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┗さよならのワルツ(11-15/141)
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15 :
Arthur Kirkland
11/04-23:32
完璧過ぎるのよ。完璧でなくても良いし、完璧になろうとしなくても良い。
貴方の精神はとても美しいけれど、そこまでやる必要はないし、頑張らなくて良い。
まるで本当に人のようね、だからこそこうして、話を聞きたくなるのだけれど。
貴方はいつだって満足しないわ。上へ上へ行こうとするの。周りの誰が付いて行けなくても、ひとりでも、ずっと。
出来る事はやりたいのも、出来ない事を減らしたいのも分かるわ。
だけどね、もう、雨の日に傘をさしても良いのよ。
そう言った上司の微笑みが、似ている気がして。
革手袋に隠した薬指が軋んだ幻想に囚われた。そんなはず、ないのにな。
ミルクに溶かしたチョコレートのような、どろりとした甘さに自ら沈んでは文句を言うような日々が好きなんだ。
だってそうだろう、矛盾すればするほど、ひとになれる気がしないか。
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14 :
Arthur Kirkland
10/31-17:24
今日位、帰ってきてくれても良いのにね。
そう静かに笑みを刻む横顔は、案外嫌いじゃないと思っている。
夜にパーティーを控え、みんなが騒つく昼間。
文句も言わずに紅茶で時間を潰すのは、センチメンタルな気分を先に消化してしまいたいからだろう。
かつて俺達の側にいた人の子は、この世に未練などないとでも言うように、死者が蘇るこの夜に姿を見せた事がない。
騎士も、女王も。想いを溶かした紅茶は何故だか苦い気がして、いつも言葉を探す。
カップの底に残した焦げた思いは、決して美しいだけのものではなく。
けれど確かに存在していて、愛しかった。
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13 :
Arthur Kirkland
10/27-01:17
>海、ヴァイオリン、紅茶を淹れたカップの底。
>真夜中にどうしても気になって見に行く庭の薔薇、太陽が翳る空、歌、水面。
俺の世界がアルフレッドで出来ていた頃、それを失うのが怖いと怯えた俺に、すきなものをゆびおりかぞえてごらんなさいと笑ったレディは確か、名前も知らない淡いフェアリーで。
結果として腕の中からすり抜けた子供は、元より俺のものなんかじゃなかったけど。
けど、今でも。
あの時数えたすきなものは、今でもずっと俺の腕の中に在る。
>二階建てのバス、くるくる回る電話線、コートについた丸いボタン、冷えたフローリング。
>真夜中の冷蔵庫、車、高音が割れる安物のスピーカー。
両手では足りない程に増えていくすきなもの。
ひとつひとつ数えて、生きていくのも案外悪くないと思った。
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12 :
Arthur Kirkland
10/21-01:39
プライベートは兎も角、仕事においてはパーフェクトだと思われがちな俺だが、割とそうでもない。
貴方の仕事にストイックな所、好きなんです。なんて笑ったマシューは、きっと俺の欠けた部分を分かっていて言ってくれたんだろう。あの子は正しい事だけを好きだとは言わない、それを知っていて受け入れるんだから、俺も年を食ったんだな。
理論武装に長けただけで、全体的な能力値としては随分と平均を下回っていると思う。
だがどこか突出した個所があると、そのレベルに合わせて人間性と言う物を定められてしまうんだよな。まぁ、俺達に対して人間性と言う言葉が正しいのかどうか分からねぇけど。
ぽろり、零した言葉。あの時口にしていたのが例えばセイロンだったなら、そのまま溶けて消えていたかもしれない。
お前が俺を許すから甘えちまった。罪悪感が小さな棘として心を刺しても、一度位馬鹿になってみたかったんだ。
それにしても俺はお前に対して甘いよな。これが数世紀前なら間違いなくお前の船に乗り込んでカトラスを突き付けていたに違いない。突き刺すの間違いか。
今でも変わらない。対面で持つナイフがカトラリーに変わったとしても。
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11 :
Arthur Kirkland
10/11-01:47
砕かれた骨と、閉じた皮膚。
薄っぺらい過去を指先で触れて思う。
偶像崇拝がな、嫌いなんだ。
俺達のような存在なら誰もが感じた事があるだろう。
具現化、うつくしいひと。誰よりも前へ、誰よりも上へ。
お前達と同じ姿形をしていても、俺達はまるでカミサマのような扱いをされる事がある。
まるでこの腕で全てを生み出せるような、鋼鉄の心臓を思って捧げられる祈りに、唾を吐いて立ち去りたくなる瞬間。
神など一番遠い場所にあるのに。
長く生きるだけ生きて、何も出来ず傷だらけの体で泣いた夜は数えられない。
どうして、なぜ、と。笑って済ませられる程に単純じゃない感情の構造が憎い。どうせなら、本当に作り物に生まれたなら幸せだったのか。
なぁ、俺は、いきているよ。
意地汚く這い蹲って、泥水を啜って、貪欲に生きてきた。
お前が綺麗だと言う手は弓を持ち、剣を持ち、それすら御伽噺のようだと言うのなら、銃だって構えていたさ。
優しいと言う唇で騙し、嘲笑い、砂を噛んだ。
お前が話す俺の記憶は、どうにもリアリティがない。それに気付かされる度に、お前の首を絞めてしまいたくなって、困る。
なぁ、知らないだろう?だってお前は、信じないから。
見知らぬ誰かが息衝く恐怖から解放されたいくせに、お前はまるで信じやしない。そうして重ねる舌が何枚あるのか、もう俺自身の理解を越えているのかもしれない。
なぁ、お前の中に生きる俺は、誰なんだ。
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