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スレ一覧
┗119.龍兎相和(96-100/300)

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100 :丹楓(崩壊:スターレイル)
2024/09/06(金) 20:08

白珠が曜青へ帰郷して三日目。

黄鐘システムによる定時連絡が日に数回あるばかりで、それも公の伝信となれば素っ気なく、業務的な言葉が並ぶばかりである。白珠は早くに起きた日は時折簡単な絵手紙を残してくれていたが、その筆跡すら今は恋しい。龍涎香の香りも、最早寝所から随分薄まった。

茶よりも酒を多く飲む日はそう多くないが、昨晩は些か飲み過ぎた。酔いが回った末、とうとう余の思慕は横恋慕だとばかり思い込んでいた事を応星に白状してしまった。

…記憶を消す術ばかりは余にも叶わぬ。


食事も随分と味気なく思う。
白珠の存在ひとつで、こうも世界の彩りが変わるものかと思い知る。……まるで短命種のような恋をしている。

白珠の名残を求めて碌に片付けもしなかった室内を彷徨いていれば、不意に化粧台の上の波月真珠の粉に気付く。白珠の愛用品だが封は開いておらず、荷造りの際に詰め込んでいるのも見ていたので不思議に思い、しまい忘れかと引き出しを開いたところ──白珠の筆跡で文を見付けた。



………悪戯狐め。もう少し分かり易く置けばいいものを…余の反応で遊んでいるのか。

………。



飲月君より曜青への伝信にて個人的な追記:
「寤寐思服」



Dan Feng


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99 :白珠の手記(崩壊:スターレイル)
2024/09/06(金) 01:39


突如通信が入ったかと思えば犯人を想像するには容易くて相変わらず思い切ったことをする子なのに脱力をしつつ、本当に早く帰らなければいけないらしい。ただあの様子だと贈り物にはまだ気づいていないのか、案外寂しがりやだし、応星の元に入り浸っているらしい。何とか予定は恙無く進行しているし、これなら一日くらい日程を縮められそうな気がする。鬼灯も今日取りに行ったし。

あたしの生まれた日に植えられた鬼灯。我が家では大体子供が産まれたら鬼灯を植える習わしがあり、あたしも例に漏れず植えて貰っていた。これを加工して二対の提灯を作り、鬼灯染めの糸で刺繍を施した贈り物をするのが嫁入り前の準備──ではあるのだけれど、刺繍はやっぱり時間がかかる。嫁に行く気もなかったからちゃんと練習をして来なかったあたしも悪いのだとは思う。それはそれとして適材適所、向き不向きもあるけれど。丹楓がくれた手製の紐飾りはよく出来ていた。もしかしてあたしより向いている可能性があるのではなんて思ったりもするけど、それを羨んだところで仕方ない。丹楓の用意した土産に両親は腰を抜かしていたし、親戚含めて大騒ぎになった。そして話題はどうやって誑かしたのか、何処が好きなのかと再三と聞かれた。まあそれもそうだと思う。曜青の狐族が羅浮の龍尊に嫁入りだなんて前代未聞で、その結果あたしは悪女だのなんだの言われてしまっているわけだけれど。

誑かされたのはあたしの方だと言うのに世論は好き勝手に言ったものだと思う。目的の鬼灯は星槎に乗せて貰った。勿論あたしの乗らない星槎に。万が一落ちたとしてもあたしの星槎だけだろうし、何となく帰りは危ない気がした。こんなこと書くとやめろと周りに止められそうだけど星槎殺しの不名誉な異名を持つのだから、やっぱり今回もきっちり仕留めてしまう気がする。思えば初めて丹楓と出会ったときも曜青から羅浮に向かって、鱗淵境に見事に墜落した。そのときに助けてくれたのが丹楓だった。あのときあたしはとうとう死んでしまったのか、帝弓に見放された錯覚を抱いたけれど。まだあたしの命は続いていて、そして我ながらなんというか単純なもので一目惚れをした。青く澄んだ海よりも深い翠の瞳があまりに綺麗で、それからずっと構い倒したように思う。何かあればお酒をねだって、戦場に呼んでときには雨を降らせて貰ったり、意外と頼めばなんでも聞いてくれた。怪我をして戻ればすぐに診察もしてくれたし。そんな彼に少しずつ惹かれて、どうしようもなくなった。夢にするつもりで彼の懐に潜り込んで、それからずっと囚われた気がする。

……あと曜青ですることは将軍への謁見と土産選びだけ。それさえ済めば羅浮に戻っても問題ない。早ければ明後日の早朝には発つことが出来るだろうか。そういえば両親に聞かれてすっかり忘れていたけど花嫁衣装はどうするのだろう、またそれも打ち合わせないといけないかもしれない。着々と準備が進む度、婚儀が近付くのにどうしても落ち着かなくなってしまう。

そういえばカンパニーが新しく曜青に商店を作ったらしい。折角ならそこで丹楓への土産を選ぶのも良いかもしれない。そんなものより早く帰って来いなんていいそうだけど。



…………
…………

Bai Heng


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98 :黄鐘システム共鳴記録
2024/09/05(木) 22:21


星暦7XXX年九月
仙舟「羅浮」より「曜青」へ伝信:羅浮持明龍尊「飲月君」が百冶私宅に入り浸り、その鍛治仕事にいたく悪影響を及ぼしている。武器精製、及び防具の手入れ、研磨は常に滞りなく行われるべきであり、それらが停滞することそれ即ち雲騎軍の損失となり得る。
原因は婚約者たる白珠の不在であることは明白であり、旅程を早めてでもなるべく早急に羅浮へと帰還するよう要請する。

舵取の備考:目を話した隙に何時の間にか送られていたものであり、天舶司の公式な伝信ではないことに留意されたし。今後は黄鐘システムの管理を徹底し、部外者に勝手に触られる事のないように。



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97 :白珠の手記(崩壊:スターレイル)
2024/09/05(木) 00:59



定刻通り曜青に到着したからその旨を連絡した。いつ以来だろうか、此処に帰って来るのは。町並みは年々変わって行ってる気がする。子供の頃とは違うその景色でもなんとなく空気のせいか、ああ帰って来たって感じがするから不思議だ。もっとも羅浮に帰りたい気持ちも存在するから何とも形容し難い部分ではあるけれど、ひとまず託された土産を天風君に謁見をすれば、どうやって射止めたのか、土産の多さにも大層笑っていたけれど倍で返すと本気か嘘かわからないことを仰るので出来れば後者であることを願うばかりだった。

謁見を終えて、実家に戻ると家族に詰め寄られた。どうやら曜青にまであたしが飲月君を誑かした(そう書くと語弊はあるのだけど)話は広まっているらしい。曜青ではなんとあたしは悪女で飲月君を好きに遣って豪遊三昧、戦場でも矢面に立たせて後ろで侍女に団扇を扇がせて何もしていないという、事実と虚構を織り交ぜたそれは「稀代の悪女・白珠」として講談師が面白可笑しく語っているらしい。ちょっと聞いてみたい。それに丹楓の耳に入ったらどんな顔をするのか少し見てみたい気がした。
謁見が長引いたから流石に鬼灯を取りに行くのは難しいので明日にすることになり、久しぶりに自分の部屋に戻った。定期的に掃除をしてくれているのだろうか、家を出た頃と変わらないそこはなんとも思い出深い反面、あの頃の気持ちを思い出してしまう。ずっと何処か遠くへ行きたかった。ひいおばあちゃんの話を子供の頃から聞いていたせいか、あたしは大人になったら遠くへ行くんだと思って、そうして星槎に乗った。それによって気の置けない友人を得て、伴侶を見つけたのだから僥倖だろう。久しぶりに家で食べる夕餉は美味しかったけれど、なんとなく誰かさんの顔が浮かんで落ち着かなかった。

定刻、約束した時間に黄鐘を鳴らす。
その瞬間、「ああ、やっぱり早く帰りたい」と思ってしまった。


…………
…………

Bai Heng


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96 :丹恒(崩壊:スターレイル)
2024/09/05(木) 00:35

三月と蓮根餅を食す。
偶然逢った飛霄将軍に理由もなく押し付けられてしまったそれを持ち帰り、本来ならば寝る前の間食は避けたかったが…仕方が無いので一緒に食べることにした。

三月はいつも(好物であれば)とても美味しそうに、幸せそうに満面の笑みで食事をするのであまり変わらないのではと思ったが、笑い続けながら食べる三月は可愛かったな。

どんな形であれ、その笑顔が咲けば愛おしく感じる。

全然知らずに食べたからびっくりした…!でも丹恒も笑ってて楽しかったね、また今度一緒に食べたいし、姫子やヨウおじちゃん、パムにも食べさせたいな〜。




# 閑話休題

「とうとうゴミ箱と友達になったんだ」

………穹の奇行、奇言は今更珍しくもないが、流石に聞き間違いだろうと思った。が、確かにこう言ったようだ。態々一言一句違わず繰り返す彼に、それ以上は語らなくとも良いという意味でもって「そうか」とだけ返した。

「そうそう、ウチも友達になったんだよ〜。」

………、…穹。三月におかしなことを吹き込むのは止めてくれ。三月も…一体どうした。普段はきちんと止める側だろう、とうとう毒されたのか?
一旦は信じる、と言ったが……。

頼むから、二人揃っておかしなことを言うのはよせ。

ほんとだってば〜!丹恒全然信じてないよね…!?ちゃんとこれも思い出になったもん!
なの、仕方ない。丹恒は俺たちと違ってピュアな心が足りないからマイリトルゴミーが見えないんだ、きっと。可哀想に。


Dan Heng


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