まもなくぼくは独立するんだ。 教授の元を離れてイチ考古学者として歩みを始める。 暫くは本当に生活にも困ってしまうだろうから、安定するまではエリナには内緒だ。 お節介焼きのスピードワゴンがうっかり溢さない限りはね。 うっかり消息を絶ってしまうとそれこそ心配を掛けてしまうので、信頼のおける彼にはよく話すんだ。ぼくに何かあっても彼が上手くみんなに言ってくれるだろう。 そう言えば、最近上着を新調したのだけれど、それを報告したらスピードワゴンったら物凄く羨ましがってくれてね。 ぼくのように身体を鍛えて似合う男になりたい! なんて言うものだから、ぼくは君はそのままでいい、今度君に似合う上着を探しに行こうか。と言ったんだ。 ぼくたちの関係は少し複雑だけれど、今もこうして仲良く親友をしてくれる彼がぼくは大好きさ。 いつか何かに託けて彼に似合う上着をプレゼントしようと思う。 Jonathan Joestar |
単純だけど複雑だ。 本音を伝えられない人を見ていると、その奥にある本音を汲み取りたくなってしまうんだ。 伝えられない、というものは本心ではないだろうからね。 少しでもぼくが気付けるのなら、たまになら力付くの事もある。 吐き出してしまえばいいんだ。 聞く体制や、受け入れる体制も無しにそんな事をするほどぼくは軽い気持ちじゃあないぞ。 それくらいの心持ちであることくらい、君ならわかるはずだ。 ぼくのことを見縊らないでもらおうか。 Jonathan Joestar |
ぼくは不思議が昔から好きだった。 witchって魔女という意味があるだろう? ぼくはサンドウィッチを魔女が片手間に食べる為に作ったものなのだと想像して、それじゃあ片手間に食べなければいけない理由は?魔法薬の調合の為?なんて想像を膨らませて楽しむのが好きだったんだ。 そして調べてみるとなるほどと納得出来る理由があった。 それからだろうか。 今有る物についての歴史を見ることが楽しくなってしまってね。 ぼくが金にもならない考古学というものに興味を持ち、それを生業としたいと思い始めたのは。 知りたくなってしまったんだ。生まれてきた理由というものをね。 それが生まれる理由は、もちろん便利性もある。愛情からのものもあれば憎しみからのものだってある。 そう考えていると憎しみや悲しみの浮かぶ人間という存在についても愛せてしまうようになった。 今ではぼくにいつも爪を立てるディオにだって愛情を向けてしまえるくらいなので、ディオ曰くぼくは悟りを開いてしまっているようだ。 そのせいだろうか、ぼくだって怒ることだってあるのにそれでびっくりさせてしまったこともあったっけ。 懐かしいや。 あの時の驚いた顔ったら、今でも笑ってしまうよ。 さあ、午後からも頑張ろう。 今日は体力勝負だからきっと夜には草臥れてすっかり眠ってしまうね。 ♦ ♦ ♦ そういえば最近書斎に篭りっきりだったので、スピードワゴンに久しく心配させてしまったようだ。 大丈夫、ぼくは生きているよ。 なんて笑いながら事情を話すと、物凄くオーバーなリアクションで彼が安堵するんだ。 それに釣られてぼくは笑ってしまった。 彼はいつだってオーバーなんだ。 ♦ ♦ ♦ 今日はやけに気分が乗らないなァ…と思っていたら急に雨が降り始めたんだ。 ぼくの心は天気予報かい?なんて笑っていると教授がぼくにこう言った。 >「君はもう帰りなさい」 どうやら熱が出ていたみたい。 長年君の顔を見ているのだから分かって当然だ。 なんて言うものだからドキリとしてしまったね。 嫌だなァ…。 熱だと自覚した途端てんでダメになってしまったよ。 誰かと言葉を交わしていたくなってしまう。 でも、心配を掛けてしまうのでもちろん内緒だ。 約束の映画でも観ようかな。 Jonathan Joestar |
雨というものは、考え事をしているときには味方になってくれるんだ。 ぼくの心に寄り添うかのように穏やかで、世界を雨音だけにしてくれるからね。 静かに向き合うことが出来る。 しかし今日のぼくには少し違ってね。 出掛けるつもりでいたし、その他にもやりたいと思っていた事があった。 つまり活発に動く予定だったんだ。 そういう時の雨というものは憂鬱さ。 どんよりしてしまって、家を出るのでさえ億劫にさせてしまうんだ。 もちろんやるべき事でもあるからぼくは逃げないけどね。 そういえば、ダニーはぼくの心音を聞くのが好きだった。 眠るときは必ずぼくの左側にいて、胸元を枕にするんだ。 それがぼくもなんだか嬉しくてさ。 そんな事を思い出してしまうような昨晩だったんだ。 つまり…、安心出来た、と言いたかったのだけど、ダニーの代わりですかなんて言われてしまいそうだ。 言葉って難しいや。 ♦ ♦ ♦ そういえばどうしてぼくが日記を書き始めたくなるほど、自分の頭の中を書き出してみないと整理が出来なくなってしまっているのかを書いていなかったと思ってね。 取り置いておいた最初のページに手を掛けてみたのだけれど簡単に説明なんて出来やしなかったんだ。 いつか触れる覚悟が出来たその時は書いていこう。 Jonathan Joestar |
さて、今日もおサボりの時間だ。 日中のこの時間はぼくにとっての大切な時間なのだけれど、手を止めてしまうのでいつもおサボりだと言われてしまうんだ。 ぼくは沢山の冒険をしてきた。 その中で沢山の出逢い、そして別れがあった。 なんだかんだと、ここがぼくの終着点なのかも知れないと、何度そう思っただろう。 結局はぼくも冒険がすきなのかも知れない。 次の場所を目指しているんだ。 そんなぼくがいるんだ。 次はどんな出逢いが待っているのだろう? 次はどんな経験が出来るのだろう? そう思うとワクワクが止まらない。 寂しがり屋なぼくのくせに、別れを繰り返してしまうなんて奇妙な話だ。 いけない、あまりにゆっくりと日記を書くのでまたディオに怒られてしまいそうだ。 また書こう。 ♦ ♦ ♦ ぼくは尊敬されてしまうほどの紳士じゃあない。 まだぼくの目標とする姿にはたどり着いていない、という意味だ。 そんなぼくの心情とは反して懐いてくれているスピードワゴンの方がぼくには綺麗な心をしているように思う。 彼にとってぼくは神秘的で、独特な考え方をするものだから時間の許す限り会話していたい存在なのだと言う。 ぼくにとってはね、スピードワゴン。 君のように平気な言葉を述べていて、その実てんで慌てた様子を隠し切れていない君だったり、ひとつひとつを素直に喜んでいたり、たまに得意げに話すその様子が癒しであり憧れでもある。 もう1人の、可愛らしい人。 あの人だって言葉ではツンケンしているくせに優しさが筒抜けさ。 ひとりひとりが違った形の優しさを持っている。 ぼくはその優しさに触れたとき、とても胸が熱くなってしまうよ。 みんな大切な友達さ。 だからこそぼくも、自分を否定ばかりしないで自分自身にある優しさを伝えていけばいいのだ。 そう思わせてくれるたくさんの友人に感謝しよう。 そうしてぼくは、この旅に区切りをつけていこう。 #新しい冒険を始める為に。 Jonathan Joestar |