さて、君に合わせてすっかり作りを変えたことだ。 未完成の状態でお披露目をするのは 僕の主義に反するのだけれど いい加減あれもうるさいからね。 古いものを使い回す。 と言っては聞こえが悪いが君も良く拾ってくるだろう。 あれと同じなのだよ。 破り捨てたページは追々直していくとして 彼の要望に応えようか。 2020/0107 |
同じ感情ではないという話。 僕と君が。 君が僕へ向けている感情はおおよそ長い時間の聞き取りの結果、 恋情であるということがわかったのだけれど。 僕のこれはそんなまっすぐなものではない。 折れることもできずに曲がった歪なシルエット。 そんなものをね、送りだす君へあげるのは さすがの僕でもどうかと思うよ。 2020/0106 |
影片が早く鍵を開けろと喧しいのだよ。 そして体裁を整えている側から茶々を入れてくる。 これで僕が起きている間に眠たがるのだから始末に負えないね。 僕よりよほど睡眠を摂っていないのでは……? 僕の人形にあるまじき愚行だ。 どうせ見ているのだろう。早く寝なさい。 2020/0106 |
余白のページ。 |
あれがね、いる前で口を滑らせた僕が悪いのだけど。 出会う前に綴っていた日記の存在を知られた。 誰にとも宛てないメモ帳だ。 ひとの目に触れさせるものでもない。 それをあまりに見たいと駄々を捏ねるから、 「それならふたりで作ろうか」 と言った次の日にはもう彼は何やら作業していて 一所懸命描き上げた絵画を掲げる子どものような顔で見せてきた。 僕はと言えば今改装作業をしている。 こんな古くて体裁の整っていないものは見せられないからね。 一緒に作ると言ったのに、という声が聞こえるが 昔のものが見たいと言ったのは君だろう。 そういうことではない? カカカ!なんのことだか。 2020/0106 |