が合うた。鮮度のない眼球が痩せこけて、ぎょろりとワシを舐める。今にも壊れてしまいそうやった。かなしいことに、子を殺された父が復讐したら裁かれて、地雷原を歩かされる犠牲者がおって、ここには飢餓のあまり拒食症になってしもた小さな子供がおる。きっとこのかなしい子は皮肉をそのまま舌に絡ませる。あれもこれも、何もかも気に食わへんで、生死の狭間をさまよう。生には死があるように、美には醜が、優しさには辛辣さが、幸福には不幸がある。光が濃ければ闇も濃く、対が存在せんかったら生きられへんから、人はかなしみを口遊んで遠巻きに眺めるだけ。それは理不尽でも不条理でもあらへん。これがあるべき姿や。
先日の一件で理不尽の単語を持ち出されることが多かってんけど、これはあるべきことやと理解しとる。問題はそこやのうて、理不尽が降りかかったことでもあらへんくて、白昼のかなしい子供と同じかなしい人に差し出した手の平が痛みを伴って弾かれたことやった。あるべきことを己の価値観で歪めようとした、罰なんやろう。…ちゃうか。単に計算した方式を間違えただけや。それに受けた罰やった。許されるとは思てへんよ。