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┗2641.初(88-92/142)

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88 :朽木白哉
2010/09/19(日)01:07:17


鳴らぬ羽音にも幾分慣れた。
されど時折圧し掛かる様に重い虚無に心が惑う。

お前が居ぬ時間、かつて私は何をしていたのだろう。
空白の時を何をして埋めていたのか、今では記憶の果ての出来ごとだな。

ともあれ募る空白を放置することも出来ず、何か無いかと広い屋敷を歩けばルキアが現世で購入したというの料理本に遭遇した。そういえば恋次も現世の料理を幾度か振舞ってくれた事があったか…何気なく手にした本を徐に開けば、見た事の無いような料理の写真と共に片仮名の名が連なり、中には恋次に作ってもらった白いすーぷの作り方も記されていた。
更に頁を進めれば今度は手作り弁当の頁に。握り飯と卵焼き(正しくは卵を焼いたもの)しか作った事の無い私からすれば目から鱗の色彩豊かな手料理が小さな箱に所狭しと詰め込まれていた。

成程、これが真の手作り弁当…。

以前私の手料理を食べたいと言っていたのを思い出す。
何時も私はお前の手作りをもくもくと頬張るだけであったからな、それでは些か芸がない。当主たるもの…否、お前の恋人たるもの料理の一つ二つ出来ぬは恥。

何時もの真ん丸握り飯と三角卵焼きの私ではない。
食べられる日を楽しみにしているといい。

(そして私に惚れ直せばいい。)


…料理本は、少しの間借りておこう。


>愛しこ犬は私の料理を食べる事。

―――
追記。

記しておらぬが勿論、お前もばとんに答えてほしい。
何時になるとも知れぬが恋次の回答、楽しみにしている。

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89 :朽木白哉
2010/09/22(水)01:48:12


この冬は忙しくなりそうだ。

夏を終える今更になって思った。
お前の帰還も冬になると聞いたのに、逢えなくなるのは苦しいな。

今のうちに、お前がいないうちに成すべきを成さねば後悔してしまいそうだ。

私も頑張る、お前と一緒にな。


だから来る冬は沢山一緒にいよう。
…居たいぞ、恋次。



>愛しこ犬は添い寝させること

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90 :朽木白哉
2010/09/25(土)01:34:08


季節は少々外れるが、先日現世の海へ足を運んだ。
何時もぐだぐだに寝そべっている朧を、不在のお前の代わりに供にしてみた。初めての砂浜に恐る恐るといった様子で四足を埋める彼奴を横目に、人気のない(といっても現世の者には私の姿を見ることは叶わぬのだろうが)海辺に波が寄せては引いて行く音に耳をすます。

夕刻の頃も重なり海原を照らす夕日の光に、きらきらと煌めく水平線が美しい。
空が宵の藍と雲の灰と陽の紅に染まる色彩が、お前の髪のようで少し心が震えた。

今年の夏も二人そろって海へ赴く事は叶わなかったが、来年に向けてまた目標が出来た。
朧と共に訪れるのも悪くは無いが、今度こそ、何時かのように二人で砂浜に足裏を埋めて歩きたいものだ。


砂浜に残した足跡と、名前は、今はもう波に沈んでいるのだろう。


…そうだ。
海岸で白くて小さな貝殻を拾ってきた。
先のとがった巻貝で、滑らかな表面に夕日を思わせる鮮やかな橙色の筋が入った愛らしいものだ。
これは頑張っているであろうお前への土産としよう。
小さな巾着に入れて朧に使いを頼んでみようか…否、お前が帰ってくるまでに辿り着く気がしない。

持ち主不在の殺風景な執務机にでも飾っておくとする。少しは見栄えもよくなろう。


お前がこれを目にするのは、あとどれくらい先になるのだろうな。



>愛しこ犬は来年こそ、私を海に連れ出す事

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91 :朽木白哉
2010/09/27(月)00:22:58

久しぶりに飛ばした蝶。
迷わず行き着いてくれれば良いのだが。

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思いがけず直ぐに帰したらしい蝶に微睡みながら手を伸ばす。

頼り無い指先に留まる蝶は確かに役目を果たしてくれたようだ、久方振りに耳にする声音に思わず口元が緩む。


有難う恋次。
今日も怪我などせぬように。

>9:12

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92 :朽木白哉
2010/10/04(月)00:16:17

少し間があいた。
気付けば今年も残りふた月、時が過ぎるのは早いものだ。

現世に『はろいん』、という南瓜の祭があるというのをルキアに聞いた。老若男女問わず、仮装をして練り歩くという奇怪な祭だそうだ。現世に詳しいお前は既に知っているのだろうが…。

ルキアに促される儘、好きなように小さな南瓜の目と眉をくり貫いてみたが、何が足りぬかと思えば頭の紅い尾。朧が何処からか拾ってきた松毬を頭に添えてやると大きさといい、良い具合におさまった。(朧には代わりとして大振りの鈴を。先程から音が凄まじい)

…後から知ったが、祭の本番はまだ少し先との事。この南瓜はやはり寂しくなった執務机の上へと備えておくとする。


―――

些か大きな任を総隊長より遣わされた。

疑問を持てど他に選択の余地など無いのだ、私はこの身を賭して励む心算でいる。


恋次、お前がいるから頑張れる。


―――

一人で焦って自爆。


もっと他を客観視できたなら。

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