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┗146.ネヘレニアの涙ひとつぶ(背)(29-33/42)

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29 :黒子テツヤ
2013/09/18(水) 22:51



後悔先に立たず、とはよく言ったものです。
後々になって、ああこうすればよかった、ああすればよかった、そんなことばかりを繰り返しています。
厭世観と楽天観は同一視としてとらえる、なんて論もありますが、どうやらボクのこころは一方方向にしか傾かない、きそくただしい天秤のようです。
壊れた天秤は修理をすればまた傾きますが、壊れていない天秤を壊すには、どうしたらいいんでしょうか。
難しいお話です。

水瓶からも、溢れだす水があるでしょう。
覆水盆に返らず、故事成語には身を切る言葉がたくさん詰まっています。
幾数年もまえの時代に生きた先人が、こうして今ボクが些細と悩んでいる悩みと同じことに心を痛めて、そうしてできたひとつひとつ。
そう思うと、心を切り裂く言葉たちがとてもいとおしくて、たまらなくなります。

それでもどうしてでしょう、涙がこぼれてしまうのは。





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30 :黒子テツヤ
2013/09/19(木) 20:36



押し寄せる波に足首を取られて、転んでしまいそうになる。
柔らかな水圧がゆるりゆるりとボクを潰して、零した涙さえも海とひとつになっていく。
こんなにも優しい温度なのに、じくじくと心臓を突き刺す刃は氷のようで。
頬を伝う雫がなによりもあつくて、火傷しそうになる皮膚をゆびさきで拭う。

(こわいの?)――こわくないよ。
(一緒に行こうよ。)――この手を引いてくれるなら。
(ついておいで。)――だめなんです、ボクはすぐに迷子になるから。

ゆらゆら揺れる尾鰭に誘われて、ざぶり、なみのなかへと身を投げる。

見上げた水面はきらきらと、ひかりを反射して輝いている。


(嗚呼なんて、まぶしくて、いとおしいせかい。)




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31 :黒子テツヤ
2013/09/22(日) 21:21



――――――海底より、


はじめましてと、深い水底から、
こんばんは、氷室さん。よろしくおねがいします。

 >>>>>>
ボクの水面は、そんなにきれいな水辺ではないんですが、
そんな風に、氷室さんの目に映っているのなら、うれしいです。
とっても素敵な水底で、本当に、とても居心地がいいですね。

 >>>>>>
ちかくの方とお話しできるのは、とっても嬉しいです。穏やかな水底ですね。
…ありがとうございます。氷室さんのこころに、少しでもやさしく、届いているのでしょうか。
拙いことばたちばかりで、お恥ずかしいですが。





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32 :黒子テツヤ
2013/09/23(月) 20:38



「夜のお散歩。」


(―――息継ぎに空を見上げて、夜空に浮かぶこんじきの欠けた月、締め付けられる左胸、今宵の空気はとてもしずか。)



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33 :黒子テツヤ
2013/10/02(水) 02:56



夜は真綿に包まれる、ふわりと浮かんだ心地がひどく、昂揚を誘う。
静かに静かに、静謐な空気を震わせないように。
染みひとつない光の水面に、波紋を落とさないように。
ひっそりと呼吸を繰り返す、夜の景色はとても静か。
一歩踏み出せば、足先を凍らせる空気が体温を殺すのに、その感覚すらも心地よく感じて、ひらいた瞼をそっと下ろす。

目を閉じると鮮明になる、小さく夜が響くおと。
道路を行き交う車のエンジン音、どこか遠く、自転車のペダルが回る。
小さな少女が泣いている、夢か現かも定かではないけれど、夜という不思議な時間が、ありとあらゆるものごとの境界を、あいまいに見せている。
瞳を閉じて感じる夜は、とても静かで、物音に溢れていて、たくさんのものが存在していて。

とてもとても、しずかにひびく。

(水底に身を横たえて、吐き出す泡が水面へと、触れる前に消えていく。)
(見える景色は、そればかり。)




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