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┗3220.醒めない夢と冷えたレモネード(21-30/59)

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30 :牛/沢
2023/03/03(金) 17:01




別れたくないと食い下がったのは貴方の方だった。別れるも何も、俺達は始まってもいなかったじゃないか。この人は何処まで俺をコケにするつもりなんだろう。俺にだって、一人の人間として愛される権利くらいあるはずだ。

いや、どうだろう。そういえば関係を持ち始めたそもそもの動機に誠実さなど微塵も無かった。ただ己の欲求を満たす為だけに曖昧な一時を求めて、そんな関係を持つ事はこれまでの人生で一度や二度だけの話では無い。
ツケが回ってきたのかもしれない。人と向き合うことから逃げて、甘いところだけ貪った罰なのかもしれない。そんな考えが浮かぶようになっていった。

『今までの言葉は嘘じゃない』
『うっしーは俺の事嫌いになれないでしょう』
『俺だって本気だった』
『絶対に方を付けて迎えに行くから、待っててほしい』

突然行き場を失った恋心を人質に捕った貴方の勢いは増すばかりだった。貴方の所為で心は傷付き、傷付いた心を癒せるのは貴方しかいなかった。貴方という居場所は幻で、それでも俺の居場所は貴方にしか齎せなかった。

受け入れるにはあまりにも酷い現実の所為で、言葉の真偽を見定める事にも、後悔に後悔を重ねる事にも、貴方を拒否し続ける事にも疲れ切ってしまって、結局俺のすべては貴方の思うまま、今に至るまで操られている。


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29 :牛/沢
2023/03/01(水) 19:04

3月ですね。丁度いいので引き篭もります。


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28 :牛/沢
2023/02/28(火) 22:42


どれだけ浮かれていたとして、気付かない程自分は馬鹿じゃなかった。だけど目を瞑っていた。あの頃と違って大切そうに触れてくる指先も、名前を呼べば柔らかく細められる双眸も、俺を好きである象徴だと思っていたから。費やしてくれた多くの時間が愛の証だと思っていたから。貴方に限って有り得ないと信じたかった。

然しそんな都合のいい話はある筈も無く、これまで過ごした時間は全部嘘だった。年上の余裕が故だと思っていたあの包容力は家庭を持つ安定感と俺への愉悦感から来ていたし、すらすらと並べられた甘い言葉は一夜の戯れの延長に過ぎなかった。随分長い間ままごとをやっていたものだ。

貴方は懺悔しながら泣いていて、俺は涙も出なかった。愛し合っていると思っていたのは俺だけだったらしい。これまで空間に散りばめられていた違和感が瞬く間に現実へと姿を変えた。同じ部屋へ住むことも、ましてや一緒になるなんてことも、叶えるつもりのない夢だったらしい。
自分が酷く滑稽だった。


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27 :牛/沢
2023/02/28(火) 22:36

『お互いに、落ち着いたら。俺と一緒になってくれませんか?』
触れた手はいつもより冷えていて、しっとりと汗ばんでいて、確かに震えていたのを覚えている。


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26 :牛/沢
2023/02/28(火) 19:54



貴方を受け入れてからは、二人が恋人として居られなかった時間を取り戻すかのように濃い日々を送った。共通の友人には中々落ちない俺について相談していたらしく、付き合うや否や“末永くお幸せに”なんて多方面から祝われ、恥ずかしさに目眩がしたのもいい思い出だった。

好き嫌いが似ていて驚いたり、面白い映画やドラマを共有したり。寒がりでいつも指先が冷えてるとか、眠くなると腕へ顔をこすりつける癖があるとか、貴方を知る度に好きが増して、もう縁も無いと思っていた色恋に浮かれている自分がいた。

『歳上に見栄張らせてよ』なんて言って食事代は絶対に出させないし、会う時はいつも俺の家や家の近くを選んでくれていた。普段はポンコツなくせに。対等でいいのに、そこまで頑張らなくたっていいのに。と思いつつ、満更でもなかった。
元からメンタルが弱い俺は、付き合ってからもしょっちゅう落ち込んで殻に閉じこもっていたけれど、貴方は何時もそのささくれた心を優しく掬って抱き締めてくれた。

浮かれ切った思考はそんな所を格好良いと感じていたし、愛おしくて、自慢の恋人で、愛していた。

だから俺は自分でも気付かない内に、自分の何もかもを貴方へ差し出してしまっていたんだ。


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25 :牛/沢
2023/02/27(月) 20:06

えー、どうも。牛沢です。この日記を手に取ってくださっている方、いつもありがとうございます。

この度私は生意気にもこちらの日記を施錠しようと目論んでおりまして、施錠後も読み続けたいという奇特な方がいらっしゃいましたら、お手数ですが何かしらアピールしていただければと思います。どなたでも歓迎です。
何時という事はなく、なんかそんな感じの時が来たら閉めますので出来ればそれまでにお願い致します。ふんわりしててすみません。今日も一日お疲れさまです。


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24 :牛/沢
2023/02/26(日) 22:51

そろそろ捨てられるかな。自分からは離れられないみたいだから、きっとその方が都合は良いのだろうけど。


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23 :牛/沢
2023/02/25(土) 21:53



きっかけは覚えていない。いつの間にかよく話すようになっていて、いつの間にか部屋に上がりこまれて、気付けばそう云う関係になっていた。

だけどそれまでだと思っていたから、あの日初めて告白された時は心底戸惑ったのを覚えている。線を引いていたのは自分だけだったらしい。別に好きな訳じゃないから、と断った。その後何度も交際を持ち掛けられて、その度に何度も断った。

本当は貴方の事を好きになり始めている自分に気付かない振りをして。

ある日、てこでも動かない俺に痺れを切らした貴方は俺をドロドロになるまで抱いて、『本当は俺の事好きな癖に』『何が怖いの』『俺を信じて』と有無を言わせず口説いてきた。
逃げ場を奪われた俺には首を縦に振る事しか出来なかった。

それまでの葛藤が嘘のように晴れて、なんのしがらみも無く貴方を好きだと言えるようになったのが嬉しかった。幸せだった。


騙されていると知るまでは。


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22 :牛/沢
2023/02/24(金) 17:14

『来月もよろしくね、』


その日に特別何をする訳でもなく、一緒に居てもいなくても関係なく、作業を早々に切り上げて毎月律儀に言う貴方。

言われてから気付く月もあれば、嗚呼また時間が経ってしまったとその日の訪れを待つ月もある。
貴方はきっと、思いの丈を俺へ伝えたその日から時が止まっているんでしょう。俺はめでたいなんて到底思えない。然しそれを言って傷付く顔をありありと浮かべられるのも鬱陶しい。今のところは受け流すのが一番だと思っている。


「今月もどうも。」


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