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┗さよならのワルツ(26-30/141)

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30 :Arthur Kirkland
12/23-00:58

  
寒空の下、月さえ見えない夜。
人工の明かりばかりが目に痛い場所で、人混みに紛れる。
見上げた空は月がないせいか、いくつも星が輝いていると言うのに、ヴィヴィッドな光の中では酷く霞んで見えた。
人の流れに逆らって俺の手を引くお前の指が絡んだのは、いつだっただろう。

掴んで、離して、絡ませて。スレスレのアッパーリミット、繰り返す自家撞着。上げた水飛沫にヒールを沈ませる。
スタンドで買ったスープはお気に入りのシェフの足元どころか視界にすら入らないし、フェイクの銃は焼き尽くして差をつけた。

楽しいな、と笑ってくれるお前がいるだけで良い。それ以上は欲しくない。
気紛れなのは今に始まった事じゃないだろう?俺達にはこれ位が丁度良いんだ。
お前ら付き合ってないのが不思議だってよく言われるけど、付き合ってないからこそ一緒にいられるんだ。肩書きが必要なら友達で良い。

ゆるゆると、数年分を溶かしていく。
軋みを上げるパワーウィンドウが愛しくて笑う。
役目を果たさないカラビナが泣いて、冷えたマグカップがお前を満たしているのが嬉しいよ。
夢物語を約束に変えて歩めるようになったのが良いのか悪いのか、判断が出来ない弱った頭が欲しているのは何だったか。


お二人が揃っていると安心しますわ、と柔らかく笑ったメイドは俺達を何だと思ってるんだろうな。今度聞いてみるか、覚えていたら。

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29 :Arthur Kirkland
12/16-01:12

  
結果がどうであれ、それが良くても悪くても、自分が納得出来たならそれが最善の選択だ。
少なくとも俺はずっとそうやって生きてきた。

豆腐メンタル何とかならねぇかな、と思いながら千年が過ぎている訳で。
言い訳ばかり上手くなっていく現実に、平行線を辿る。

労わるようなシュガーレス。
夕焼けみたいだ、と言うフレーズが嬉しくて上手く返せなかった。

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28 :Arthur Kirkland
12/12-18:10

  
【ゆる募】何か良い感じのタイトル



いや、ノリと勢いだったんだ。
この本を手に取った時、粗末なスピーカーから流れていたのがワルツだった。三拍子、そう有名でもない響き。
特に理由もなく背表紙に記したせいで、ずっと違和感がある。馴染むまで待つべきなのか、或いは。

前の日記の最後辺り。早くサヨナラをする為に決めたタイトルだと綴った。なら、今は?
相変わらず完走させる気はないが、それなりに書き綴りたいとは思っている。そうだな、前回は10万文字に少し足りなかった。今回はそれを超える事を目標にしようか。
そう言いながら懐かしい暖炉に放り込むかもしれない。うそつきだからな、その言葉だけは嘘じゃないって言ったら、信じて貰えるだろうか。信じたところで何が生まれる訳でもないけど。


戯言は上にいる間に限る。

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27 :Arthur Kirkland
12/12-15:10

  
格式張った場所は苦手だと言うガルは、それでも美味い物が食べられるならと、俺に付き合って出掛けてくれる。
お前、予約がいるような店は絶対嫌だって言ってたのになぁ…時の流れを感じるぜ。
だが今年の冬は楽しめそうだ。なぁ、予定入れようぜ、芋野郎の所でスキーなんてどうだ。それともクリスマスマーケットか?
予定を詰め込んだ所で、予定とは違う行動をし始めるのが俺達の日常だから、何を決めたって意味がない事位分かってるんだけどな。
まず待ち合わせの時点でガルが時間を守ったのはここ数十年の内で数えても両手の指で足りる。
おかげで最近は俺がひとりで過ごすタウンハウスで適当に待つ事が増えた。前のように数時間の待ち惚けを食らう事もなく、割と平和に過ごしている。
歩み寄りって凄いな、と思う。あと二百年位経ったら、もしかしたら俺に体力がついてタフなお前の隣を走っているかもしれないな。

チープなイルミネーションが見たい。豪奢で壮大なやつは観客も多いから。
寒いなって笑いながら、缶のドリンクでも抱えていようぜ。今の俺達には、それが許されている。

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26 :Arthur Kirkland
12/12-13:07

  
水面を覗き込んで揺らぐ世界に身を任せていたい。
知ってるか、これ。俺らにとっては鏡だったんだぜ。若い奴等は知らないだろうけど。

現実味のない昔話を生きた俺達が、例えばあの頃に放り込まれたとして、上手く生きていけるかと言えば答えはNoだ。
この体はあまりにも綺麗に出来すぎている。
順応はするだろう、だけど体が覚えている事以外を即座に成し遂げるのは不可能だ。
何せ俺達は、順応性に高い。車での移動に慣れた足が馬に跨るには多少の時間を要する。

そう、例えば、だ。
今の知識を持って過去に戻ったところで、思い通りに進む事が出来るはずもないんだよ。
だから、なぁ、そこのクソ髭。お前はそれで良い。

特別になりたいだけで、当たり前になりたくないと言うお前と
当たり前になりたいだけで、特別になりたくないと言う俺は、すれ違うだけすれ違って何処へ行くんだろう。
なぁ、俺はお前のヒーローにはなれないけど、お前の頭の中にはいるよ。
呼んだって駆け付けないし、助けるだけの技術も実力も気力もない。でもただそこに居る事は出来るから。
まぁ、ぶん殴る位の事はしてやる。お前の目が覚めるように、俺がいる事に気付くように。
決してお前のものにはならないが、それでも腐れ縁らしく、笑ってやるよ。

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