¶:期待の渦に溺れる。 肩に掛かる期待ばかりが増していく日々に、少し憂鬱な気分に浸る。 他者の勝手な都合ばかりを押し付けられて、そこに潜む本心だとか本音だとかが、急にはっきりと見えてしまった場合。オレは多分、眼鏡を外すのだろう。見えなくても、声でも解ってしまうのは、オレが目敏く要求を見抜いてしまうからなのだろうか。オレはどこに向かって流されているのか分からないまま、こうして他人の渦の中に放り込まれてしまう。そうして揉みくちゃにされた後に、『そんなにずぶ濡れで、どうしたの?』と訊かれるのだろう。それを無神経と呼ぶにはあまりにオレが優柔不断で、オレはきっと「少し雨に降られただけだ」と言うのだろう。 誰も本心等に気付きはしないのだ。 ¶:今後の流れ。 携帯の予約に行った際に、操作方法の書かれている冊子を貰ってきた。久しぶりに使うスマホに戸惑いを覚えながら、色を思い浮かべた。同じ色を好むのも、まあ、今更な感じがした。発売日に受け取りに行けるか判らないのだが、早目に変えてしまおうと思っている――が、あれだ。不慣れだから恐らく多少、付き合いが悪くなるかもしれない。 部活の後に習い事も始めるから、帰宅も遅くなる。 早く慣れるように人事を尽くそうと思っているのだよ。スケジュール管理に役立つアプリとか在れば良いのだが……む。やらなくてはならない事ばかりで、現実逃避がしたくなる。海に行きたいな。 そういえば、後輩が今度一緒に出掛けましょうと先日言っていたのだが、オレの休日は全て習い事に費やされる予定だから4月くらいまで出掛ける時間がなさそうなのだが、どう返事をしたら良いのか判らないのだよ。どうしたものやら……最近の情報吸収率が急上昇し、考え事をする隙間がなくなっている。お前との会話も全て覚えておきたいのだが、何か抜け落ちたりしているかもしれん。まだメーカーの報告もしていなかったし、うっかりしている。 お前も大変だろうが、お互い頑張ろう。何かあったらまたいつものようにあれしてくれ。 試験前だが、普段通り過ぎるな。 |
¶:雑記。 昨日は、心がさみしくなった。オレにはこのままお前の傍に居る自信が有るのだろうかと、考えた。 自分の所為で不和が生じた場合、オレは今までいつも身を退いてきた。あの時、彼がオレに対してあまり良い顔をしなかった時も、オレはお前に話し掛けて貰うまで連絡は一度もしなかった。今はずっと仲良くなれているが、多分そういう性質はまだ変わっていない。だからあの人がオレを快く思って居ないと知った時に、いつも通り躊躇した。 オレの事を何も知らない人にどう思われようが関係無いのに、お前にも嫌な思いをさせるのかと思うと……オレにはそれが正しいのか、急に自信が持てなくなる。お前はきっと、変わらずにオレと居てくれる。お前の言葉も信じている。それから、気持ちについても。オレが深く考えていなかったからああいう話になってしまった事も、多少は。申し訳なく思っているのだよ。 繰り返される言葉が、少しずつそういうものなのかと思わせる。 ……もし、オレの所為でオレ以外の全てを失う事になったらどうする?オレくらいの真性ぼっちになると何て事のない日常でしかないのだが、お前ならどうする。オレと居たら面倒な事は増えるだろうし、きっと引き続き気まずい思いをするだろう。お前はそれでもオレを選ぶのではないかと考えるくらい、そこは心配していない。が、出来れば友人とも仲良くして居て欲しい。もしオレの事が気に入らないと言われたなら、オレの話はしないだとかそういう運びにして貰えたらと思っている。 間に合えば今日、新しい携帯になると思う。真っさらな携帯にメールなんて溜まらないけれど、あちらのログは残るだろうか。気になる。確か引き継ぎがあるとか聞いた気がするのだよ……とりあえず、総じて後回しにする。帰宅までに移せるデータは入れておかないとだな、大丈夫だろうか。不慣れで心配が絶えないのだよ。何か必要な事とかあったら教えてくれると助かる、後は何だったか。――ああ。隠居は、しても構わないというか、拗れていたのを全部綺麗にしても構わないかと思っている。生活も変わってしまうし、お前以外と関わる時間が足りな過ぎる。時間とかを気にせず付き合える者以外とは離れてみようかと思っているが、割ともうフェードアウトされた後の気がするからオレが留めているメールは返してみようと思う。 大して家では勉強していなかったから勉強を口実に連絡を怠るのも何だしな、そもそも。気を遣う相手にはいつまでだって気を遣うだろうし、割り切った方が良いのかもしれん。 少し憂鬱だが、まあいい。 上手く使い熟せると良いのだが、大丈夫だろうか。説明書がないと困るのだけれど、あるだろうか。 |
¶:繋ぐこころ、揺れるきもち。 休みが欲しい。何処かへ出掛けたい気持ちと、時間を気にせず眠りたいが半々。最近、携帯が変わってからさっぱり目覚ましが使えなくなって困っている。 心について最近良く、考える。考えれば、気付きたくない事にも気付いてしまうけれども。無駄な事なんてないのだと、改めて思う。ほんの些細な事で不安になるのも、必要な事なのだと思えば幾許かの赦しも得よう。……オレは未だに希望が持てずに居る。慎重と言うには些か今更過ぎる。お前の事を大切にしたいと思いながら、オレが果たして相応しいのだろうかと考える。何度も躊躇いながら、少しずつ重ねてきた。 特別な事もした。 それでも時々、何もないのに不安な気持ちになる。オレはこのまま存在して居ても大丈夫なのかと。愛されるに足る人間なのかと。そう、思うのだよ……いつもの悪い癖だな。いつまでも遠慮ばかりしているから幸せを掴んで居られないのに、解って居ても自分の事を優先出来なくて。だからいつも、手を繋いで居て欲しいのかもしれない。 手を繋ぐという事は、心を繋ぐ事なのだよ。 心がいつも気持ちよく居られるように、繋いで居たいのだよ。言っている意味が解るだろうか。 一番欲しいのは、心の繋がり。 それだけで充分幸せなのだよ。大切なものなんて、本当はいくつもない。無人島に何か一つ持っていくのなら、オレは迷わずお前を連れて行く。心の繋がりを持っていくには仕方あるまい、オレの為にサバイバルくらいには付き合うべきだ。そうに違いないのだよ。 む。またいつもの感じになった。 |
¶:転がるビー玉と、光。 悔しくて涙を流したのは、久しぶりだった。自分が思うよりずっと切羽詰って居たのかもしれない。みっともない所だって、お前には見せる事が出来るのだろう。不思議なものだ。 別に、お前のが移ったとかではなく。オレの人嫌いも加速したような気がする。元々あまり人と過ごす事が好きでは無かったが、最近は特にだな。オレの腑抜けっぷりが酷いな……む。 話は変わるが、木吉さん。メールはちゃんと届きましたか?届いて居るなら幸いです。お手紙ありがとうございました。レスポンスについて頓着していないので、時々話せたら嬉しいのだよ。色々話せるのを楽しみにしています。さつき隊員にも、今少し新しい携帯にも慣れたから返事をしようと思っている。誤字や脱字を指摘される生活には未だに慣れないが、いつか平気になるのだろうか……大事な話をする時は、どうすれば良いのだろうか。 まだオレには難しい。 ──もう1年経つのだな。オレはもう大丈夫だ、これからはオレの空を愛していきたいと思っている。ゆっくりと、焦る事無く。 幸せだと感じられる、今に感謝して。 |
¶:色さがし。 自習の時間が一番好きだと思う。その方が集中出来るのだよ。……自分という個体と、別のモノ。その中で、恐らくオレはもう他のそれを許容する事が出来ないのだ。それを愛だと他人は言うけれど、それならば。愛より深いモノとは何ですか? 何が好きだとか、そんな次元の話では無いのだよ。他に誰も居ないのだ。オレの世界は思って居たよりずっとずっと狭くて、世界にふたりしか居ない。勿論、自分を世界にふたりだけの人間だなんて思って居ない。オレとお前が何か違う生き物だったとして、オレはそれでも構わないと思って居る。結局、自分が何者で在っても、何も変わりはしないのだと。ふとした瞬間に思う。 きっと、オレの愛とはそういうもので。 認識の違いなのだろうと思う。今まで理解されなかったのも、当たり前だったのだろう。一度こうだと感じたならば、オレの言って居る事が理解出来る筈なのだよ。この感覚こそが『心が触れ合う』という状態なのだろう、……良かったな、オレの御陰で運命が何なのか身を持って知る事が出来て。 本当の運命ならば、違える筈が無いのだよ。 光栄に思え、バカめ。 |