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┗2511.蒼紫-aoshi-(173-177/177)

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173 :檜佐木修兵
2011/11/03(木)17:44:11





輪廻の中に身を投じた一人として、その流れに乗る万物に靡く可能性を持つ。それも、善悪に関わらず意図して行われるもンもあれば、頑なに唯一と崇める存在に対して無意識に流れちまうもンもあるんだろう。

全てはその瞬間の繋ぎ会わせ

いつ、どの、なんて冠は所詮お飾りだ。残るのはその事実、だけ。二対の答えのどちらかを向いたという事実、だけ。明解だと笑うしかないのに、それを本心から頷けない思考の偏屈さは難解で笑えたもンじゃねぇなァ。


だが、語り手を変えれば誰かの心情が浮き出るもんでその姿は一人だけ。 自身で見出だせないのは歯痒い、だけどそれが現実だと思い知らされる。…なんだろうが変わらない、簡単に捕まらないその向きという感情は、俺の掌を、皮膚の上っ面をさらってはくれない。

嗚呼、そうか

>なら俺には一つしかない  思い出せ

擦ってくれた掌の温かさに、何度支えられてきたんだよ。
何度も引き留める心のある言葉を、いくつ貰って来たんだよ。
あの日々を一番近くで感じてくれてたのは、誰なんだよ。

…振り返れば、恋人って言葉には重すぎることばかりさせていたんだよな。

>あの日々の記憶、思い出流、日々

高め合うは出来ずにいたけれど、深く依存し合った堕落的な思いの交差の日々。 こんなに満ち足りているのに、不足に窒息しそうな気分に陥っていたのは、回りがみえなくなっていたのは、ただ真っ直ぐに求めてやまない存在があったからだ。


流水の如く過ぎる日没に万物も託され、委ねなければならねぇんだろう。心に焼き付いた景色も靄のかかる彩に帰す。それが一物体にとって良くも悪くも、働く濃度は変わらずに等しく。素直に頷くも苦、長く口を結ぶも苦…俺自身、こんなに長くかかるとは思わなかった。

季節を一周し、過ごしたもの全てに靄をかけながら少しずつ、意図的に執着を離してやってきた。 やっと半分流してこれたか、解放してやれるのは"名残惜しさ"本当に最後だという嘆きに似た感情の積もり。

もう…一人でも苦笑いで始末をつけられる。

伝えたい言葉も、もう飲み込める。
……やっぱひとつだけ、白状できるなら
いつかに来た猫の首輪がわりにつけてやったあの三色の紐飾り。俺に一番なついた猫の、あの青色の紐飾り…羨ましくなって後でこっそり付け替えちまったんだ。それが…今でも捨てらんねぇ。いくつかはしまったンだけどな、あれだけは書棚に置いて栞がわりに使ってる。

…こんなところ、

結びはなんだか思い付かねぇな、ひどくいい旅終わりの名残惜しさ、そんなのに似ている気がする。

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174 :檜佐木修兵
2011/11/09(水)07:55:40




立冬、袖無しにはあまり嬉しいもんではねぇこの季節ももう何度目か、慣れたもんで皮膚も強くなってきやがったのか痛むような寒さもいくらかはマシに思える。いつかに買った襟巻きも袖無しにしてたんじゃ「寒いなら維持張ってないで袖付けてください」なんてため息つかれるからやめた。…維持なんて張ってねぇ、俺のポリシーをそんなふうによぶんじゃねェェ!

……まぁ、段々と白に向けて変わっていく紅や黄金色が覗ける季節ってのはいいもんだな。相乗効果か、実るもんにも美味いもんが増えてくる。これはまた一人酒の肴が増えて増えて…油断すると肉つきすぎちまうぜ。まーなんだ、ひとつ二つ残念なのは縁側の床板がキンッキンに冷えることと朝布団から出難いコト。…たまったもんじゃない、本当に。

そろそろ湯タンポを考えねぇとな。あの黒猫はぱったりと来なくなったし…エサでもまいて誘きだそうか、
>なに魚の頭撒いてんスか!また変な占いかなんかっスか!?
んー? 猫をな…呼びてぇんだ…

異臭と虫やらで強制撤去、なんてなりかねねぇな。まぁ毎日頭なしの焼き魚生活もきついだろうし止めとくか。なんでもいいから帰ってこねぇかな…首飾りも替えてやんのに。毎夜一緒に寝てくれるだけで朝昼晩におやつもつけての食事つき宿をご提供だぜ?おいおい破格だろ?ただ猫に宣伝なんてしようがねぇし、やっぱり向こうの意思次第でしか来てはくれねぇんだろうよ。

>何よりも勝る大きな存在の帰宅を感じて、戸惑いや色んな感情が取り巻いた中でも…やっぱり強く強く感じたのは安堵だと白状


.

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175 :黒崎一護
2012/04/23(月)01:32:42




遊ー子ー、引き出しがまた溢れてるぞ、そろそろ捨てろ
>ダメだよ結構使うときあるんだからー

負けず譲らずの会話。
そんなもん取っといたってなんにもならねぇよ。

食パンについてるあの金色の留め具も、買い物でもらう白いビニール袋も、パックについてるあの緑色のゴムも、

その用途以外にも確かに使えるけどそんな長々と残しておくなよ、溜まるんだからよぉ…ったく、ある程度の見切りをつけやがれってんだ。


わかる、わかるけどな…まだ何かに使えるって思ってんだろ?間違いじゃねぇが物には潮時ってのがあンだよ。例え少しでも可能性があるなら、そう考えるのはあくまで建前上綺麗だからだ。永遠にすがり付いてても後から幾らでも物は沸いてくる。

見切りを、つけることも大事なサイクルのひとつだぞ。



…馬鹿野郎だ、見切りをつけるのが遅すぎる。十分じゃねぇか。言い出したことにまだ後悔してるってのが出てるぜ、顔によ。…嗚呼、わかってる。切ねぇよな、ほんとによ。 

思い返すと切りがねぇんじゃねぇの?

今は眠りな。深く深く眠っちまえ。

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176 :黒崎一護
2012/05/14(月)00:30:21




階段を上るとき、ふと見るスニーカーの紐の通る穴が足の甲を曲げるに合わせてぎぎと横に引かれ張っているその様子に、感謝する

>ああこいつは、いつか靴としての役目を終える日が安心できる日なのだろうか、それともいつ終わるかもしれぬ生に怯え日が暮れる度に次の日のことに怯えるのだろうか

感謝するだけ、ナニも返すことは出来ない。ほんの自己満足に、砂に色を抜かれた姿を磨いてやっただけ、


突き出す拳の数だけ磨り減る胴着、年々解れる帯の太い糸束が、長年の汗に真っ白な心が濁る様のように少しずつ色褪せていくことに心を傷めるのか、それとも強者への代償と誇るのだろうか


一時のそれとしての価値以上でもなく以下でもないモノに、ふと目を向けることに無意味だと当たり前のように押し付けるなら、俺達にもいつか当たり前のように突き付けられる以上以下の物差しで計られることは不思議じゃねぇ


支配、従属、その関係は常に、流れには逆らえない

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177 :檜佐木修兵
2012/06/10(日)20:56:09





昔馴染み、なんて呼べる関係かどうかは分からねぇが…ただ私信を二つ程、場所に合わねぇ真似だが少しだけ許してもらいてぇ。

ひとつは、蝶を寄越した黒崎宛に

久し振りに声が聞けて良かった。俺の方もどうしているかと気にはかけていたが…どうも足は動かなかった。頻繁に話をしていた頃を、昔って言うにはまだ浅い日々しか重ねてねぇけど、俺にとっちゃそれなりに早く話してぇ距離のある"過去"なんだ。…それなりに心配もかけたし、情けねぇ話なんだがな。…もし幸せにやっているなら、もう俺の方に構ってねぇでそっちを大事にすりゃいい。…そうじゃない、何かを言いに来たなら話は別だが…そうじゃないんだろう? 世話になったこと、今でもこれからも忘れねぇし返す時がくれば俺は動く。絶対にな。…だが元々、他愛ない話は得意じゃねぇんだ…恥ずかしい話。適任探しなら少し間違えたぞってのが要。…でも、嬉しかったぜ。こんなので良かったら付き合うが、まぁ少し考えてみてくれ。面と向かうと言えねぇから此処で。気付くことを願って。




もうひとつは、何時かの黒崎に宛てる。

好かねぇと吐いたお前に宛てるのも可笑しな話だが少し、いや大分心残りが出来たもんでな?今更だが小言を。場所は教えてあるが逆は知らなかった。だが目星がついちまった。…また何をやらかしてそうなったのか…もう今になっても俺の事を重ねてとか、そういうことじゃねぇなと確信してる上で言うぞ。…苦しいだろうな。救ってやるのは俺じゃねぇ、まぁそこは勿論お前の方も分かってるんだろうが…あんまりだったからな。元々を恨む気持ちは、解ってやれる。熱いも痛みも、解ってやれる。…少し休めよ。ちゃんと傍にいてもらえ。甘えても良い時だ、今だろう?素直に求めれば、拒む人でもねぇだろうからな。…何処かで楽になると良い。詳しく分からねぇまま憶測で話をした、そこは悪かった。…俺が思っていた以上に、抱え込むのが得意なようだ。どうかなる前に…と思った。他人の世話は受けねぇ、そのぐらいの気持ちで見てくれりゃ幸いだ。


人に宛てるのは難しい。考えが理性に透されて全ては言えねぇ。それでも向けるのは思うからだ。なんらかの、情を含むもの。親愛、友愛、なんらかの情を。

>もし、この空の繋がる所が全て、一瞬でも同じ色を写し出したなら、少しは平和だと言えるだろうか

>もし、この空の繋がる所が全て、一瞬でも同じ色を写し出したなら、人々はその真の色に気付けるのだろうか

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