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┗さよならのワルツ(138-142/142)

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142 :Arthur
02/19-18:10

何もかもが懐かしかった。
懐かしいと思えることに驚いた。
たったそれだけで瞬きの瞬間が愛おしい思い出になり、束の間の休息が焦げては溶けて行く。

未来を欲しがらなかった俺たちは、あの時に重ねた時計が全てだったし、狭いワンルームが唯一の世界だった。
それでも記憶は未だ愛おしいと泣く。
俺の両目を潰したあの唇を、俺の手足を縛りつけたあの指先を、俺の喉を引き裂いたあのてのひらを、今でも優しいと笑っているのだから、救いようがなかった。

出来れば来世では見知らぬ他人でいたい、なんて。
来世なんて望めない身体で、叫んでいる。

今日が過去になったって、お前は笑っているんだろうな。

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141 :Arthur
03/01-15:49

……あれから、どの位経った?今は2023年の春、年単位で時間が経過した訳か。この身体には瞬き程度の秒針も、ため息と共に飲み干して。

さて、俺はと言えば。
今は何だかんだでアルフレッドと日々を過ごしている。マンチェス夕ーの別邸にアルフレッドが転がり込んできて、同じベッドで眠るようになって暫く。息の整え方を覚え、深呼吸にも慣れてきたことだけは成長したように思うが。
アルフレッド曰く俺はチョロくて甘いようで、日々溶かすかのごとく甘やかしてしまっている自覚は、まぁ、なくもないと言うやつだ。ただ俺も甘えている覚えがあるし、お互い様と言うものだろう。
ティーカップが増え、洗濯物が増え、夕食に並ぶ食器が増えたことに愛おしさを感じこそすれ、疲れがないのが幸いだ。(余談だがキッチンは基本的にアルフレッドの領域になっていて、我が家だったはずのキッチンで俺は既に物の場所が分からない)
アルフレッドは毎日俺の世話を焼いてくれている。俺の我儘で共に過ごす時間を多めにして貰っているが、文句ひとつ言わずに傍で支えてくれていて感謝しかない。

さて、ここにどれだけの奴が残っているか分からないが近況報告はこの位にしてだな。
また暫く置いておくか。数年後にでも読み返して、笑えるように。


#アルフレッドへ。
#これを見ても見なかったことにするように。今日も出来るだけ早く帰るよ。

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140 :Arthur
09/18-23:28

成程、つまりそう言う事か。
それはそれで、世界の終わりを見届けたのかもしれない。

ここに綴るのも最後になるかもしれないな。
ラスト・ワルツ、悪くないだろう?置いてけぼりの感情は、めでたしめでたしで終わらせておけば良い。昔話ってのは、そう言うもんだ。

近況を綴るとしたら、ガルとは相変わらずつるんでいるし、数年ぶりに人に恋をしてみたが呆気なく終わったし、何だかんだで友人達と仲良くやっている。と、思う。
ポストは……まぁ、暫くは開けたままにしておく。



いつかまた、ここを開く時があれば……そうだな、古ぼけた表紙の埃を払ってから温かい紅茶を淹れよう。振る舞う相手はいなくとも。
懐古主義には丁度良い本でな。捨てられないんだ。それも含めて、俺だから。

#20200918

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139 :Arthur
09/18-23:27

一応、余白を残しておく。

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138 :Arthur
03/13-16:50

約九年、と言う事実に慄いていた確保。



>未だに「極彩色」と呼ばれているむず痒さと懐かしさと当たり前の日々。
この日記の前の日記のタイトルだった。未だにその名で呼んでくれる友人がいる。嬉しいやら、擽ったいやら。あぁ、俺は生きていたんだなぁ、と思う。ただそれだけで、息が出来る気がした。

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