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リロ
80 :
阿近
2013/10/21(月)12:22:11
いつだったか、言われた言葉を思い出した。
“負けを認める日が来る”
勝つとか負けるとか、あんまり興味がねぇ。
だが、ふといつかの言葉を思い出した。
カチッと古臭い音を立てて、再生される懐かしい音。
酷く傷んでいて、時々掠れる。
いつかのためにと残されていたもの。
再生するための箱を探すのに苦労した。
“何故カセットテープなんだ?”
“ずっと残っていたら意味が無いから”
では何故音を残すのだろうか、その時は聞かなかった。
おおよそ、俺には理解できないと思ったからだ。
綺麗に笑いながら、アンタは音を残していた。
“恥ずかしいからそんなに見ないで”
少しだけ頬を染めて、俺を見たアンタは、俺への言葉を残した。
>いつか、負けを認める日が来るよ。
俺をまっすぐに見つめて、いや、俺の何を見てそう言ったのか。
強く、俺の何かを捉えた視線を寄越し、アンタはそう言った。
カチッと古臭い音を立てて、懐かしい音が止んだ。
ああ、分かったよ。
俺が負けた。
アンタの言った通りになった。
もう一人では生きていけねぇんだ。
アンタが言ったことは全部本当になった。
>たった一つの嘘を残して。
(俺のために吐いた唯一の嘘。)
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81 :
阿近
2013/10/31(木)08:47:27
どうしようにも愛しくて…
堪らなくなる時がある。
今、この瞬間を幸せと呼ぶのだと思う時がある。
俺は、弱くなかった、だが強さを知った気がする。
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82 :
阿近
2013/11/05(火)15:34:25
小さく、そうだな、煙草ぐれぇの大きさにして
持ち歩けたのならどんなにいいだろうか。
小さい体を大事に大事に扱って、俺の机の上で飼う。
コーヒーに付いてくる菓子は食わせてやる。
休憩、ああ、昼寝の時だけ元の大きさに戻してやる。
優しく優しく抱き寄せると約束すれば、抱き枕になってくれるだろうか。
このまま、俺の全てを染めて犯して、おかしくなったことを隠してくれるだろうか。
正義なんかよりもお前を選ぶ俺が、正しいと唱える世の中が欲しい。
このまま、世の中との比較を忘れて、二人だけの時間を。
そろそろ気づいてもいいだろう?
ここには、俺とお前しかいないわけじゃねぇ。
無数の人間の形をした生き物、不完全ながらにそれはそれは美しく。
能力に許された場所に足を付いて、日々の時間を費やして。
その無数の生き物の中で、惹かれあった。
二人だけの世界で肌を求めたわけではなく、
温もりを欲して寄り合ったわけでもなく、
互いの何かに惹かれて、
“もう一度”
と手を伸ばした。
二人だけの世界で、死が待ち遠しいなんて、寂しいだろう?
数ある選択肢の中で、絡んだ糸がお前に繋がっていたと信じてぇ。
(仕方なしに絡んだ運命などと言われたくはない。)
俺が選んだ、お前に選ばれた。
広い、想像を遥かに超えた空間で共有している時間の奇跡に魅せられて。
今日もまた、俺は一つ選択する。
(最高の明日のために。)
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83 :
阿近
2013/11/22(金)10:28:15
いつだったか、約束をした。
随分と前の話だが、確かに覚えている声。
幼いながらにもアンタの言うことをきちんと聞いていた、と俺は思う。
多少可愛くねぇところも愛嬌ってことで許せ。
アンタが昔言った、何度も教えてくれた場所があった。
“覚えている人がいてくれたら嬉しい”
だが秘密。
アンタは、こんなだった、あんなだったと、長く長く俺に語った。
肝心な情報は置いて行かずに。
アンタが言っていた、その時が来たと俺は感じている。
探さなくては、と思った。
アンタが言ったことは全部本当だった。
故にアレも本当だったんだろう?
“人の心を感じて、綺麗な虹が出る場所がある”
虹?
“あなたが大人になったら行くことができるよ”
なんで?
“秘密にしたくなる、けど誰かに言いたくて仕方なくなる”
矛盾してますけど?
“そんな素敵な場所があるの”
何処に?
答えは無かった。
いつもそうだ、人の話は聞かねぇ。
一方的に話して、綺麗に笑う、卑怯なアンタ。
俺のことを見守ってるような視線と伸ばしてくれなかった手。
大きな矛盾を兼ね備えたアンタ。
結局嫌いになれなかったアンタ。
本当はまだ傍にいて欲しかった。
(一度も言えなかった。有難うさえも。)
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84 :
阿近
2013/11/28(木)17:53:49
今この瞬間に大事なものを失っているかもしれねぇ。
そんな恐怖に飛び起きる日々。
とりついたのは過去か、ただの妄想か。
先に見るのは光だが、今はどうだ?
失うのか、その感覚を知っているのか。
遠の昔に捨てたと思ったものは、そもそも存在しねぇもので。
不確かな気配が襲う。
冷たいと思うか、酷く重いそれを抱くことすら出来なくて、放ることも出来ねぇ。
俺が気を抜けばぬるりと足元に絡んで影を犯す。
言葉で教えてくれたのならどんなに楽か。
(いっそ一思いに。)
恐怖に色を付けるなら何色か。
そもそも感情とは、
身体よりも正直だろうか。
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