光を反射して黄金に輝く美しい朱いウロコ 光すら寄せ付けない不恰好な漆黒のウロコ 大丈夫 小さな水槽には二匹しか棲まわない 互いには互いしかいない オマエたちは一緒だ |
「俺っちの独歩はお色気担当じゃん?」 ……………は? いやいや、のちへん案件だ |
さーて、土曜日の夜は~!ひふみんと一緒にお勉強する家庭円満運アップのインテリア風水の時間でーっすっす!……ま、家庭円満運アップしなくっても俺っちたちラブラブフルスロットルだけどな~!(ドヤ) まずは玄関! ・靴箱を週に一回30分開け放して換気する! ・玄関に不潔な暗い色のマットは置いちゃ、めっ! ・玄関の扉は「可能性」を表すから時計(タイムリミットになっちまうから)はかけちゃ、めっ! お次はリビング! ・目線が合う写真を飾るのは、めっ! 写真の中の被写体と目が合う気を消耗していく…(しおしお) 枠がないと運が留まらないのでフレームに入れて! ・アンバランスな棚は、めっ! 上の方が重いとグラつく 下の方に重いものがあるとOK ・家族の目線が合わない食卓は、めっ! 向かい合って座る! ここでワンポイント! リビングでできるカンタン運気アップ術~! 観葉植物や生花を置くと悪い運を吸い取ってくれるぜ~! キッチン ・調理器具が赤色は、めっ! 赤色は燃えるを意味するから。 普通に白でおけまる~! ・冷蔵庫 飲み物の隣にドレッシングを置くのは、めっ! ドアポケットに入れない! ドレッシング=オイル=火と飲み物=水でケンカして消耗しちまうから。 階段は殺風景にしない!絵とかを飾っちゃお~! 窓は塞がない!気の流れるところ! 花が鏡に映ると運気倍増!? 食卓に花を飾りましょ~! 暗い色のテーブルクロスは、めっ! 黄色肌色パステルカラーがおすすめ! 家の真ん中にゴミ箱は、めっ! 運を捨てちまうから…! 蓋付きのゴミ箱がおすすめ! 独歩はめっ!コンボくらって生きてっかな~? |
ひふみと俺 月とすっぽん 薔薇と雑草 ダイヤモンドと石ころ… 見てくれはまったく違うが、図らずも価値観に似たところが多々ある …と言うか、俺が俺のままでひふみに接することが、アイツにとっては心地好い…らしい それは俺もそう アイツが言うことに対して、それは違うんじゃないか、とか、なに言ってんだコイツ…だなんて、そんなふうに思ったことがない もちろん違う意見のときだってあるし、それぞれ考えることも好みも違うことだってある だが、ひふみが思うことや好きなこと…そのほかあらゆることに否定的な感情を抱いたことがない それって言葉にして言い代えれば、相性がいいとかウマが合うとか、そういうことになるんだろう だけど、だ そういう相手と出会って、一緒にいられることは言葉ほどに単純なことじゃない 自分の欲求や願望、好みや癖や嗜好…それらを伝え、受け取った側が理解しようと努め、または希望に沿うよう努力しようとしたりする―― ――と、そういうことではなくて、もともと備わっている考えや好み、心地好いと感ずる部分に、すとん、と嵌る、そんな感じ そういう相手と向き合い、手を繋ぎ合って、好きだ、と思い合えるなんて最高じゃないか そんな中、セクシャルな話題になったときのこと 互いに、心の潔癖症ってもんの所為、好きな相手としかヤれないって話しになって だけど俺は、好きな相手が傍にいなければ、ヤリサーに入る…と言った そこの価値観というか、考え方や実際にどうするか、は俺とひふみでは違う 違うんだが…… 「はいはい。俺っちがずーっと一緒にいるからヤリサーはナシ、な」 って、な なんでだよ、とか、なに言ってんだよって、そういう否定じゃなくて、こんなふうにさらっと言って、俺の心を見事に掻っ攫う きゅんとしたから、何度もこの言葉を目で追った そうすれば、きゅんが、きゅんきゅんになって、どんどんきゅんが増していった 不思議だった なんでそんなに…と考えて、ハッとしたんだ …そもそも俺は、「伊弉冉一二三」を求めて掲示板に投稿した募集文に、ここに書く(募集する)か、毎夜身体だけの関係を求めるか迷った…って、心境を吐露したんだった そんな俺を心配して会いにきてくれたのが、いま愛してやまない俺のひふみだ あぁそうか だからだ ひふみはあのときから、ずっと一貫しているんだ だから、俺はひふみを信じられるんだ 俺のひふみ、そう言うと、ひふみは喜ぶ こんな独占欲剥き出しの言葉で 俺っちの(僕の)どっぽ(独歩くん) 俺もオマエにそう言われることが…嬉しい あと30分で、ひふみと過ごして七ヶ月になる ありがとう |
(フットライトの仄かな明かり。キャリーケースを抱えてリビングへと続く廊下を進むと、途中、僅かに開いたドアに視線が止まり、暫しその前に佇み。ドアの隙間を見つめながらやや思案したあと、静かに自室のドアを引き開いて中の様子を窺い見て。暗くてよく見えはしないが、ほんのりと漂ってくる香りに無意識にすん、と鼻が鳴り、憶測に唇の端を緩く吊って。ゆっくりと近づくベッドに暗がりにも負けぬ輝きを見つけ、スプリングを弾ませないよう注意を払いながら腰を落とすと、宝物同様、そっと優しく絹のような金糸に触れ) ただいま ……ちゃんと帰ってきたぞ。 |