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┗189.刃生行路(〆)(20-24/78)

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24 :三/日/月/宗/近(刀/剣/乱/舞)
2018/10/02(火) 01:39

#天下五剣も鼻水は出る

匂いと言うのは面白いものだと思う。自然と香るもの、作り出され広がるもの、日々の生活の中で嗅ぐ匂いは様々あるが、その記憶ひとつで時間帯や曜日、天候、季節などが分かったりする。
最近、万屋に向かう途中で焼いた芋の香りが漂うようになったのだが、それを嗅いだ時に秋なのだなと思った。安直やもしれんが、焼き芋の香りは秋の香りだ。それから花の香、何と言う名の花かは見付けられておらんので分からんのだが、嗅ぐと秋だ、と感じる花の香がある。花や植物に限らず、春も夏も、冬にもそう感じる香りはある。
演練で話したとある刀の本丸は、金曜と日曜のみ夕餉のメニューが決まっているらしい。ゆえに夕刻、その料理の香りがすると今日は金曜か、日曜か、と思うのだそうだ。匂いの話とは異なるが、一部の曜日でメニューが固定される事に初期刀殿が興味を持っていた為、我らの本丸でも鍋曜日やカレー曜日が生まれるやもしれん。

肉の器と言うものは、嗅覚を始め五感がしっかり働いてこそ生を楽しめるのだなと改めて思っている。特に食だ。
俺は今、刃生で初めて鼻詰まりを経験しているのだが、余り香りの分からない夕餉は常より味気ないものであった。やはりあの立ち上る湯気と香りを感じねば、真に味わったとは言えぬように思う。一刻も早く嗅覚を取り戻し、明日の食事はしっかり楽しみたい。

かみすぎて赤くなった俺の鼻を見た数振りから大量の高級やわらかティッシュを貰ったのだが、この手のティッシュは嘗めると甘いと言うのは本当だろうか。試そうとすると怒られる為、一振りの時を狙い嘗めてみようと思う。

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23 :三/日/月/宗/近(刀/剣/乱/舞)
2018/09/09(日) 04:23

#月の話をする月の話

月はいつも同じ面しか見えないようになっているのだと信濃に教えて貰った。俺達と月は常に見つめ合っているらしい。
普段見ているのが月の顔であるなら、月の後頭部はどうなっているのだろうか。やはり兎のいるような、そんな姿をして在るのだろうか。或いは顔の反対側、後頭部であるから、つるつるとしているのだろうか…などと思っていたのだが、月の反対側はぼこぼことしているようだ。
空の外側、宇宙と呼ばれる域では大小様々な石があちらこちらと飛んでおり、俺達はそれを流れ星と呼ぶ。夜空に一瞬光るあれだ。その流れ星の随分と大きいものが月などにぶつかると、地表に穴が空いてぼこぼことするらしい。
何故顔より後頭部がぼこぼこしてしまうのだろうな、と信濃に訊いてみたが、そこは信濃も知らないようで二振り並んでうんうん唸る事となった。

そんな話をしてから三日、四日経った頃だったろうか。理由を思い付いたと言う信濃に呼び止められて話を聞いたのだが、曰く、俺達に流れ星がぶつからないよう守っているから背中が傷だらけなんだと思う、と。顔しか見えないのもその為ではと。
俺は納得しかなかったもので、きっとそうに違いないと返した。兎の顔しか見せずにいながらその背で人知れず我らを守っていると思うと、夜空に浮かぶ月がまた一段と美しく見えたのだ。
月の名を戴く物としても、斯く在りたいものだなと思う。

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22 :三/日/月/宗/近(刀/剣/乱/舞)
2018/08/20(月) 01:23

#暇をもて余したじじいの遊び

見付かると行儀が悪いと注意を受けてしまう事もあるのだが、縁側で頭を庭に向けて仰向けに寝転び夜空を眺めるのがとても楽しい。足は適当に部屋に入っている状態だ、頭だけ縁から出して完全に上下逆さまにものが見えると尚良し。
星の散る空が海のように見える、ただそれだけの遊びだ。
ただそれだけだが、果てがなく底もない海は不思議とずっと眺めていたくなる。

俺が打たれるより遥か昔、日ノ本が成るより遥か昔、人の子の一人目が立つより遥か昔、それが星の生まれた日なのだという。星について書かれた本を手に、やれあの紅いのが、それそこの蒼いのが、と教えてくれたのは小夜だったか。
永く永く瞬いている星達も寿命はあるそうで、月や太陽も例に漏れず寿命はあるそうで、星であれ何であれ生まれたからには終わりを迎えるのだなと思ったのを覚えている。
俺も空に浮かぶ星々も、始まって終わるのは同じだ。

始まったばかりと思っていた夏も、じき終わりそうだな。
夏が終われば、秋の始まりだ。

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21 :三/日/月/宗/近(刀/剣/乱/舞)
2018/08/16(木) 19:16

#細かいことは気にするな

何処ぞの匂鳥のようになったが、やはり細かいことは気にしないで欲しい。
本丸は属する国こそ決まっているものの、具体的に何処にあるのか俺もよく分からん。何処の時代だろうか、土地だろうか、そもそも我らは確かに大地を踏み締めているのか。
時に門の先は、敵の本陣に繋がるやもしれん、彼岸と通じるやもしれん。考え出すと切がなく、然しどうにも面白い。

ふと思い立ち、投函箱を作って貰い門に設置した。
短刀の子らが遠征や出陣で見付けたものを入れてくれるらしい、とても楽しみだ(鯰尾は馬糞を詰めると張り切っていたが丁重に断った)
本丸の外からも何かが舞い込む事はあるだろうか、これもやはり楽しみにしていようと思う。

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20 :三/日/月/宗/近(刀/剣/乱/舞)
2018/08/15(水) 13:17

#ふんわりふんわり

たまには巷の若者らのように色恋に浮かれた話でも綴ってみようと思ったのだが、俺だけに許されている姿などについては秘めたままにしておきたいのでふんわりと記す。

俺の慕う刀は良き刀である。よく切れ、よく率い、よく戦い、よく話し、よく笑い、よく見ている。それからよく寝る。とても寝る。
部屋で二振り過ごす時などは可愛い顔も見せてくれるが、やはり戦う事を本分とした刀であるので、男前が先にくる。長く在るがゆえの包容力も凄いと思う、これはまぁ、俺も負けんが。
俺にベタ惚れであるところも大変に可愛い、…などと自意識過剰な事を当たり前に口に出来る程には愛情を注いでくれる刀だ。本当に有難い事だな。
悋気持ちなところも可愛らしい。俺の好きなものにも悋気を起こすようだが、俺と言う刀の形を歪める事を良しとしない為何か行動に制限を掛けるような真似はしない。俺が俺の儘在る事を望んでくれる、本当に良い刀だ。

正直を言えば可愛らしさや愛しく感じる点など一から十まで書き綴って自慢したい気持ちもあるのだが、明かしてしまう勿体なさや何より独占欲がそれを上回る為これくらいで終いとする。
まだひととせと幾月程度しか共に過ごしてはおらぬゆえ、これからまた新たな一面が見られると思うと楽しみでならん。

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