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┗2848.伽藍(3-7/61)
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3 :
阿散井恋次
2011/01/15(土)09:33:25
蜜柑の皮を剥いて屑籠にポイと棄てる。勿論、実は食う。
冬の楽しみの一つ。
食おうと思えば春でも夏でも食えるが、やっぱり冬の蜜柑は特別。
甘い蜜柑も酸っぱい蜜柑も。みんな好き。
瑞々しい蜜柑を口に運びながら。恋人との出逢いとその後を思い返す。
割合最初の頃に、「未だに忘れられない相手がいるから、本気になるのが怖い。」そう正直に伝えた。
まだ未練がある、って意味じゃなくて。振られて置き去りされたままの「好き」って想いや共に過ごした時間、それから愛された記憶。そんなものが上手く消化出来ない…そういう事を伝えたら、自分もそうだと。俺の弱い部分や甘い部分、みんなひっくるめて俺が好きだと言ってくれた。
そんな風に…ありのままの俺を受け止めてくれたあんただから、素直に甘えられた。
ガタンゴトンと、ゆっくり進む現世の電車みたいに。時に一人で、時にあんたと二人で。空いた車内で、混んだ夜に。差し込む夕日を一緒に見たり、うたた寝するのに肩を貸したり。吹き付ける雪が窓硝子に結晶貼り付けるのを指差したり。
俺の見てるものを送ったら、喜んでくれるあんたが愛しい。
互いに同じものを見て一緒に過ごせる事が嬉しい。楽しい。
あんたは、俺とは逆にあまり執着せず軽い付き合いを繰り返してきたって言ってたな。自分は酷い奴だった、とも。
でも、俺にはそんな風に思えなくて…。
あの時も、今も。あんたは何時も優しくて、愛情深い。思いやりもあって愛嬌もある。ああ、でもちょっとだけ優柔不断かな。
何時も俺ばかり好き勝手して…あんたは俺に合わせて我慢してんじゃねぇかな…ってたまに心配になる。
聞いたら、そんな事無いって否定してくれるんだけどな。
たまには、俺が「ええええっ!?無理無理無理っ!」とぶんぶん首を振って嫌がるような事もしていいんだぜ?…たまになら、とこっそりとヘタレな呟きをしてみたり。
結局、蜜柑食ったら腹いっぱい。
また眠くなってきた…。
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4 :
阿散井恋次
2011/01/15(土)20:31:41
夢を見た。
あったかい日差しの新緑の季節、一体どこの国かと思うほど牧歌的な風景。
さわさわと風に揺れる草が心地良い丘には家族連れのピクニックらしき人々。可愛い彼女を連れたカップル。小さな子の手を引いた親子。ゆっくり歩む老夫婦。
みんな笑顔で、楽しそうで。のんびり弁当食ったり散歩を楽しんだり。
そんな中をあんたと二人、手を繋いで散歩して。結構な傾斜の丘を降りながら時折、足下よろけたりするのも楽しく繋いだ手は、俺よりちょっと小さめなそれを機嫌良く握ったまま俺は鼻歌なんて歌ってて。
あんたもまんざらじゃないのか、特に文句は聞こえず、繋いだ手を振り払いもせずに一緒に散歩してるそんな夢。
丘を降りるとふわふわもこもこの羊が居て子供が触ってはしゃいでんのをあんたはじっと見つめてて、特に何も言おうとしないけど、ああ、羊に触りたいんだな、って何故か分かって。
俺も足を止めて、子供が羊に飽きて親のとこに走ってくのを少し離れたとこで待ってて…何も言わないあんたが無表情な顔をしながら内心そわそわワクワクして勝手に順番を待ってるのをにやにやしながら見てて、このにやけた顔に気付かれたらきっと肘鉄入れられるんだろうな、って思ってるような…そんなしあわせな夢。
最近、いい夢が多いな。うん。
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5 :
阿散井恋次
2011/01/15(土)21:07:10
愛してる、と言葉にしなくても好きって気持ちがあれば大丈夫。伝わってると思ってた。
考えたらそんな訳無いんだよな。俺ってホント馬鹿。
執務や日常が忙しくなると蝶が減る。
お互い様だから仕方ない、そんな風に考えていつもあんたに甘えてた。
ほとんど不満も文句も言わないあんただけど、逢えないと寂しいのはお互い様らしく。逢えない日が続くと寂しさが募る。
逢いたい、と駄々をこねて時間作って貰って…抱き締めて初めて気付く。
俺よりあんたの方が参ってんじゃねぇか、と。
慌てて抱き締めて世話焼いて、たくさんキスして…ようやく、寂しかった…とぽつり洩らすあんたに俺は安堵の息を吐く。
あんたの場合は、「寂しい」と口に出来ない時の方がヤバい。
普段偉そうにしているせいか分からないが、あんたは俺に弱音を吐きたがらない。
寂しがらせてごめんな。
もっと気をつけるから。
だから、もっと俺に甘えて、寄りかかって欲しい、と思う。
これは俺の我が儘。それは分かってるが、あんたにいつも笑ってて欲しいから。
寂しいなら寂しいと素直に言えるくらい、俺が頼れる男になりてぇ…と密やかに今年の目標。
あんたには言ってねぇけどさ。
寂しいって言われてから抱き締めるより、もっと早くあんたの寂しさに気付いてやりたい。
それが理想。
言うや易し、だよな。
頑張れ、俺。
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6 :
阿散井恋次
2011/01/17(月)05:17:31
…腹が減った。
ただいま、月曜のまだ夜も明けやらぬ5時。あと少し…眠って起きたらまた執務行かなきゃならねぇ。いや、執務はいいんだが、今週はずっと書類仕事ばかりな予感。椅子に腰掛け、だらだらと何時までも続く筆と書簡と印鑑の繰り返し。
カチャカチャと熱心に画面に見入る後輩に何を熱心に…と思えば週末の遊びの場の情報収集中だったり…いや、自分の仕事は終わらせてっから見ぬふりしてやるけどよ…若いんだからせめて雪滑りとか行けよ。ごるふって。いや、いいんだけどさ。「芝の状況は…」って。…最悪に決まってんだろ。最近の天気考えりゃわかんだろ、それくらい。調べるまでも無いだろ、と心の中で盛大な突っ込み入れつつ茶を一口。
ああ、本当に…俺はですくわーくとやらに向いてねぇ。外回りして寒いだの、雪が冷たいだの騒ぎながら1日あっちこっち行って、隊に戻ってから慌ただしく報告書出して。そのままのノリで飲みに行って…慌ただしくて騒がしくて…。でも机に向かうよりずっといい。なのにうちの隊長はそんな俺に書簡の仕事ばかり与える。
……忍耐を養えって事スか、隊長っっ!
…俺も外行きてぇなあ。
てか寝ろ、って話だよな。
執務に響かないように早寝したのにその分早起きしたんじゃ意味ない気も…(汗)
もう寝直すのは諦めて飯食うかなあ。
マジで腹減ってるし。
ああ、でも…。
腕ん中、幸せそうに眠るコイツを起こしたくない。俺が身動きしたら起こしちまうかもしれないから…もうちょっとだけ、このまま…。
起きてる時はやたらと威張ってる相手だが、どういう訳か眠る時は可愛い。
キツい眼差しを目蓋に隠し…どことなく子供のように、幸せそうに眠るあんたを起こしたく無いばかりに今朝も俺は寝床で微睡む…。
愛してる、ってこんな感じ?
それとも俺のただの思い過ごし?…まあどっちにせよ…。あったかくて幸せ…
大好き…。
眠い。
愛してる…
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7 :
阿散井恋次
2011/01/18(火)20:14:58
恋人の蝶に特別な鈴を。
始めから籠は別にしていた。特別な籠。
でも、名前は付けなかった。
他の蝶が賑やかな羽根や触角を閃かせ現れる中、遠慮がちに真っ直ぐ俺に向かってくる特別な蝶には名が無い。だからこそ目立つ。
漆黒の蝶の羽根の動きと共に鱗粉が音も無く現れるその軌跡すら愛しい。
でも最近あんた以外の蝶があまりに多すぎるから、前から時折呼んでいた可愛い呼び名をつけて、小さな鈴をつけた。
たくさんの蝶が舞い込む中、あんたの蝶が可愛らしいオルゴールの音と共に鳴り、直ぐにそれと知れる。
たくさんの蝶の中から唯一愛しい人の蝶を掌に乗せ、その声を聞く。
素っ気ないようで暖かく柔らかな自鳴琴の音で来訪を知らせてくれる蝶は、俺の大切なたからもの。
もちろんあいつが一番。あいつの蝶もあいつの声もみんな大切なんだ。
はー…
早く帰って来ねぇかな…
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