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┗2285.[時計の針を亡くした時計](173-177/177)
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173 :
黒崎一護
2015/07/18(土)20:28:11
暑い空の下、不意に意識を線路に戻せば、そこには陽炎があり。
ただ陽炎がゆらゆら揺れて自分を追い詰めるみたく魅せる幻は。
揺れ動く感情の色を映して、俺が独りにした人を思い出させる。
自分が随分と酷い人間だった事を思い出し、そして突き放すのはその陽炎。
手を伸ばせば揺らめき、虚空を握るだけ。
けれど陽炎は自分を酷い人間だと、追い詰めていくのだ。
そうだ、
そうだった、
俺は、酷い人間だった。
泣ける筈の物語から目を逸らしていた。
酷い人間を追い詰めていく陽炎から目を逸らしていた。
あの影は、自分を追い詰めていくのだ。
それを本能というかの様に。
まるで生き物だ。
>真夏の下の陽炎。
>俺を苛んでいく。
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174 :
阿近
2015/07/26(日)20:44:51
空に昇る美しい花。
それは美しさで魅了し、儚く散る。
その美しさに、目眩。
>やっぱり、その時に飲むのは麦酒だな。
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175 :
吉良イヅル
2015/08/01(土)09:36:22
昨日阿散井くんが「月が綺麗だ」みたいな事を何度も言っていた。
君にそういった教養があるのかないのかは別として(多分ない)。
それ、僕以外には言わない方がいいよ、とだけ言った。
僕はそれを知っているが、恐らく彼は知らなくて。
(酔っ払ってる時点でもう知らないと確信してる。)
でも、それは僕以外の、例えば阿散井君に対して好意を持ってる人が、もし、それを聞いて勘違いしてしまったならば。
確実に拗れて面倒な事になるって事はわかってる。
うん、絶対そうだ。
めんどくさいな。
このまま放っておけばそうなる事態は予測できていて。
それて放っておく程、僕も薄情じゃあない。
同期のよしみとして、とりあえず家まで引き摺っていこうか。
>月が綺麗ですね、
>それは、誰か好きな人が出来たら言いなよ。
>例えば、君の―――とかにね。
>昨晩の話。
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176 :
阿近
2015/08/11(火)08:27:24
久方ぶりに、再会。
まさか、
どうして、
こんな所で、
嘘だろ、と思うしかなかった。
偶然なのだろうか。
必然なのだろうか。
けれど、アンタは何も言わない。
何も言っちゃくれない。
ただ優しく笑う、その姿は、変わってはいない。
怒ってくれたら、どんなに気持ちが楽だったか。
新しい人はできたのかが聞けなくて、終わった筈の記憶が邪魔をしていく。
その笑顔が、何も言わせてはくれない。
どうしたらいいか、勝手に時間が過ぎた。
他愛ない話を交わして、核心には触れない。
そうやって逃げたのは、前も同じだった。
時間は経ち、その場を離れる。
続きを告げる事はなく、ただ夢のようだった。
夢、そう考えれば、何て事はないだろう。
だから、言わなくて良かった。
>再び会う約束はしなかった。
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177 :
阿近
2015/08/22(土)20:42:15
聴き覚えのある曲が、鼓膜に響いた。
いつ聴いたのかはわからないが、確かにそれは頭の端に引っ掛かった。
あれは、何だったか。
再会。
した事で、鼓膜に響く音が、懐かしいそれを思い出させる。
それは、何だったか。
何だったか。
「 、」
安らぐような。
心地よいような。
酷く、耳を苛むような。
懐かしいような。
優しく、包み込むような。
そして、寂しささえも、胸に遺すような。
あれは、あれは。
あれは。
確かに、聴き覚えがある唄だった。
>「 こ も り う た 」
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