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┗懐中仕掛けのファフロツキーズ(26-30/80)

|||1-|||書込
30 :南/伊+西
08/24-08:05

まだ完全に熟れ切っていない少年の柔肌、意思の強さを顕した褐色にも引け目を取らない滑らかな皮膚を退紅色の斑模様へと染織する作業に耽て征けば、決まって何時もは白い脂肪のコットンに包まれながら気道の最奥へと恥ずかしげに埋没している愛らしい喉仏が、弓形を描く子供の背に呼応するかの様に気紛れにひょっこりと顔を出す。成長過程の目安とも云うべき気管、普段は見せない乳白色の塊が大人によってもたらされる等間隔を刻む律動に促されるまま、御世辞にも成熟とは形容仕難い独特の青さが翳る琥珀色のカーテンを捲り上げ、未だあどけなさを遺した輪郭が生々しい布地越しにくっきりと浮き彫りになり皮肉にもその姿形を主張する。
豪奢と清廉さを併せ持つベッドを軋ませながら双方の五臓六腑を媒介として厳かに行われる擬似的な捕食行為に我を忘れて没頭する眼前の大人によって、望まぬ熱に浮かされた華奢な身体が肩を揺らして浅く呼吸を繰り返す度、第二次性徴期の幕開けを伝える斥候が苦悶を彩る囀りに合わせ、メトロノーム宛ら細首の表面で上下に転がる単純運動に励む。寝室と呼ぶには些か無機質さが圧倒する宝石箱の様な空間、格調高い金銀宝石が塵填められたそれを、交わる泥臭い息遣いで模様替えを試みている様な気高く薄汚れた儀式の中、終始見られる彼の機械的な筋肉運動によって診られる反応。第三者から見れば、それは脊椎動物に該当される一個体として、至極当たり前でもある膨大な生理現象の内のたった一点。例えるならば道端に生える雑草と同価値程度という見解。そう、彼等の本能に殉ずる一連のメカニズムは、一時の気の迷いと云う点に於ては至って一元的でシンプルな模範的解答である大前提に加え、事態を完遂したとしても周囲へ及ぼす影響力など殆ど無いモノなのだと指し示す、数え切れない程のその他大勢。対するはそんな野次馬の群れで構成された満場一致の空気に食らい付く多勢に無勢に紛れたたった一人。行為の傍ら安直な一般論に無言で異議を唱え反旗を翻し続ける当事者が呈示した対抗見解との整合性が、もし仮にほんの僅かでも立証されていたのなら。
或いは、もう何もかも全て手遅れだと気付く一歩手前。腐蝕し爛れた享楽の泥濘の底へ底へと蕩ける様に自身を融和させつつも、特異点の悪名を賜り落日へと歩む末路には頑として背を向け、精神的安穏の脇道に逸れる最良の選択を以て、大人は落涙を恥を堪える未来を回避出来たのかもしれない。



#特異点者A氏の破滅的な見解。[>>0,0029]

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29 :西
08/22-14:22

#延々と続く螺旋階段を昇降させられてるかの様な気の遠なる微睡みから漸く目が醒めたあの日、あの瞬間。御世辞にも居心地が好えとは言われへん夢路を脱する鍵に成った機知なる手応え。縺れる脚を擦りもって決死の思いで掴んだ陽炎めいた一明の袂と引き換えに、常人には有って当然のワケあらへん感受性の一部分が一片すら遺さんと殺がれてしもうてる陰惨っぷりに疲弊しとっても、右も左も判らんまま黒から白へと解離していた敷居をアレが棚引くままに跨いだ当時の俺には、幸か不幸か全部が全部のタネ明かしには未だ気付かんのやったか。形骸化されて久しい過去の栄誉を象徴する様々な香辛料を燻した嗅ぎ慣れた芳香が鼻腔を介し空気中を澱ませる、そないな虫の翅音すら鳴かへん夜やと思った。俺は何時もの様にロヴィを



(零れたインクがページの隅まで滲んでいて、この先は読めなくなってしまっている。)

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28 :
08/21-19:59

漸く朧灰が払拭されたかと思えば望んでも居ない霹靂が宵鏡ごと天涯を割る。何時かの罪人が得手とする粗野な愚行の数々が、風流からは程遠き稲光を焼付け網膜から頭蓋へと響き渉る。鼓膜がその厚顔無恥な振舞いの予兆を報せる度に、私は前髪に隠れた眉間の皴を甲斐甲斐しく刻み、育て、殖やして往く。姦しい事この上無い。あれ程までに切望した暁は天道へと面持ちを変え、私に絶望しか寄越さなかったのです。一体何を以て希望と宣うのでしょうか、舌先三寸より練出された妄言ではありませんか。只管眼窩が眩むだけのそれを親身の鉛刃で番瞼をも抉じ開け斜陽の兆しが訪れるまで、私の水晶体に独善を降り注いだ結果、常為らば映るはずの私が落日の刻が来ようとも、夜更けまで彷徨子の恥辱を懐き黒に惑わされて間も無き境界に喰われる刹那まで、当の私自身と来たら、情けなくも己の足許すら認識出来なかったのです。

朧気ながら漸く自我を取り戻せた私を嘲笑うかの如く、周りを巡回する雑魚に泥土の化粧を塗り付け硝煙の御簾を一閃で切り刻もうが焦燥の余韻が未だ肺腑に沈澱したままなのは、私の背後を獲る彼の御方の所為。何故、私が征する僅な刻まで貴方は煌々と耀いて居るのでしょうか。虚空へと旋回する空の禅問答を嘲笑うかの様に私の現身を蟒蛇が絡み付く感触を真似つつ侵食し、軈ては私を器のみとする。輪郭さえ在ればそれで構わないと、戦慄を憶える程の満面の笑みを称えて。

どうして巻き添えを喰らう嘆きを蒔けば貴方は隠れるのか。逸そそのまま朽ち果てては如何でしょう。刹那の反転さえ過ぎ去ってしまえば、貴方が去れども私は確かに存在したままで。ですが窶れた物入れとして天寿を全うされた事実に、肩を並べて迂回するなど私目には到底無理な所業であると、何故悟っては頂けなかったのでしょうか。私が懐いた貴方さえ存在すれば、それで全て満ち足りたと云うのに。愉悦を辛酸に覆す貴方そのもの、刹那に轟く稲光は、湿路亡き青天を二分した後、朧雲に呑まれて声すら出せずに沈滅されれば微笑みを。これで漸く陰だった私が陽だった貴方の全てを頭から爪先まで一息に捕えて袂の駕籠に閉じ込めておけるのですから。そして誼の成之を知る遺憾とも下らない柵や原形の遺香をゆらり漂う一筋の棚引きすら見逃さず淘汰した曉にはどうか、貴方を。

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27 :
08/19-22:20

昔々の物語には、凡そ昨今の所謂ステレオタイプ的な厨二向けファンタジー作品に良く見られる、パンドラの箱の最後には希望が残っていた、だなんて今時流行り尽くした救いエンド風の安い寓話がそこかしこに存在しているじゃない?だけど偉大なる先人共々が遺した関連文献を紐解いてみれば何て事は無い、希望が現実という舞台からひょっこり顔を覗かせる前に、あれだけ多種多様で圧倒的な絶望の累々を目の前でわんさか見せ付けられれば、希望なんて雑魚にも等しい小物でもそれなりのタマに見えてしまう辺り、判っていたけど人間の識別能力ってものだけは本当にアテにならない。何せその実そんなに善い物で無い、冷静になって思い返してみれば、ほんの少しマシな存在だったってだけで終わる代物に対して、あれだけの盛大な錯覚を引き起こし無条件の期待を寄せてしまえるのだから。たかが三文芝居のオチ要員に向かって、誰もがアレは善い物だと勘違いを抱き、手を取り合い共に苦難を乗り越えて行こう的な展開に収まってしまうだなんて、どれだけ御都合展開なんだよ。意味わかんない。
ああ、でもヤケクソから芽生えたポジティブシンキングの例も実際多数存在する訳だし、そんなに変な事でも無いのか。しかしやっぱり同感をするまでには到らない。
けれどもまあ、ソレを差し引いたとしても希望も絶望も、善と悪、正と邪みたいに人間が懐く意識の問題だって相場が決まってるのに、ホント世の中って一見複雑な様でいてその実思わず笑いが込み上げてしまう程には単純明快だよね。だってパンドラの中身は文字通り全て厄災しか詰まっていなかったのに。
これは征服者が対象に用いる落として壊し切った直後に手を差し伸べる一種の懐柔術とも呼べるモノと似通っているのかもしれない。事象のカラクリに人間は気付かず白痴みたいな笑みを溢し、空になったはずの真っ黒な玩具箱の中身を必死に漁る行りを読み解いて行く人達。立ち位置を見極められずに翻弄されている様から察するに、まだ祖先が口に含んだ知恵の実が与える効能が体中に回って居なかったのかな。そう結論着けてしまえば、希望の名札は飽くまでも名札で、受け取り方によっては単なるフェイクに終るかもしれない肩書きと言う張りぼてに対して、知らず知らずの内に翻弄されつつも涙を流しながら必死に幸せを箱から引き摺り出そうと、もしくは箱に詰め続けている毒にも薬にも成り損ねた被害者そのものが、本来物入れにセッティングされているべき存在だったと僕は思うね。
いや、ホントどうでも良い閑話なんだけど。あと、僕の話そのものが既に厨二じゃないかって言うツッコミも受け付けてないから。

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26 :
08/16-21:47

NEXT./>>0,0025
COMBO./>>0,0026,25
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もうすぐ冬がやって来る。吹き荒ぶブリザードが大/陸全てを飲み込み、全てが悪魔の様な白に閉ざされる俺にとってまるで無間地獄の様な冬が。そんな厄介でしかない寒波が押し寄せる警鐘にもへこたれず、沸き立つ人々の歓声がファンファーレ宛ら道並ぶ家々を灯す明かりを一層暖かくしてくれる。そんなお祭り。
何時もなら俺も皆と交ざって道行く人々から貰ったお菓子を頬張りながら温かくて賑やかな一時を目一杯エンジョイして。そして色とりどりのキャンディーやクッキーでいっぱいだったバスケットの底が見えた頃には、カレンダーを捲る現実に一抹のうら寂しさなんてヤツが一緒に込み上げて来るものだ。けれど今年のハロウィーンは一味違う。何だかそんなハッピーな気分にさせてくれるのは、今、俺の家のドアベルを鳴らした存在が大きい。家主を急かせる意味合いが混じった二度目のベルが鳴らされる最中、逸る気持ちを抑えてお手伝いさんが磨いてくれたピカピカの廊下に滑っ転びそうになりながら、俺は急ぎ足でドアノブに手を掛けたんだ。

「やあ、遅かったじゃないかアーサー!待ちくたびれちゃったよ。ごめんは良いから代わりにお菓子を上乗せにするんだぞ!」

ガチャリと独特な金属音を響かせて重たっくるしい頑丈な扉を開けて、真っ先に俺の目に飛び込んで来たのはまさに焦がれて止まない俺のお菓子を両手いっぱいに抱えた待ち人だった。ただ一つだけ違った事は待ち人の纏う奇天烈全開とも呼べる自らのオプションによって、焦がれる想いが跡形も無く吹き飛ばされてしまったアクシデントだった。
今思えばランタンの灯火とは明らかに違った形容仕難い白金の光がドアの隙間から漏れ出ていた事に、どうして不審に思わなかったんだろうと後悔したのは言うまでも無いかな!

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