焼いた夏野菜も添えて
食事を終えて救外が落ち着いているのを確認してシャワーを浴び、おそらく4時頃には床についたような気がする。できれば朝まで起こされたくないと思ったが明け方にハリーコール。手術した患者かとも思ったが別の病棟の脳外の患者で、挿管してICUに入れたあたりで主治科が来たので引き継いだ。ついでに昨日の患者の様子を見たがバイタルは落ち着いているようだった。このまま経過が順調であることを祈るよりない。二度寝するには目が覚めすぎたのでコーヒーでも飲むかと医局に戻ろうとしたところでPHSが鳴り、交通外傷の搬送があると聞かされて救外へ。情報収集しながら各科へ手配をし、搬送されてきた患者の診察を済ませ、患者を整形へ引き継いだあたりで翌日の日勤へ引き継ぎの時間となった。同期の整形に最後トロッカーだけ入れてくれと言われたが断固拒否。今日の外科日直が専門だからそっちに頼めと突っぱねて終いにした。とにかく眠かった。眠かったが入院患者の様子を見ないわけにもいかないので病棟へ行き、看護師から報告を受け、一通り診察を終えて薬と指示を出した。顔なじみの看護師が昨日の受付状況を見ながら、先生やっぱり持ってるね〜と呑気に言ってくる。たまたまだ、と言いたかったが救外の看護師が私のことを地獄の招き猫と呼んでいるらしいので否定しづらかった。
諸々が終わったのが11時頃だったか。早く帰りたかった。が、それ以上に眠かった。ここのところ仕事のあるなしに関わらず夜は彼とまぐわっていたので、その影響がモロに出ているのは明らかではあるが…。とりあえずコーヒーでも飲んでさっさと帰ろうと医局のコーヒーメーカーの電源を入れ、そのままうっかり柔らかめのソファーに座ったのが間違いだった。
>村雨〜さっきからめちゃくちゃスマホなってるよ〜
同期に揺り起こされてやっと目を覚ましたときには昼を回っていた。そういえば、昨日の夜に明日は昼前には帰ると連絡を入れていたのだった。それから全く返事がないので心配したのだろう恋人からメッセージと着信。ああ、悪いことをしたな。寝落ちていたことを謝罪と、今から帰る旨を伝えると迎えに来るという。心配しなくてもこの状態で運転はしないし、適当にタクシーを捕まえて帰るというのに。
迎えに来んの?見たい!とうるさい同期をあしらい、途中コンビニで買ったホットスナックを食べてから裏口の職員通用口から出る。渡り廊下を抜けたあたり、外勤者用の駐車場に何故か見慣れた車がある。あなた、どうしてそこに?
>警備員さんに迎えだって言ったら、ここで待ってていいって
顔見知りの警備員がいたらしい。彼が迎えに来るのも一度や二度ではないのは確かだが……こんなに早く誑し込めるものだろうか?普通一般人をこんなところに案内したりしないと思うのだが。だが、今日に限っては助かった。ただでさえ疲労困憊なところにこの灼熱は頭が痛い。一刻も早く涼しい部屋で柔らかい布団に埋もれて眠りたかった。できれば可愛い恋人も添えて。
助手席に乗り込めば革の滑らかさにクタクタの体を受け止められ、シートベルトを締めるより先に瞼が落ちそうだった。おつかれさん、とおそらく唇で頭に触れたのを感じたのが最後、それからどうやってベッドにたどり着いたのか記憶がない。
……そして起きたら夜だった。いい加減起こさないとマズそうだと思ったらしい恋人が肩を揺するので目を覚ますと、彼の家の彼の寝室のベッドだった。運んでくれたのか。ああそういえば、弁当、とても美味しかった。ありがとう。礼を言えば嬉しそうに頬をほころばせるのがあまりにも可愛らしいので、抱き寄せ……ようとしたところで、昼食も夕食も食べそこねた私の可哀想な腹が怪獣の唸り声のような音を立て、恋人がゲラゲラと笑い出したので雰囲気が台無しになった。彼の服に残った匂いから今夜の献立は判明している。私を喜ばせるために焼いたであろうステーキが冷める前に、さっさといただくこととしよう。
諸々が終わったのが11時頃だったか。早く帰りたかった。が、それ以上に眠かった。ここのところ仕事のあるなしに関わらず夜は彼とまぐわっていたので、その影響がモロに出ているのは明らかではあるが…。とりあえずコーヒーでも飲んでさっさと帰ろうと医局のコーヒーメーカーの電源を入れ、そのままうっかり柔らかめのソファーに座ったのが間違いだった。
>村雨〜さっきからめちゃくちゃスマホなってるよ〜
同期に揺り起こされてやっと目を覚ましたときには昼を回っていた。そういえば、昨日の夜に明日は昼前には帰ると連絡を入れていたのだった。それから全く返事がないので心配したのだろう恋人からメッセージと着信。ああ、悪いことをしたな。寝落ちていたことを謝罪と、今から帰る旨を伝えると迎えに来るという。心配しなくてもこの状態で運転はしないし、適当にタクシーを捕まえて帰るというのに。
迎えに来んの?見たい!とうるさい同期をあしらい、途中コンビニで買ったホットスナックを食べてから裏口の職員通用口から出る。渡り廊下を抜けたあたり、外勤者用の駐車場に何故か見慣れた車がある。あなた、どうしてそこに?
>警備員さんに迎えだって言ったら、ここで待ってていいって
顔見知りの警備員がいたらしい。彼が迎えに来るのも一度や二度ではないのは確かだが……こんなに早く誑し込めるものだろうか?普通一般人をこんなところに案内したりしないと思うのだが。だが、今日に限っては助かった。ただでさえ疲労困憊なところにこの灼熱は頭が痛い。一刻も早く涼しい部屋で柔らかい布団に埋もれて眠りたかった。できれば可愛い恋人も添えて。
助手席に乗り込めば革の滑らかさにクタクタの体を受け止められ、シートベルトを締めるより先に瞼が落ちそうだった。おつかれさん、とおそらく唇で頭に触れたのを感じたのが最後、それからどうやってベッドにたどり着いたのか記憶がない。
……そして起きたら夜だった。いい加減起こさないとマズそうだと思ったらしい恋人が肩を揺するので目を覚ますと、彼の家の彼の寝室のベッドだった。運んでくれたのか。ああそういえば、弁当、とても美味しかった。ありがとう。礼を言えば嬉しそうに頬をほころばせるのがあまりにも可愛らしいので、抱き寄せ……ようとしたところで、昼食も夕食も食べそこねた私の可哀想な腹が怪獣の唸り声のような音を立て、恋人がゲラゲラと笑い出したので雰囲気が台無しになった。彼の服に残った匂いから今夜の献立は判明している。私を喜ばせるために焼いたであろうステーキが冷める前に、さっさといただくこととしよう。