スレ一覧
┗976.ラストバレル(1-5/50)

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1 :黛千尋
2015/10/06(火) 00:20

オレの日記

忘れられては困るな

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2 :黛千尋
2015/10/06(火) 01:00

曇/60

スーツを着た厳しい顔の男達何人かの前で、オレはいつか「高校では三年間バスケに励み、冬の大会で全日本2位になりました」とか言うんだろうか、と一度頭に過ぎってから、何度かその妄想を反芻している。 

世の中には幾らか不思議なことが転がっていたりする。毎日通ってやっていたはずのコンビニの店員が、オレがポイントカードを持っていやしないし、あまつ「カードはよろしいですか」のひと言になんのリアクションをしなくても、機械的にレジを打つのもそのひとつだ。きっとこいつはオレの顔がある日突然整形済みのホストのようになったところで気づきはしまい。

スーツの厳しい顔の男の一人はオレに聞くのだ。「あなたはチームにどう貢献しましたか?」と。オレも着慣れないスーツの膝を少し握ったりしながら、少し考えた風にして、それから最初から決めていたシナリオを話し始めるに決まっている。そこまでは順調さ。何せ影も薄いし目立たないし特段取り柄も無いオレだが、高校の最後の一年は履いて捨てるほどの面白エピソードをストックしているんだからな。

クリスマスも正月もあってないようなもんだった。今日も律儀にあいつは連絡をしてこない。オレはそれなりに忙しい。利害の一致というやつだ。
それにしたって、毎日吐くほど動き回っていた身体を机に縛り付けておくのはなかなか骨が折れる。一体オレは三月までもつんだろうか。微妙だなと思っている。
つまり今日はコンビニに出掛けて、あとはおでんを食いながら参考書とランデブーをしていた。
きっと明日も明後日も似たようなもんで、そう代わり映えはしないだろう。それでも記録して後から見返してみたら、ほんの少しの些細な出来事を懐かしく思ったりするのかもしれないな。

オレがスーツの男達になんて答えたのかは、まだ妄想中だ。
いつか書くよ。

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3 :黛千尋
2015/10/07(水) 00:59

晴れ/59

なんだって洛山は二年校舎と三年校舎を分けなかったんだろうな。

無冠のなんちゃらとかいう連中は、律儀にも学校生活においても仲良く一緒に行動しておられる。それがとんでもなく目立って仕方ないなんてことは、洛山に数年通ってれば誰だって知ってることだ。
教室を移動する道すがら、いやでも目についてしまうんで、オレはひっそりと非常扉の脇に隠れたりして過ごさなきゃならない。もしかするとそこまでしなくたって、奴らはオレに気づきもしないかもしれないが。それはそれで、気づけよと思ってしまって癪なので、オレはあえて隠れる選択肢を取っているわけだ。
引退式を欠席なんかするからこういうことになる。オレは頻繁に過去のオレを呪うたちだ。
ところで三年校舎と一年校舎は別れているんだ。本当に助かったよ。


本当だぜ。

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4 :黛千尋
2015/10/11(日) 03:04

雨/58

始まらなきゃ終わらないなんてくだらない概念を最初に考えた奴は、相当にペシミストだったに違いない。
オレが果たして悲観主義者なのかどうかってのもどうでもいい話だし、大体において主義を掲げるやつはあまり信用しないことにしている。主義は主義でしかなく免罪符じゃないんだからな。
つまりオレのことはあまり信用しない方がいい、という話だ。これは統計だ。

というのも、取るに足らない話があってな。
今日は雨降りだったし例によって一日中机とべったりひっついて、時間を惜しむように愛し合う予定だったんだが(話題は主に電荷と電界についてだ)、なんと楽しみにしていたラノベの新刊の発売日だったことに気づいてしまったんだ。
オレは禁欲的でもなんでもない。読みたいものはすぐに読むし、知りたいことはすぐに調べる。それにその新刊は限定特典付きだった。たかだか一時間やそこら本屋にかまけたところで受験に落ちるわけじゃないさ。幸いにも頭の出来はそれなりに良く産んでもらったからな。
ここまでがオレの脳内で繰り広げられた言い訳だったわけだが、人間ウソをつくときやいけないとわかっていることをする時は饒舌になるもんなんだ。人間観察をしていた頃も実感していた。ウソをつく人間は聞いてもいないのに余計なことを言い過ぎる。ウソを言葉で塗り固めないと安心できないんだ。それでいて言葉には具体性が欠ける。ウソをつく人間の言うことは、かなりの割合で見抜けると思う。まあオレのごくごく普通の日常生活においてそんな技術が発揮される機会はただの一度もないわけなんだが。オレがコミュ障を患っているせいもある。
そんなことを考えながら向かった先の本屋で、まさか死ぬほど目立つ赤髪を見つけることになるのは悲劇でしかなかった。
すぐにオレに気づいた奴は(なぜ気づくんだ)、後輩らしい微笑みを携えて会釈をしてきた。それ以上は踏み入らないって、約束を律儀に守っているふうだ。関心なことだ。その手にはオレにはよくわからない種類の本がある。多分流行りの経済理論か何かに見えた。ピケティだっけ。
オレは目当ての本を探し当て、無事特典も手に入れて帰路についた。
話っていうのはただそれだけだ。

つまり何が冒頭の話に繋がるかというと、オレは早々に放っておけと言ったことを後悔しているっていう、それだけのことなんだけどな。

勘弁してほしいぜ。

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5 :黛千尋
2015/10/14(水) 01:52

曇/57

情熱というのは素晴らしいものだと思う。何かを成し遂げようとする情熱。何かを手に入れようとする情熱。何かに焦がれ続ける情熱。
何せ熱された情なんだから、形にして触れてみることができたんなら、手のひらを火傷したりするんだろう。それがそのうち誇れる勲章になったりな。人生そういうこともあるさ。
あんまり長い前置きをするのはやめておくよ。つまりオレには決定的に情熱というものが足りないということが言いたかった。

常に冷静と言えば聞こえはいいが、どの物語を読んだって、とびきり面白い経験や出会いをするのは、いつだって向こう見ずな奴で、クールに見せかけてもその実熱かったり、お約束ってやつが存在する。何から何まで冷めきって、情熱というお伽話を夢見る庶民には、劇的な出来事も、突拍子もない難題も振りかかってきやしないのだ。

それにしたって寒すぎるんで、オレはまたコンビニのおでんを食い散らかしていた。安価で低カロリー、かつ栄養豊富とくれば、毎日だって摂取してやる所存だ。ついでに今日は半纏を羽織っていたからな、典型的な追い込まれ受験生スタイルの完成だ。いっそ「必勝」と書かれたはちまきでも買ってきてやろうかと思ったが、そういうバラエティグッズが売ってる駅前まで出るのは億劫だったんで想像に留めておいた。窓の外は曇天。スケジュール帳は受験勉強で真っ白。寒さもここに来て極まってくれば、いよいよ憂鬱になるには最適な日和だった。
しかし、この寒さは残念ながらオレを喜ばせる要素の一つになってしまうんだ。先日購入した新品のCPU。こいつの性能を出がらしになるまで試してやるには、天然の冷却ファンは願ったり叶ったりだ(購入費に諭吉が何人オレの財布を巣立っていったかなんて、ここで記録したって悲しくなるだけだから絶対に書かない)。
ほんの数時間の娯楽だ。まあ数時間というのはオレが張り付いている時間のことで、実際にはMent/estとかなんやら、いろいろしてるんだけど。

これは情熱だろうか。多分違うな。冷却温度と発熱温度の狭間で少し考えていた。そんなタイトルの小説もあった気がするな。

ではあいつの勝利への執念は、果たして情熱だったろうか。オレの肩に手を置いて向けた勝利のための言葉は。人を人とも思わぬ扱いをしてても叶えるべき義務は。

やっぱり違うな。
情熱が、手にとって見えるものだったら良かったのにな。
オレは珍しく感傷的になってしまった。
ドライアイスでも火傷をするっていうのに。

CPUの周波数は新記録をベンチしていた。

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