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スレ一覧
┗240.【保存】You knows how to captivate me.(60-64/158)

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64 :Shu Itsuki(e/n/s/t/!)
2020/07/27(月) 01:20


ああ忌々しい……。
あんな三流に影片を貶められるのは我慢ならないのだよッ!
悪趣味な粗悪品だ。まるでなってない。ああ、頭がおかしくなりそうだ。
荒れた心中を表すように物が散乱した部屋。
それがますます僕の神経を苛立たせる。まったくもって不愉快だ。
そう心を尖らせていると
立てた物音で部屋の異常に気づいたらしい影片が顔を出した。
#「お、お師さぁん…そんなに怒ったらあかんよ〜?」
「僕は怒っていない。不当に貶められる僕を嘆いているだけなのだよ。
この憤懣を奴へぶつけられたらどれだけ良いか。君だって不快なはずだ。
どうしてそう平気な顔を……いや、そう見えて平気ではないのだろうね。」
#「んあぁ〜…まぁちょこっとモヤ…ってしたんやけど、
#お師さんが暴れかねへんぐらい怒っとるから…いやもう暴れてはるなぁ…。
#おれのことでそんなに怒らんでえぇよぉ…。」
「僕のことだ。」
#「えっ…おれのことちゃうの…?!」
「僕の人形に泥をつけるということは、
この僕の顔に泥を塗りつけるも等しいのだよッ!」
#「やっぱりおれのこと考えて怒っとるんやんなぁ…えぇんよ。」
違う。僕は瞋恚を君のせいになどしない。
が、やけに気の抜けた嬉しそうな顔を彼がするものだから
僕は結局怒りを鎮めるほかにないのだろう。

治まるはずがなかった。怨嗟の声はきっと貴様に絡みついてその喉笛を噛み千切るだろう。怨讐の大渦に飲み込まれてしまえ。塵ひとつ残ることもこの僕が許さない。


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63 :Shu Itsuki(e/n/s/t/!)
2020/07/16(木) 16:24


恋は果たして分別くさい狂気でありうるのか。
先人はそう言った。
僕に言わせてみれば、あれほど判断力を奪うものはない。
……なればこそ、判断を誤ることは当然だ。
そう、僕らは恋をしているのだから。
誤ったのなら正せば良い。
僕らにはその機会が与えられているのだよ。
より良い関係となるための機会が。
損ずることを前提に僕らはそれをやめることができない。
それが生きる糧だ。僕らの。
成る程、苦汁で甘露とはよく言ったものだね。
ときに苦汁として僕の舌を痺れさせ、息の根をとめにかかるが
ときに僕を至福に誘う……何よりも芳醇な香りを持つ甘露だ。
恋というものは。


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62 :Shu Itsuki(e/n/s/t/!)
2020/07/04(土) 15:08


鳥の羽根よりも軽い。
……とまでは言わないが、彼の身体はそれなりに軽い。
少し前までは生身の重みをほとんど欠く、
人形そのものの頼りない身体をしていた。
小鳥の骨に純絹を張り、月の灯りで温めた海を流し込む。
そうして創り出された彼の心臓に耳を重ねれば、
いとおしい満ち引き。波の音がする。
まぁ今は多少筋肉もついてきて、随分人間然としているのだけれどね。
生きている人間だからこそ、涙の海が満ちる。
海の雫が硝子の瞳から零れ落ち、
宝石へと姿を変えることは僕だけが知っている秘密だ。
虹彩の色を反射してそれぞれの色に煌めく宝石は
この世の何よりも美しく、それを眺めていられるのなら
どんな非道も成してしまうような……そんな魔力があるのだよ。
ただの人間である僕がそれに抗えるはずもないだろう?


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61 :Shu Itsuki(e/n/s/t/!)
2020/06/30(火) 15:31


昨日、自宅へ帰るといつにも増して思いつめたような顔をした影片が
ソファの上で電気もつけずに蹲っていた。
今度はいったい何が始まったのだろうね……
いくら空の頭を悩ませようが意味がないのだから、
さっさと白状したまえよ。
部屋の明かりをつけて隣へ座ると肩へと頭が預けられた。
少し温度が高い。考えすぎで知恵熱でも出しているのではないかね。

#「重いかなぁ、おれ、」
#「おれ、お師さんしかおらんのん。」
#「重たい?こんなこといわれるんいや?」
#「おれ、何をするのもお師さんとやないといやや。」
#「ずーっとがまんしてたけど……。」
#「お師さんがえぇよ……。」

ぽつり。水面に水滴の粒が落ちるように。
落ちてしまった水滴が波紋を広げていくように次々と。
水風船だ。と思った。
溜め込み続けた水で一杯一杯に膨らんで、割れてしまったのだね。
弾け飛んだ水風船の、その飛沫が水紋を広げていく光景が想起される。
そうまでして抑え込んだ君のこの感情を、
僕は重いとは思えないのだけれど。

#「……重くないん?」
「君を抱っこすることのほうが余程重い。」
#「んあ……お師さん、秤がぶっ壊れてるんよ。」
#「お師さんが重いって感じられる重さは地獄みたいな重さや。」
「そうだね……
……刃物を出されたらさすがに重たさを感じて嫌になるかもしれない。」
#「地獄やん……。」

そうは言っても、
実際に重たいと感じられないのだから仕方がないだろうに。
……ひょっとすると、僕のこの感覚だけが鈍いのは……
君のような存在を受け止める為かもしれないよ。
神さまが僕らを『そう』創った。
最初から僕らは『ひとつ』としてデザインされたのかもしれないね。


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60 :Shu Itsuki(e/n/s/t/!)
2020/06/26(金) 16:32


‬ひとたび『それ』に振り回されては、
自分がどの果てへ辿り着くかも分からない。
……影片は時折、大きな『嵐』を連れてくる。
強大な感情の渦は僕への好意に満ちていて、
あっという間に僕を飲み込んでゆくのだ。
暴力的とも呼べる荒々しさが、愛おしいほどの優しさに溢れているのは
きっとその好意の感情がもたらすものなのだろう。
そんな嵐の中を進むには何が必要か分かるかね。
『羅針』だ。僕がそれを持っている。
……持っている、のだけれど。
その扱いに長けている自負もあった。
どれだけの嵐が来ようとも、舵を切り、僕がコントロールできると。
それが今ではどうかね。抗うのがやっとだ。
もういっそ、『嵐』に身を任せ、
辿り着く果ての景色を見れば良いのか。君と。
どんな景色が見られると思う?
きっと、目にも麗しいふたりだけの世界なのだろうね。

理性は『羅針』で、欲望は『嵐』だ。


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