「眠い時は…無理をしては駄目です」寝台に寝そべり、頭を悩ませる俺を窘める掌。触れることが叶うと知るまでは過剰なほどに距離を置き、俺が伸ばした手に怯えすらしていたお前が、今やなんの躊躇いもなく俺に触れようとその手を伸ばす。お前はもう無意識にそうしているのかもしれないが……俺はその瞬間の度、未だ喜びを覚えてしまう。
よくよく考えてもみろ。この俺の頭頂に許可なく掌を乗せることを許されている者が、オクヘイマに、いや、この世の隅々まで見渡してもお前以外に誰がいるかと。己の特権に無頓着になるな、キャストリス。お前にとって俺が特別であるのと同様に、俺にとってのお前もそうなのだ。
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# 贈り物オレンジ色のキメラと、紫色のキメラ…のぬいぐるみが寝室に並ぶようになった。手作りが良い、とねだった甲斐がある。赤い模様と蝶の刺繍が丁寧に施されており、誰が見ても誰を模したか一目瞭然なところが特に良い。天蓋の中に入れる訳にはいかないが、今日は奴らの足元に座り心地好いクッションを敷いてやった。
…そろそろ誰かに自慢するか。
部屋に戻ったら、クッションの上に二匹がいました。少し嬉しそうに見えます。…モーディス様にとって、私が特別であればそれがとても嬉しい。あなたがそれだけ好きなので、…もっと教えて欲しいというのは欲張りでしょうか。Mydei