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┗懐中仕掛けのファフロツキーズ(17-21/80)
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21 :
英
08/08-15:39
馬鹿みたいに燃費の悪そうな純白を彩るオープンカーのバックを構えるには些か不釣り合いとも呼べる見窄らしい空き缶を、それはもう呆れる程に繋いで。ギャラリーからは餞別とでも言いたげに真珠宛ら七光りに煌めく生米の雨を全身に余す所無くぶつけられながら、まだ視ぬ世/界の果てまで失踪出来たなら、今度こそ幸せになれるのだろうか。
不明瞭な至福へのカウントダウン。欠伸を出すなと言う方が無茶であろう平坦な道程。怠惰な微睡みに打ち勝てず居眠りしちまうか否かのギリギリの意識を玩び、ふと余所見をすれば傍には喉を痛める排気ガスのカーテン越しに燻る助手席。深海の星屑が雲海を仄かに照す月明かりの恩恵を目一杯に賜り、キラキラ耀き厭味ったらしく自我を主張する忌々しい存在。そんな継ぎ接ぎだらけの紛い物、舌を晒して中指も立てて、締めにド汚ェスラングの一つでも差し上げて、そして保留扱いにしておけば良い。俺はただ、不幸にも決して居心地が好いとは言えないだろう年季が入ったトランクに詰め込まれて泣きじゃくっていた不確かな荷物を迎えに往くだけだからな。標識を跨ぐまでの間隔を目印に規則正しく窓を横切り往復するワイパーの慣性を借りて、アレの涙粒を餌と見なしたアスファルトの表面が、不自然なまでに濃く暗くどろりと波打つ。声を殺した啜り泣きをストップさせるのは困難だろう。幾多の仲を執り持った敏腕の仲介役ですら手に負える訳が無ェ。あいつのサイドブレーキに触れられるのは、雲が千切れて雨が昇ろうとたった一人、俺だけだ。
さて、後少しで遠い遠い彼の目的地へ到着だと。過程を経て既に自分だけしか乗っていないこの癪に障る程純白めいた揺り籠を、甲高くガラガラと奏でる乾いた子守唄に合わせて揺らし続けているのもまあ、悪くは無い。
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20 :
独
08/03-00:24
思い描いている景色を画用紙という媒体へと介し、数多に織り重なる繊維の一筋すら見逃さずに復元しようとも順当の帰結には決して成り得ない。宛ら永久に見付からないパズルのピースを形の違ったソレで無理やり代用して懸命に填め込もうとしている様だ。幾何学的に象られた窪みに相反する突起部が軋轢に悲鳴を上げ、瞬く間に罅割れて往く様には敢えて目を逸らして。これを無様、醜態、暗愚、滑稽と云わずして何と顕すのか。
度し難く理解に及べぬこの作業、例えば御大層な肩書きに雁字搦めにされた絵描きの類ならばどんなに円滑に済ませた事か。脳幹から指先の末端神経に伝わるまでにコンマ一ミリの誤差すら生じる隙が無い大器に恵まれた彼等は、俺が逆立ちをしようとも叶わない偉業を鼻を鳴らして嘲笑い、呼吸をするかの如く絵筆を滑らせさらりと成し遂げる。しかしその代償としてキャンパスに浮かぶ極彩色が交差をするジオラマが己が地を這う世/界の本質だと誤認をしてしまい、ありふれた無彩色が蝕む背後を振り返った刹那に天涯を仰いで絶望するのだろう。贋物を模する暇潰しに没頭する余り手軽な処世術である現実逃避すら手離してしまった愚者に、体の良い代替品など到底存在する訳も無く。
成功者が必ずしも勝者に結び付かない辛酸はとうの昔に俺も味わっているつもりだ。舌鼓など打てたモノでは無かったと、貧乏舌を所持するお前でも同意を得られない程では無いだろう。故に愛しくあれ怨嗟に窮する妄執に喘ぐ謂れなど寝言に等しい机上の空論。俺は常に敗者だった、それだけの話だ。例えお前を喰い物にしようと、泥道を潤す甘露を譲る気は毛頭無い。
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19 :
西
08/02-09:57
#「え、なになに?二人が一体どれくらいグチャグチャに爛れ切った腐れ縁なのかって?……そりゃあ勿論あいつが我が物顔で俺の家に土足で上がり込んで来てからに決まってるじゃない。確かにその時期は以前から国/境を隔てて小さな小競り合いは頻発していたもんだけど、まっさかあんな美しさの欠片すら無い強行突破をされるとは夢にも思わなかったさ。まるで未開地の蛮族みたいだって以外に気の利いたコメントなんて、幾ら万物の愛を知る天下のフランシス様だろうと捻り出しようが無いね。いやあ、あの時はホンット酷かったよ。俺は何も悪くなかったのに、ねえ…?だって自分ん家が壊されない様に身を粉にしながら必死に護ってただけだったし?しかも当時は士気上げの為だからだとか御決まりの常套句に託つけて、まだまだ見識足らずだった俺まで死地へ無理矢理駆り出されてもうね、本気でどうしようと思ったね。そんな幼い頃のお兄さんの涙ぐましい獅子奮迅の如き働きも報われずに最後の最後には通行料だっけ?そう言ってお前が属していた奴等から寄越された端金ちょっとで俺の家の人達の殆どが瞬く間に懐柔されて!んもうっ、俺の目の前で御偉方が悉く『力を合わせて極寒の物見遊山を決行するぞー』って結託された悪夢が鮮明に甦って、お兄さん思い出し泣きしちゃいそう!……けどね、冗談抜きであの瞬間は一体何が起きたか検討すら付かなかったんだぜ。俺の涙ぐましい獅子奮迅の如き働きはなんだったのって。本陣の一番安全な場所でふにふにしてただけだったけどな。だから愛すべき故郷の腹部が厳つい野郎共の行進と、無骨な足跡と砂埃と血袋で覆された忘れられそうに無い苦渋を少しでも薄める為に、お互い立派に成長してから俺とお前とで一戦交えた事も遇ったねえ…。確かほんの僅差で敗れはしたが、何故か悪い気はしなかったんだよな。理解に苦しむ?奇遇だな、俺もだよ。……ま、そんなこんなで擦った揉んだな経緯を掻い潜った果てに訪れた、上っ面じゃあ平和ボケしちまって久しく在る現世に於ても何がトチ狂ったのか、今度はこうして家じゃなくて俺自身がお前に踏まれている訳だけど。一体全体どうしたのよ…ホラ、何時までも均整の取れたお腹躙り回してないで、思う所が有るならお兄さん怒らないから遠慮無く打ち開けなさいな。俺とお前の仲だろ?トーニョ」
さっきからごちゃごちゃうっさいわ。
御託は良えから、さっさとお前の隣に居る俺の可愛えロヴィーノ還せやフラン。
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18 :
仏
07/27-20:27
#「腐れた縁?爛れた縁の間違いやろが」
お兄さんからエスプリ効かせた小咄を一つ。お前の可愛い可愛いロヴィーノについてだが、どうして俺の隣に居るんだろうね?考えられる要素は二つ。一つ目は俺がこの子のサンクチュアリで在るお前の元から力ずくで強奪した。二つ目はこの子がサンクチュアリを棄てて自らの足で此処へ赴いた。そこで問題になるのは二つ目かな、どうしてお前の傍から離れたのか…お前だって薄々気付いているんじゃないか?俺はね、お前の他者に向ける愛情表現に已然から疑問に思っていた。だけど、今日を以て漸く解答まで到ってしまったみたいだ。お兄さんとしては何時だって返還に応じる構えだよ。但し今のお前じゃ引き渡しに応じてやれないな。どうしてこの子が震えているのか…本当に解ったならまたおいで。俺もまだ死ぬ訳には行かないし、何よりお前にだけは絶対に嫌われたくないんだよねえ。
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17 :
墺
07/27-02:09
私がピアノのキイを叩く度に貴方が籠の内側で雁字搦めに為る夢を観たのです。コーヒーを飲み干せばバッチリ醒めましたが。
その様な戯言を紡いでは隠匿する役所を担わされたピアノ線を打つ調べに塵屑すら許されず掻き消され、私は一体何をしているのでしょうか。或いは形骸すら感じられぬ程寸分無く掻き消されて欲しいなどと不埒な思考を懐いているからこその行いか…まったく、長年親しんで来たこの忘れ形見と伴に、私自身にも相応のチューニングが必要らしいですね。
そもそも突如脳裏にフラッシュバックされたからと在り来たりな逃げ向上を幾ら並べたからといって、一度癒着した思い出で片付けるには余りにも忌々しい過去を敢えて突き詰める愚行に躍り出た時点で、とてもじゃ有りませんが私は冷静でいられなかった。
お下品で不愉快な異臭が立ち上る現実の御旗を掲げた異/世/界と認識したくなる様な世/界を舞台に、最早尽きる意味を喪った戦火を浴びてそれこそ透度を保ちつつゆるりと渦を巻くブランデーに穢された紅茶の様に真っ赤に染まった小雨が、唯一の切り札でもある旧式マスケットの檄鉄を錆びさせ自身に勝算は疎か一寸の勝機すら訪れないと覚った決定打。精巧なレプリカと化した名誉に縋り付いて離さず駄々を捏ねた私の両腕を解いてくださったのは一体誰だったか。間違っても貴方だとは言いません。そんな馬鹿げた妄想を口走る程、私は落ちぶれてなんていませんし、何より貴方を遮る横断幕が引くのは未だ随分先の御伽噺だったはず…。いえ、訂正しましょう。今まで重ねて来たページに爪痕を遺す端折りの一つ一つが貴方と邂逅を果す為の神聖なる布石だったと。ならば二重線の整理すらされずに散布する青色の水溜まりに沈むあの面影は一体誰だったのでしょうか。ああ、此所から先は決して思い出すべきでは無いのです。間違って頭の中に嘗ての記憶が紐解かれてしまっては、ほら、鍵盤の内部を構築する等間隔に張られた銀紗が、瞬く間に複雑怪奇な糸遊びに耽ようと反比例して不愉快な雑音を発てて不協和音を織り上げ、最期は不様極まりない変貌を遂げてしまいます。見るに堪え兼ねない醜態ごと貴方が喰われて蓋を、そして南京錠で以てしっかり施錠して頂ければ万々歳なのですが、妙な色気を出すはしたなさはこの際ですから一緒に鍵穴を埋めて隙間無く蓋をされてしまいましょう。道連れも悪くありませんし、乗り掛かった難破船の覚悟にも極上の笑顔をトッピングした二つ返事を御土産にお付き合いします。
私が寝惚けて前後不覚に陥ってしまっているなんて馬鹿おっしゃい。昼下りの安息を彩る御伴に紅茶とコーヒーを取り違えた失態に意図が含まれていない訳が無いでしょう。せめてものちっぽけな抵抗を見逃した罪と知り得なさい。こんな下らない報復すら戸惑いを隠せず困惑する羽目に見舞われる存在に改竄したのは他の何者でも無い貴方なんですから。
ヌルからアインスまで全て音楽が代弁してくれただけの、それこそ譜面を句切る一小節にも満たない戯言の末端に過ぎませんけれど。
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