因果応報に委ねて翳す落首の花(凍結)

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46 :グリムジョー
2009/02/01（日）07:58:27

あー…眠ィ。
だが、楽しみの為なら仕方ねえと、気合いで布団から抜け出した。

実は俺、布団虫。

どいつもこいつも俺の幸せを願う。
手前勝手だぜ。
俺の幸せなんざ俺自身にすら分からねェのに。

取り敢えず続きは任務終了後だ。
あー…朝には弱ェのに、俺。

布団が恋しい！

任務の最中に嬉しい知らせが一つ、届いた。
一名、あの場所での生存者有り。

思わず「何で生きてンだ、テメー」と聞いちまったのは嫌だったからではなく、現状が把握出来なかったからの事。

戦いの最中に、第五十刃様に蹴りだされたんだと。
「テメーは生きて、あいつの傍に居てやれ」ってよォ…。

姿は小さくなっちまったが、立派な生存者であり、俺の命を賭してでも護る対象が一人戻って来た。
知ってンだぜ、第五十刃様。
テメェは俺の為と言いながら、この餓鬼の命を護りたかったって事をよ。
＿れてたってよォ。
……俺の事を甘いと言いながら、てめえも本当に甘い野郎だ。
お前の護ったあの餓鬼は、今ちゃんと俺の自宮でぐっすりお眠りしてるから。
ちゃんと心臓も動いてる。
安心しろ、テメエの代わりに俺が盾になる。
コイツは俺の手の届く範囲でなら護ってやる。
いつでも何処でも護ってやれるほど、俺は自分を過大評価しているワケじゃねえからな。
それに、コイツも弱い奴じゃねぇ。

取り敢えず、テメエの意志、確かに受け取ったぜ。
そんで、コイツの目が覚めたら…テメエの最期の綴りに書いてあった通りに「赤い飴玉」舐めさせて、あの場所の記憶は根こそぎ奪ってやるさ。
知ってる奴に言われる「初めまして」が一番キツイって事、手前勝手な第五十刃様は分かっちゃ居ねえンだろうな。
…バーカ。

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47 :グリムジョー
2009/02/03（火）22:49:30

俺の名に「様」なんて要らねーよ。
グリムジョー、それで良い。
構わねェ。
起きた餓鬼の口に無理矢理突っ込んだ飴玉は、存外効き目が早いらしい。

…まあ、其れを口にしてきた奴らを数名見てきたが例に漏れず、か。

グリムジョー。
そう呼ぶ事を許し、そう呼んでいたあの餓鬼は俺をグリムジョー様と呼ぶようになった。
嗚呼…なんか、腹立つ。
胸糞悪ィ。

久し振りに感じた疎外感。
突進して来たり、肩車せがんだり、無限追跡ごっこだか何だか知らねェ遊びに付き合わされたり…色々していた過去。
その記憶を共有する奴らはもう居ねぇ。

分かってる。
理解ってる。

それで良いんだ。
あの場所の記憶は、忘れた方がラクなんだよ。

テメエの好きな道を生きろよ、餓鬼。
明日、俺の自宮から蹴りだしてやる。
そっからがテメーの第一歩だ。

無理矢理喰わせて悪かったな。
だが、文句は全て第五十刃様に言ってやれ。
……、そうか、それすらも覚えてねぇンだったな。

仕方ねぇか。

俺は託された事をちゃんとやったぜ？
ネコちゃんなんざ呼ばねえで墓の中では俺の名を呼べ。

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48 :グリムジョー
2009/02/06（金）22:39:13

アレは好きじゃねえ、嫌いの部類に入る。

何が嫌いって、種ンところの妙な感覚。
――…あの食感。
赤い色は鮮やかで好きなんだがよ、周りは食えても中は食えねえ。
匙で取り分けて食う。
トマトってのは本当に食えたモンじゃねえ。

そのトマトってモンは似てるよな、命と心と脳味噌を持ち合わせてる奴等に。
今日、何となく食いながら思った。
簡単に噛める、齧り取れる。
外は皮も張っていて俺の好きな食感だ。
だが、…中はドロドロしてンだよ。
そういうところが、上記に上げたモンに似てるっつー話だ。
中身はドロドロ、心のある奴もいろんな意味でドロドロ。
器が大きいヤツに限って、ドロドロ。
小さいヤツは、対してドロドロしてる部分はそう意識するほどには、無ェ。

やっぱ似てやがる。
これは個人的に思ったこと。
異を唱える奴だって居るだろうよ、好む奴も居るだろう。

だが、俺は好かねえ。
ドロドロしてる部分には触れたくねえと舌が拒む。
だから対人も上手くいかねえンだ、って連中は笑うかもしれねえが、受け付けねえンだから仕方無ェだろ。
――あ…直ぐに握り潰せるって点でも命と心と脳味噌を持ってるモンに似てるよなァ。
強そうに見えて、脆い。

任務前につまんねー事考えてるなんざ知れたら、嫌味の一つでも吐かれんだろうが…考えちまったモンは仕方ねぇだろ。
今日の任務先で獲物に対するキーワードは「トマトは好きですか？」に決まりだな。

あー…だが、何故か温めたら食えるンだよ。
温かいトマトは美味ェ。
――あァ？味覚障害？
ンなモン、俺にとっては当たり前だ。

追記：トマト好きですか、は相手を混乱に陥れる効果があるらしい。
暢気に廊下の真ん中を歩いてたら、擦れ違う奴等に挨拶された。
だから聞いてやったんだ。
「おう、トマトは好きか？」
って挨拶がてらに聞いたらよ、現時点で三名、鳩が豆鉄砲くらったみてーな面してやがった。
答えは聞かずにそのまま歩いた俺の面、凄ェ玩具見つけたみたいな面してたと思うぜ。
面白ェ…面白ェ遊び見っけた!!
頸を刈るのが一番の遊びだと思ってたが、第二の遊び発見ってところか。
最初に言っておく、悪知恵と悪戯心だけは誰にも負けねえぜ、俺。
今日だけにしようかと思ったが、暫く聞いて回るか。
即答できる奴が居たなら或る意味で仲間だ。
…まァ、俺が何を考えての発言かは知らねェだろうがな。

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49 :グリムジョー
2009/02/11（水）00:54:35

本日はお日柄も良く、月が丸くてデカかった。
其れだけで嬉しくなって、昔を感じる決意を胸に中庭じゃねえ場所に姿を現してみた。

当然の如く、あの過去は戻らないし螺子を無理矢理回して戻す気も、何も無ェ。
あるのは懐旧の念、そしてその当時にあの場所で遣ってた馬鹿な俺を演じる事。
そうでもしねえと、手前の度量と技量、そんで手前自身というものに飲み込まれるところだった。
人を諭すだけが俺じゃなく、俺はまだまだ諭される立場なんだと脳味噌にも骨の髄にも刻み続けなけりゃならねェ。
そんだけだ。

――ハッ!!俺の馬鹿さ加減も中々衰えてねえだろ？
馬鹿担当の死神が私用で不在なモンだから俺の出番にもなったわけだが…流石に食いモン粗末に扱っちゃいけねえよな。
食い物に五月蝿え死神の女に知れたら、つうかその兄貴に知れたら謹慎処分モノだぜ。

取り敢えず報告。
本日会った同胞はトマトは嫌い、だと。

トマト好きな奴と出会いてぇ。
そいつはどんな思考をしてんのか…もしかしたら頸を刈りたくなる対象に入るほど気に入っちまうかもしれねえ。

まだ見ぬその存在に、憧れる。

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50 :グリムジョー
2009/02/11（水）01:08:19

明日…日付が変わったから今日か。

今から任務に出るとして浮上できんのは昼過ぎだな。

死神の女の兄貴に既にバレバレでよォ…明日は昼間から一人公然羞恥プレイの刑を言い渡された。
…謹慎処分の方がまだマシだったぜ、クソが。

仕方ねぇ…逆らったら俺の存在自体が危ぶまれる相手だから従うしか道がねえか。

明日はのんびりと、お天道様の光でも浴びてやろうじゃねえか。
目指せ、日光浴…光合成……俺は雑草か。

誰かに出会えりゃ、一人公然羞恥プレイは免れるのによォ…。
期待すれば損をするから、この思考は排除。

誰かに言われるまま出歩くのは面倒臭ェから嫌いだ。
昼間、俺の思考が出歩く側に向いてますようにと願いながら…今から短時間の任務。
ダチ公からチョコを貰いに行くだけだから、早く終わンだろうよ。
取り敢えず、眠ィ…

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