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┗Forest Gump(143-147/152)

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147 :北伊
10/19-01:06

ヴェー。久しぶりの日記だぁ。すっかり埃塗れになっちゃってる。随分書いてなかったもんなあ。
…うーん、きっとこの日記を読んでくれてる子も居ないんだろうなぁ。そうは思うんだけど。

此処から遠く離れた場所でだけども、元気にやってるよ。

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146 :
07/23-13:38

自然の輝きを打ち消すように晧晧と瞬く人口のきつい光は、人間が宇宙の美を汚しているようで好きではなかった。この街がただでさえ人の欲望で成り立つ都市だと感じていたから、尚更だった。夜になれば明々と輝いていた高層の建物の間を抜けていく。現在は見るも無惨な痕が残る街を駆け抜けていく。

かつては、自分の故郷である、この街は、沢山の人で賑わいでいた。それに伴い道は整備され、空を突くような高層ビルが立ち並び、理路整然と人や物が行き交っていた。けれども突然現れた集積体により街はすっかりと変わり果てた。まず集積体の出現に街の高層ビルの窓ガラスは割れ、町中の機械が作動しなくなった。集積体を目の当たりにしたある者は発狂し、ある者は死に伏せ、大勢の人間が何らかの形で心身に異常を来たした。…不思議な事に自分の身体には特に異変は起きなかったが。
そうして街から人が居なくなった事で街の機能は停止し人口の灯火が消え、生まれて初めて星空というものを見た。街のネオンは何時だっても煌々と光り、その光明が夜空をも赤く染めあげていたから。廃ビルの屋上から見上げる満天の星空は、街を出た事のない自分には初めての光景だった。

「あれが星ですか…。綺麗ですね。」

見渡す限り、満天の星空。地上では遠くに見えた星も今は近くに感じる気がする。自然と溜め息が溢れる。周りに人はひとりっこいない。いや、もしかしたらこの街にもう人は居ないのかも知れない。頭がくらくらした。

「もうこの街には誰も居ないのでしょうか。何だか、……気がしてきますね。
そうか、……そうか。」

自分が生まれ育った街が好きではなかった。自然を一切切り捨て人の欲望に塗れ、何より自分を厭うこの街が嫌いだった。街の隅に建てられた教会でひっそりと神に祈る生活を送っていた。けれども望みは叶った。そして思う。きっとアレは、進んだ科学力により栄え過ぎた人類に罰を与えにきた存在だったのだ。つまりは、自分がずっと待ち望んでいた神なのだと。

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145 :
07/03-04:04

>それは、少し未来のお話。
#集積体とは。

ある日、突然、それは現れました。
輝く虹の球の集積。つかず離れず、姿を変える、巨大な虹の球の集積体。
それは地球を汚染し、緩やかに滅亡へと導いて行きます。
人類は今、滅びの危機に瀕していました。

集積体を直視した者は心を砕かれ、心身ともに大きなダメージを受けるでしょう。
私(本田菊)は、科学の力により発展した街の隅に建てられた教会で神父をしていました。けれども、集積体を直視してからは、ソレを神として敬っています。
(私、本田菊には、自覚はありませんが、…心身ともに異常を来しています。)

そして、集積体を探しに故郷の街を離れ――
海の近い街へと辿り着きます。

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144 :
06/22-03:34

集積体の後を追って辿り着いたのは、海辺の街。集積体による汚染の影響を受けた海原は輝かしい七色の斑をなしている。水平線の向こうは虹色に煌めいて、次々と様々な色に変わる瞬きを眼(まなこ)の裏に焼き付けようと、海岸から静かに海を見つめた。

「これが、海。
実物を見るのは初めてですが、なんと美しいのでしょう」

一夜にしてひとつの都市を滅ぼしてしまった集積体。けれども不思議な事に集積体を間近に直視したにも関わらず何の異変も来していなかった。というのも実は本人が気が付いていないだけで、集積体を見たその時に汚染の影響を受けていて、本田菊の目には他者と違う世界が広がっていた。他者の目にはおぞましく見える光景も、その目には酷く美しく映った。けれども本人は気付く事は無い。初めて見る海にただただ感動していた。

暫くの間、集積体の創る素晴らしい世界を陶酔していた。しかし本来の目的を思い出し、集積体の情報を集めるべく街の中心部へと移動する事にした。向かうは街の中心にそびえ立つ高層ビル。






……私(本田菊)は、街の中心へと移動し、集積体の情報を持っていそうな人物を探します。
そして、機械人形であるバッシュ・ツヴィンクリさんに出会いました。

バッシュさん曰くー―、
集積体は海辺の街に向かっているとのこと。
私は海辺の街で彼の存在を待つ事にしました。

覚束ない足取りで
街の中を彷徨います。

すると一人の男が声を掛けてきました。
その人の名前は、フランシス・ボヌフォア。

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143 :
06/22-03:31



「私は物心がついた時から、大いなる知と力を持ち宇宙を支配する存在を信仰していました。
名状しがたき「別の存在」が、遠くない未来、宇宙より遥々遠くから、きっと我々を救いに来て下さると。そう信じて、祈りを捧げてきました。
けれど、神とは何もしてくれるなと畏れ敬うものである事も――、同時に教わってきました。」

神は居るのか?――と問う声。
その質問に答えて、口を閉じる。すると再び沈黙が落ちた。
相手が聞いていたのかどうかは分からない。そもそも問いの答えになっていたのかさえ。ただ時折ライターの蓋を開け閉めする音が聞こえたので、男がまだ眠りに就いていない事だけは分かった。
薄く開いた唇から小さな吐息が溢れた。踵を返し眠る男に目もくれず早い足取りで部屋の入り口へと戻る。そのままドアノブを回し部屋を出て行こうとした。

「……近々、この周辺に集積体が訪れるそうですよ。
おやすみなさい。」

部屋を出て行く間際に昼間機人から得た情報を告げる。何故忠告めいた事を口にしたのか自分自身でも分からない。親切にしてくれた事への礼のつもりだったのかも知れない。そっけない挨拶を残して部屋を後にした。


事務所を出て、男の言っていた4階の奥の部屋へと向かう。カツカツと、コンクリートで固められた階段を上る響く足音が、 鼓膜を振るわせた。そして廊下に出ると其処には見知らぬ男達が数人待ち構えていて、目を見開く。
名前も顔も素性も知れないが、男達がどのような人間なのかは直ぐに察しがついた。如何にも柄の悪そうな風体をしている。その様な男達が丸腰の頼り無さげなよそ者に出くわしたとあれば、どうするかは言うまでも無い。その上純正の銀でできたロザリオをぶら下げていた日には奪ってくれと言っている様に男達の目には映ったのだろう。もしかしたら今日街の何処かで出くわし、その後を付けられていたのかもしれないが、そこまでは分からない。
逃げ出そうにも狭い通路ではそうも上手く行かない。どうしたものかと頭を悩ませる。男達が何か喚いていた。身ぐるみを剥がそうとひとりの男が手を伸ばす。そのまま思わず反射的に自分自身を庇おうとして出した左腕を掴まれた。その時だった、意識が一瞬暗転したのは。

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