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7 :山田三郎
2020/09/16(水) 20:43



3日目に入る前にまず話しておかないといけないと思って。
僕らがどういった経緯で親睦を深めたか。あるいは、ここまで近しい距離で接することを許し始めたか。

勿論事の始まりはあの鮮烈なテリトリーバトルの準決勝戦だけど、同じラップバトルの参加者同士その後にも会う機会は多々あった。
その中でも距離を縮めたきっかけは、これはラップバトルとは何の関係もないんだけど、萬屋に来た依頼の一環で南半球、主にオーストラリアもしくはヨコハマの森に棲息しているエミューを捕まえて捌いた後の鶏肉を手に入れるってミッションから………オーケイ、うん。何を言ってるか分からないって顔をする気持ちも分かるよ。その気持ちは最もだ。僕も何を言ってるか分からない。うん、他に説明のしようがないから聞き流して。エミューはどうでも良いんだよ。


アイツのベースキャンプが予想外に居心地良かったから足繁く通うようになって、色々話すようになって、アイツもそれを拒まなかった。
僕が何を聞いても丁寧に答えてくれたし、何を頼んでも出来る範囲で応じてくれた。

平日の昼間、特に理由もなく無性に、急に学校にいるのが嫌になって飛び出したことがある。その時たまたま思い浮かんだのがアイツのベースキャンプで、その場でラインしたら数分で返事が来たから『泊まりに行く』って連絡してそのまま押し掛けたりした。
なんていうか、分かるかな。急に今いる場所から逃げ出したくなる気持ち。全部忘れて無心になりたい気持ち、っていうか。そういうのを説明するのも面倒だったんだけど、毒島は特に何も聞かずに夕飯を用意してくれたし、僕用の寝袋まで用意してくれたし、あとゲームで遊んでくれた。
そうだな、うん。そういうところが何ていうか、ほら……その。居心地良くて。好きだなって……いや、別にそういうアレじゃないけどさ。本当に別にそういうアレじゃないけど。

それから、もっとアイツのことを知りたくなって前より頻繁に来るようになったし、泊まる回数も増えた。
アイツはいつも歓迎してくれるし僕の好きにさせてくれる。スイッチも一台渡したから手が空いてる時はゲームの対戦相手にもなってくれる。(マンカラの勝率が僕より高いのが気に食わない)
要するに良い友人だ。……多分。友達の家に泊まったこと、ほとんど無いから、多少推測だけど。友人ってこんな感じの関係だと思う。多分。
だから、今回のゲームを持ち掛けた時も毒島はいつも通り応じてくれたし、これも友人の遊びの延長だと思ってるだろう。多分ね。


僕がここまで本気だってアイツは知らない。きっと。



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6 :山田三郎
2020/09/15(火) 12:35



探索2日目。
いや、2日目?って表現には語弊がある。まるで僕がここに入り浸ってるみたいじゃないか。まぁ実際そうと言われれば反論する要素に欠けるんだけど。

毒島のベースキャンプは、当然ながらテントだから一般住居よりも狭いし萬屋に比べたらドールハウス並みのコンパクトさだ。
だから探索できる場所なんて限られてるし、家探しゲームの舞台としては絶対的に不利なんだ。
つまり僕がここを足繁く訪れてくまなく捜索すれば、そう時間も掛からず簡単に目当てのものを見つけられる。そしてゲームセット。大方の予想通り、僕の勝ちがほぼ約束されたゲームなんだよ。分かるね?


……まぁ、2日目で見つかるとは思ってないけど。
今日もアイツがテントを空にしてどこかへ出掛けてるから我が物顔で家探ししてるけど、狭いテントのどこを引っ掻き回しても僕の大事な預金通帳は出てこない。だからって別に焦ってはいないよ。

にしたって不用心だよな、ゲームしてる自覚あるのか? 僕が勝ったらあのの中身は全部持って行かれるんだぞ? まさか大事でも何でもないものを掴ませたんじゃないだろうな、アイツ。


ほんと、テントの中にはPCその他精密機器も沢山揃ってるってのに、無頓着だなアイツ……
……こんなに不用心な奴だったっけ?




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5 :山田三郎
2020/09/14(月) 21:50



あの男が気になり始めたきっかけは、
そんなに大したことじゃないし別に凄く気になってる訳でもないっていうか別に気にしてはいないんだけど、まぁ、そうだな。他の有象無象の足りない大人たちよりはマシだと思える部分が多い。
一番気に入ってるところは、そうだな。
アイツは僕のことを一切子供扱いしないんだ。

バトルで手加減しないのは勿論、子供だからって教育に良くない話題を避けたりはぐらかしたりしない。
夕食の手伝いだって甘やかさないし、成人男性と同じだけの体力が備わっているものとして扱ってくる。言葉遣いを僕に対する時と同じディビジョンの奴らに対する時とで変えない。わざとらしく分かりやすい単語にしたり、「子供には分からない」ってつま弾きにしたりしない。
僕を僕として見てる。だから、他の大人とは違うと思った。


ただ、一兄とは意見が違う。
この世で最も崇高にして至上なる存在の我らが一兄は、僕らとチームを組むようになってから「子供を子供扱いしねぇ奴が一番恐ろしい、十分気を付けろ」ってキツく言い含めるようになった。
でもこの教えには納得いってない。今まで僕らは、僕らを子供だと侮って好き勝手してきた馬鹿な大人をたくさん見てきた。例えばサンセットビルの展望階でね。
だから、僕は僕の価値観を信じる。一兄や二郎ほど人を見る目は無いかも知れないけど、嗅覚はあるつもりだよ。
勿論、忠告だけは参考として受け取っておくけど。


それに、
アイツ、偶にさ。
ごく偶になんだけど、僕がそっちを見るとすぐ顔を逸らすから他の誰も気付いてないと思うんだけど、すごくこわい目をしてる時があるんだ。
例えるなら、そう、獲物を見る時の目。
僕を子供や大人の分類に当て嵌めてるんじゃない。たぶん、アイツは。





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4 :山田三郎
2020/09/14(月) 10:17



さて、探索1日目。
といっても毎日ここに来る訳じゃないし何を持って1日とカウントするかは微妙だけど、とにかくゲームを始めて1日目。
ここ最近ですっかり覚えた道を辿って着いたらアイツ、テントにいなかった。やる気あるのか?これじゃ調べ放題じゃないか。

……ってことで調べられる範囲でテントの中をごそごそ探し回ってみたんだけど、まぁ、当然ながら簡単には見つからないよね。初日にゲームオーバーなんて白ける展開にするようなヤツじゃないことは重々承知してる、ああ見えて結構勝負ごとには熱くなる性格なんだ。……たぶん。僕の予想では。
このテントの中なんて大して広くもないし隠し場所も限られてそうだけど、どこに隠したんだろう。料理用のフライパンや包丁や塩胡椒なんかの調味料が仕舞ってある収納を引っくり返したけどそれらしいものは無いし、PCとかその他精密機器が繋いである辺りも漁ったけど何も出てこなかった。預金通帳なんて小さいものだから隠そうと思えばどこにでも隠せるだろうけど、紙の性質を考えると湿気たり変形したりする場所には置かないだろうし、ある程度環境が整っている場所に安置されていると考えるのが妥当だろう。
その観点から、他に適した場所といえば……


と、ゴソゴソしてる間に本人が戻ってきたから今日の探索はここまで。
時間帯からして今日の夕飯でも仕入れて来たんだろうから、折角だし手伝いでもしようかと思って外に出るだろ? 何だ少年来ていたのか、って向こうが返事するだろ? すごく普通に挨拶してきた相手の肩に丸々一匹の鹿が担がれてた時の僕の気持ちだよ。何で僕こんな蛮族みたいなヤツに惹かれてるんだ? 何でこんなヤツに会うために手の込んだゲームなんて仕掛けたんだ? おまけに何で今ちょっとグッと来てるんだ? もう本当に訳が分からない。ちょっと考えるのをやめよう。鹿食べよう。



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3 :山田三郎
2020/09/13(日) 18:24



ゲームを持ち掛けたのは当然僕だ。
これでも結構考えたんだよ。一番大事なものって限定するとお互いヒプノシスマイクを預けることになるし、暴力有りにすると勝ち目がないし。まぁ、相手が本気で僕相手に暴力を振るうとは思ってないけど。
多少なりとも渋られるかと思ったけど、向こうの反応は案外あっさりしてて、あっさり承諾した上にあっさり大事なものを手渡してくれた。


これ、何の鍵だろうな?
車の鍵じゃなさそうなのは分かるけど、家の鍵か、もしくは大金の詰まった金庫の鍵なのかも知れない。とにかく、
毒島が僕に預けてきたのは何かの鍵

で、僕からも相応の大事なものを渡さないとゲームが成り立たないだろ? だから、今までに株取引その他でコツコツ貯めたお小遣いの殆どを突っ込んでる通帳を預けることにした。億単位の預金があるやつ。あ、一兄や二郎には内緒のやつだよ。
ネットバンキングが主だから普段は全く使わないけど、失くして悪用されたら活動資金が一瞬で消えるからね。日常生活で困ることがなくて、でも奪われるとクソほど困る。そういうものを選んだつもり。
僕が毒島に差し出したのは、預金通帳

お互いにアイテムを受け取ってから一週間のインターバル。その間に絶対に見つからない場所へ隠す。
準備が整ったから、ようやくゲームスタートだ。
あとは毒島のベースキャンプを訪れて、テントの中をくまなく探して、預けた通帳を見つけたら僕の勝ち。

もちろん毒島が先に僕の隠したアイツの鍵を見つけたら負けだけど、まぁ、負ける気はしてないよ。
鍵は今のところ僕の自室のキャビネットの一番下に仕舞ってあって、学校に行ってる間は自室のカギをこじ開けない限り見つけられない。そんなことしたら、流石に一兄や近所の知り合いに見つかるだろうからね。
つまり、僕にとって絶対的に有利なゲームなんだ。


なんでこんなゲームを仕掛けたかって?
決まってるだろ? 正当な理由をつけて、ほら、その。アイツのところに通えるからだよ。
何の経緯もないのに家から遠く離れたはげ山の奥地を何度も訪れるなんて不審者以外の何者でもないだろ? 最悪一兄や二郎に見つかっても言い訳が出来る。敵対している以上体裁も悪いし何よりアイツにどう思われるか分からない、僕は人より頭の回転が早い分凡人には意識の及ばないところまで配慮して的確に行動出来るんだよだからアイツに理由もなく会いに行ってるなんて周りに知られる訳にはいかないし当人に警戒されたら元も子もないしそもそも会いに行かなきゃ良いだろって話なんだけどそれだと都合が悪いっていうか神童には神童なりの目論見というか考えがあって通いたくなる衝動を抑えられないというかでも別に理由をこじつけてまで会いたいとか別にそういうわけじゃなくて別にアイツに興味なんて全然ないけど行動とか認知とか生活様式とかに多少学術的な興味があるっていうかだから別に本当に、


テントに着いたから続きはまた後日ね。
そういう訳だから、僕の勝ちを見守ってて。




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