禁止事項②:同ディビジョンメンバーの協力、助言 これを盛り込んだのには確固とした理由がある。
一つは、
あんなものを預けたと素行の悪いMTCメンバーに知れたら、確実に悪用される。火を見るより明らかなレベルで悪用される。一瞬で残高をゼロにされる。もう100%明らかだ。
そしてもう一つは、正直残高を根こそぎ奪われるより深刻な問題だ。お金はまた増やせるけどこっちは本気で洒落にならない。
一兄に叱られる。
こんなゲームをしてると一兄に知られたら確実に叱られる。それはもう烈火の如く怒るに決まってる。
理由なんてもう数え切れないくらいある。まず相手が因縁浅からぬMTCのメンバーであること。次に相手のとても大事なものを遊び半分で預かっていること。最も肝心なのは、結構な額の入った
通帳を不用心に渡していること。
一兄がどんなに苦労して僕ら兄弟を孤児院から引き取るための資金を稼いでたか知ってる。正確に言うと当時の僕は知らなかったけど、今の僕は痛いほど分かってる。そんな一兄にゲームの内容なんて知られたら叱られるどころか幻滅される。悲しまれる。分かってる。遊び半分で大事なお金の入ったものを他人に預ける浅はかな奴だとガッカリされる。
僕はそれを否定できない。本当に遊び半分でゲームを続けてる訳じゃないよ、
>>3とか
>>5とか
>>7あたりに書いてる通り、このゲームを始めたのは僕なりの確固とした理由がある。
でもそれを一兄にうまく説明できない。僕があの男、毒島にどれだけ本気になってるかを、とても説明できる自信がないんだ。
だって、アイツに本気で惚れてるなんて、どうしたら説明できる?全部きちんと説明するのはハッキリ言って無理だ。
だから、
「最近元気ねぇけど何かあったのか?」って優しく声を掛けてくれた一兄に、僕は色々端折って隠して要点だけを伝えることにしたんだ。
『年上の人を好きになった』って。
一兄はビックリした顔してちょっと照れ臭そうに目を細めて、そうかって当たり障りのない返事をしてくれて、その場は何となく適当に流れたんだけど、その夜僕がお風呂に入ってる時に一兄と二郎が極秘の家族会議をしてるのが分かった。
だらしない二郎のせいでリビングのドアがちょっとだけ開いてたから、聞こえたんだよね。
正直もう恥ずかしくて死にたい。穴があったら入りたい。2、3週間くらい穴の中で過ごしたい。かなり本気で。