深夜3時の癒し
平日の当直と勤務時間は変わらないというのに、休日の日当直をやけに長く感じるのはどうしてだろうか。一日中救急対応だからか?確かにきちんとルーティンをこなす平日の日勤帯とは違うか。今夜は最後に大掛かりな症例──高齢患者の消化管穿孔──に当たったので一通りの処置を終えればもうこんな時間だ。夕飯を食べようにも、院内の食堂はもちろん、コンビニもとうの昔に閉店している。院内のコンビニは夜には閉まるという話をしてやったとき、アレは意外そうな顔をしながらも、たしかに誰も使わねぇもんな、と言っていたが冗談ではない。患者が眠っていても職員は働いている。利用客がいないとも限らないが……さすがに採算を度外視しろとまではいえないからな。その代わりとして自販機に軽食や菓子の類が用意されているのはありがたいが、なにせ社畜の巣窟たる医局にほど近い自販機は引く手あまたで、おそらくこの時間ともなればカップ麺が残っていれば運が良いと思える始末だろう。
……だが、今日の私には秘策、もとい秘密兵器がある。かねてより日曜は日当直の勤務だという話をしていた私に、健気な恋人が弁当を作ってやろうか、と少し控えめに提案してきた。なぜか少しばかり遠慮がちなのかは理解し難いがそれもアレの可愛げの一つではある。二つ返事で頷いて是非にとねだった。碌なものを口にできない仕事中に、彼の作ったものを食べられるというのは何よりの癒しになる。医局で席を隣にしている同僚曰く「メシと風呂以外に当直に癒しがあるものか」とのこと。睡眠や休息がまともに取れない以上、私もその意見には概ね同意する。かくしてお手製の弁当を2つ手にして今日の勤務に臨んだわけだった。
昼の分と夜の分。別に2つねだったからといって中身を変える必要はないと言ったのだが、折角だから、といった彼は少し楽しげではあった。たまに作ってくれとねだったり向こうから申し出があって弁当を持たせてもらうことがあるが、まるで絵に描いたような完璧な彩りとボリュームの、とても理想的な弁当でいつも私の舌を楽しませてくれる。肉を多めに頼む、と甘えているとはいはい、と面倒くさそうにしながら必ず最低でも2品は肉のおかずが入っている。そういうところが堪らなく健気で愛おしい。そして、月並みな話だが、愛されているとしみじみ感じる。昨晩はつまみ食い禁止とキッチンから追い出されたので中身を知らない夜の弁当を、しまっていた冷蔵庫から取り出してレンジにかける。700wで1分半。
さあ、今夜のおかずはなんだろうか?
……だが、今日の私には秘策、もとい秘密兵器がある。かねてより日曜は日当直の勤務だという話をしていた私に、健気な恋人が弁当を作ってやろうか、と少し控えめに提案してきた。なぜか少しばかり遠慮がちなのかは理解し難いがそれもアレの可愛げの一つではある。二つ返事で頷いて是非にとねだった。碌なものを口にできない仕事中に、彼の作ったものを食べられるというのは何よりの癒しになる。医局で席を隣にしている同僚曰く「メシと風呂以外に当直に癒しがあるものか」とのこと。睡眠や休息がまともに取れない以上、私もその意見には概ね同意する。かくしてお手製の弁当を2つ手にして今日の勤務に臨んだわけだった。
昼の分と夜の分。別に2つねだったからといって中身を変える必要はないと言ったのだが、折角だから、といった彼は少し楽しげではあった。たまに作ってくれとねだったり向こうから申し出があって弁当を持たせてもらうことがあるが、まるで絵に描いたような完璧な彩りとボリュームの、とても理想的な弁当でいつも私の舌を楽しませてくれる。肉を多めに頼む、と甘えているとはいはい、と面倒くさそうにしながら必ず最低でも2品は肉のおかずが入っている。そういうところが堪らなく健気で愛おしい。そして、月並みな話だが、愛されているとしみじみ感じる。昨晩はつまみ食い禁止とキッチンから追い出されたので中身を知らない夜の弁当を、しまっていた冷蔵庫から取り出してレンジにかける。700wで1分半。
さあ、今夜のおかずはなんだろうか?