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┗15.Schatulle【半完/R20/閲覧注意】(250-254/254)
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250 :
リヴァイ
2019/04/01(月) 18:45
その場にいた全員の気持ちがひとつになった
朝からハンジの機嫌がすこぶる悪い。
昨夜、どこぞの宴席で
どこぞのクソ野郎と隣り合わせになった際
余程、腹に据えかねることがあったらしい。
軍議に向かうためエルヴィンの後に続きながら
むくれたような面で愚痴を零している。
「彼とはその日初めて顔を合わせたんだ。
…いや、私もこんな性格だから
初対面で仲良くすることに、抵抗はないよ」
「でもさ、フレンドリーなのと
失礼なのは違うだろ!?」
昂ぶりのあまり大きく拳を振り上げたハンジが
叫んだ言葉に、思わず足を止め隣から凝視する。
背後では、エルヴィンが口元を歪ませ笑いを噛み
モブリットは困り顔で目線を揺らしていた。
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251 :
エレン・イェーガー
2019/11/28(木) 16:09
久し振りに
気付けば、前にこの手帳に言葉を残してから
随分と間が空いていた。
暑かった記憶が無いくらい
任務に追われ続けた夏をどうにか乗りきり
漸く自分の時間が持てるようになったので、
貴女と過ごした大切で、愉快で、愛おしい時間を
またここに書き綴ろう。
寂しい想いをさせてしまったお詫びには
到底足りないだろうけれど、
秋の夜長に時間を持て余しがちな貴女の
ささやかな楽しみになれば、と願って。
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252 :
リヴァイ
2019/12/04(水) 21:28
聞き捨てならなかった
ハンジが、以前から飼育していたという
生き物を容れ物ごと抱えてやってきた。
ある夜、迷い込んできたところを捕獲し
周囲には隠して自室で育てていたらしい。
「顔はね、とてもカワイイ」
顔を上気させ前のめりになって
その生物の愛らしさを力説しているが
コイツにかかれば大抵の生き物――それこそ
巨人ですら「カワイイ」部類に入るようだから
理解に苦しむ。
透明な硝子ケースの底へ視線を送ると、
まだ若そうな爬虫類が尾をくねらせていた。
全身が暗褐色の細かい鱗で覆われており、
小さな四肢の先には趾下薄板が見られる。
ヤモリか。
「ただ、餌のほうも大変なんだよね。そっちも飼
わなきゃいけないからさ。ワームはあまり好まな
くて、小さいサイズのコオロギをよく食べたな。
冷凍物や乾燥物は味がイマイチらしいんだ。やっ
ぱり、人間の食と同じだね!」
「……そうか」
生々し過ぎる爬虫類の「食」語りに
周りの人間は一様に顔を引きつらせているが
ハンジは気にも留めず、楽しげに続ける。
「餌用の小さいGもあるんだけど
一度、脱走されたからなー」
――――オイオイオイ、待て待て。
兵舎にGを持ち込んだ上、
そいつを逃がした、だと……?
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253 :
モブリット・バーナー
2019/12/06(金) 19:09
聞き捨てならなかった2
ヤモリの生餌(G)を逃がしてしまったことを
悔しげに語るハンジ分隊長の傍らで、
リヴァイ兵長の表情が明らかに強張った。
兵舎にあの虫が解き放たれたとあっては
潔癖症な兵長にとっては一大事だろう。
「……分隊長」
控えめに口をさし挟み、目配せをする。
…この話は、そろそろ切り上げてください。
そんな俺の思いが届いたのか
分隊長は「大丈夫だ」というように微笑んだ。
「あぁ、ちゃんと(餌を)挟む棒があるから」
いや、そんなことを心配しているわけでは
ありません。
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254 :
ハンジ・ゾエ
2019/12/08(日) 18:49
見逃さなかった
あまりにも魅力的すぎるヤモリについて
リヴァイへと熱弁していた時
側に居たモブリットが控え目に声を掛けてきた。
余計な口を挟むタイプではない彼が
そうしたという事は
何か重要な事を含んでいるのだろうか…。
あぁ! そうか。モブリットを含め皆にも、餌を
どんな風にあげているのか説明すべきだったね。
……あれ?変だな。
リヴァイもモブリットも表情が硬いぞ。
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