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┗さよならのワルツ(137-141/141)

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141 :Arthur
03/01-15:49

……あれから、どの位経った?今は2023年の春、年単位で時間が経過した訳か。この身体には瞬き程度の秒針も、ため息と共に飲み干して。

さて、俺はと言えば。
今は何だかんだでアルフレッドと日々を過ごしている。マンチェス夕ーの別邸にアルフレッドが転がり込んできて、同じベッドで眠るようになって暫く。息の整え方を覚え、深呼吸にも慣れてきたことだけは成長したように思うが。
アルフレッド曰く俺はチョロくて甘いようで、日々溶かすかのごとく甘やかしてしまっている自覚は、まぁ、なくもないと言うやつだ。ただ俺も甘えている覚えがあるし、お互い様と言うものだろう。
ティーカップが増え、洗濯物が増え、夕食に並ぶ食器が増えたことに愛おしさを感じこそすれ、疲れがないのが幸いだ。(余談だがキッチンは基本的にアルフレッドの領域になっていて、我が家だったはずのキッチンで俺は既に物の場所が分からない)
アルフレッドは毎日俺の世話を焼いてくれている。俺の我儘で共に過ごす時間を多めにして貰っているが、文句ひとつ言わずに傍で支えてくれていて感謝しかない。

さて、ここにどれだけの奴が残っているか分からないが近況報告はこの位にしてだな。
また暫く置いておくか。数年後にでも読み返して、笑えるように。


#アルフレッドへ。
#これを見ても見なかったことにするように。今日も出来るだけ早く帰るよ。

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140 :Arthur
09/18-23:28

成程、つまりそう言う事か。
それはそれで、世界の終わりを見届けたのかもしれない。

ここに綴るのも最後になるかもしれないな。
ラスト・ワルツ、悪くないだろう?置いてけぼりの感情は、めでたしめでたしで終わらせておけば良い。昔話ってのは、そう言うもんだ。

近況を綴るとしたら、ガルとは相変わらずつるんでいるし、数年ぶりに人に恋をしてみたが呆気なく終わったし、何だかんだで友人達と仲良くやっている。と、思う。
ポストは……まぁ、暫くは開けたままにしておく。



いつかまた、ここを開く時があれば……そうだな、古ぼけた表紙の埃を払ってから温かい紅茶を淹れよう。振る舞う相手はいなくとも。
懐古主義には丁度良い本でな。捨てられないんだ。それも含めて、俺だから。

#20200918

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139 :Arthur
09/18-23:27

一応、余白を残しておく。

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138 :Arthur
03/13-16:50

約九年、と言う事実に慄いていた確保。



>未だに「極彩色」と呼ばれているむず痒さと懐かしさと当たり前の日々。
この日記の前の日記のタイトルだった。未だにその名で呼んでくれる友人がいる。嬉しいやら、擽ったいやら。あぁ、俺は生きていたんだなぁ、と思う。ただそれだけで、息が出来る気がした。

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137 :Arthur
01/26-00:49

久しぶりに髭とゆっくり過ごしていた。
楽しい、と言う感覚は特にない。ただただ幼い頃からの延長線上を淡々と過ごしていただけだ。それが酷く優しく感じる時がある。決して常々そう思っている訳ではなく。
俺の家にふらりと現れたあいつに「何を飲む?」と聞いた時に返って来る言葉が、飲み物の種類ではなく茶葉の種類だった時だとか、そう言う瞬間が当たり前に流れていくのが日常と言うんだろう。
勿論俺の家には紅茶以外の飲み物だってある。来客用にコーヒーだってあるし、たまにはコーディアルを割って飲みたい時もあるからサイダーだってある。あいつが望めば紅茶以外の飲み物が選択肢に存在していたのに。でも俺が茶葉をいくつも溜め込んでいるのを知っているし、言えば出てくるのも知っているあいつは、棚の中を見る事もなく迷わずに紅茶の茶葉の中から選ぶ。嫌味でも何でもなく、ただ当たり前かのように。それでも決してお前の淹れる紅茶が好きだ、とは言わない。そう言うところは、嫌いじゃなかった。

今から客間を整えるのも面倒だと言えばソファーで寝る、と毛布だけを引っ張っていった髭の足はソファーからはみ出していた。仕方なくテディベアをベッドから椅子へ移して一緒に寝転がった狭いシーツの上で色気も何もなく瞼が落ちるまでぽつりぽつりと零す言葉はキャッチボールどころかドッヂボールで。
目が覚めた時に誰かの温もりがあるのは何年ぶりだろうな、と迎えた朝は相変わらず冷えた冬の気温だったけれど。まだ眠っていたいとぐずった腕を引き寄せて、もう朝だよ坊ちゃん、と背を撫でる手のひらは昔から何も変わっちゃいなかった。
あぁ、それでも。もしかしたらこう言う未来もあったのかもしれないな、と。思えるくらいには、俺の脳みそも冬眠しかかっていた。残念なくらいに。

船を使わずとも電車を使えば渡ってしまえる海の距離はこんなに近くなったのに。見送るためにステアリングを握る右手が、裸足で丘を駆け上がったあの頃には戻れないと叫んでいた。
なぁ、フランシス。決して恋にならないお前と、ぐるりと廻る秒針を眺めるのは嫌いじゃないんだ。知っているだろう?

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