天然と養殖の違いを思い知る。此の短期間に見せた分で此れだけ重怠いものを沢山抱えてる時点でイージーなつもりは無いから尚更。敵わない、って口に出すのは簡単だった。今まで。心底思った事なんて正直無かったんだよね。アー、転がせない相手ってマジで苦手だわ、顔緩んで仕方無い。凡そ彼奴の所為。

失態と醜態を同時に。晒す。なかなか落ちる事も少ない所為か一度落ち切ると顔を上げるまでの時間が長い。自分自身が持った悪い癖が身を削る。彼奴の。身を、心臓を。其れでも目、離さないでいてくれたの、其れに胡座を掻く気も無いし、掻けるような事じゃない。彼奴が馬鹿みたいに笑ってる事が何より嬉しいのに。何より、笑えるのに。捨てられるモンなら捨てたいプライドを、捨てたい、捨てた、捨てられる、って意地と言葉で覆い隠した儘、大事に抱えてた。いとも容易く崩れた其の残渣すら今はもう。要らないんだなって据わった両目で、見下ろした。もっと大事なモン、抱えたい。目の前の大事なモンだけ、抱き締めたい。

湿気た酸素が肺に流れ込む。彼奴の目が此方を向く。意識が。身体が。手が、俺に向かって。何より、早く。其れが何れだけ気持ちの良い事か、教えてくれたのは、見出せるのは、紛れも無くお前だけなんだよ。

此の時間に飲み物以外のモン腹に詰めたらしんどい。知ってた。付き合えって上司に袖掴まれたら断る選択肢なんて捨てる他無い。つら。若さ何処行った。布団と彼奴にくるまれて寝たい。クソ眠い。

「 泣きたくなるくらい、 」

泣くくらい、に、変わった夜。……ね、

？？？

人に揉まれて酒に呑まれて、朝が来て。気付けば整える事すら擲ったしわくちゃの布団の中。昔から端の方で狭々しく寝るのが好きだったんだよね。窮屈感が祟って関節が軋む。否、此れ、酒の所為かな。二度寝に傾ぐ手前、酷くけたたましい音で目を醒ます。ぼやけた頭と目ん玉じゃ、今が何処で何時かなんて即座に判断出来る筈も無くて。デスクの上には許可無くしてスリープ状態から抜け出せずに、無駄に熱を保った箱。枕元の携帯が鳴らすアラームに、其れの機械音が混ざった。長い時間前髪を括っていた髪留めに頭皮が引き攣られて痛む。視界の隅でちらちら、揺れる、毛先。寝癖やべえ。朝。朝だった。厚地の遮光カーテンの隙間から漏れた陽の光が目に刺さる。優しくない。「 至さん、 」掠れた声。たったひとつの瞬きが重い。寝返りを打つ。俺の背中側で、布団に埋もれた体温が。小憎たらしいようで、形の良い、目が。緩んだ其の、唇が。俺を、呼んだ。

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>>>564 ♡ 阿呆の日記 ♡（死んだ目）

※ 半完混合、背後透過、捏造
※ 特殊記号、同性愛表現、R20

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