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┗雨によく似た涙の雫(11-15/53)
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15 :
Arthur
07/28-03:34
指先から力が抜けていく。手紙を書こうとしたその指だ。
あの頃、あのあと、どれだけ宛先のない手紙を書いただろうか。
すっかり一人で文字を綴ることだけうまくなって(上達ではなくてそれで時を過ごすことに長けただけだ)、今では、あの頃とは全く違う癖をつけてしまったようだ。
あの頃の俺はもういない、そして同じように、あの頃のお前ももう、あの場所にはいないんだろう。
不変などないと、俺たちくにはよくよく知っていたのに、それがとても寂しいのだと思わざるを得ないのだ。
>ーーー
胸が、苦しい。
>ーーー
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14 :
Arthur
07/27-05:12
>ーーー
#カナリアはどこで鳴くのか。
あいつの耳元か、遠く深い森の中か、鳥籠の中か。
鳥になれたなら、ただあいつを慰めるためだけに、鳴いて、鳴いて、死ぬまで愛されていただろうか。
>それはなんて甘美で、悲しい。
>ーーー
名前を呼ばれたかった、というと語弊が生じるだろうか。
俺の名前を、あいつのくにで呼ばれる名前で、呼ばれてみたかった。
そういう憧れを口にできなかったのは、そうでなくても十二分に特別扱いをされていた自覚があったからだ。
喧嘩しながら体を重ねたようなことも、暴力であいつを組み伏せたことも、目先の欲に駆られてベッドにもつれこんだことも、
あったような、なかったような。
>ーーー
#記憶は時がさらっていく。
お前を愛したということを覚えているのも、もはや俺ひとりきりなのかもしれない。いや、そうなのだろう。
俺がお前を記憶の隅に追いやっていたあいだのことさえも含めて、今、果たして、「俺はお前を愛していた」といえるのだろうか。
>ーーー
どうしようもなく胸が騒ぐのに、このまま、また時の波にこの心を飲み込ませてしまっていいのだろうか。
妖精たちは、ただ見守っている。
決めるのは俺、そう、俺だ。
>ーーー
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13 :
Arthur
07/26-02:47
>ーーー
あいつを探してみようかとか、どこか痕跡はないか見てみようかとか、考えては引き返すを繰り返している。
よそのくにに行っているかもしれないし、住所なんて転々とするものだからな。
伝書鳩…なんて手が、ないわけではないけれど。
そうやって悩んではまた、前に進めず後ろばかりを振り返るのだ。
>ーーー
8月に入ればまた一年は穏やかに過ごせるだろうか、今年はいつになく胸騒ぎのする年だった。
妖精たちに心配ばかりかけてしまった。
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12 :
Arthur
07/25-10:57
長く359してたせいもあって、周りに比べ俺だけ成長できていないのではないかと、思うこともある。
背が伸びた弟たち、いつの間にか仲良くなった奴ら、友達ができた末の弟。
>ーーー
変わることを恐れるのは、それこそ昔から変わらない。
お前と離れたあとでさえ、俺はなにもなかったように振る舞うことでしか、自分を保てなかった。
>ーーー
#愛していたよ。
愚かしいことに、今でも。
#お前は俺の一部だった。
だから俺は今、心が欠けたままだ。
>ーーー
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11 :
Arthur
07/25-04:46
俺はどれくらいのことを忘れたんだろう、どれくらい、お前を忘れたんだろう。
いっそお前を思い出さなきゃ、こんな。
>ーーー
お前に誕生日なんてモンがあるから、こんな思いをすることになったんだ。
…お前が、いつまでも俺の中に居続けるからだ。
いろんなことを忘れても、お前という存在は、俺の中に在り続ける。
夏がくる度、思い出すだろう。
>ーーー
暑い日だったが、温かな紅茶を飲んだ。
お前が好きだと言った茶葉だ。
少し抽出時間が長かったようだったけれど、味なんてちっともわからなかった。
テーブルの向かいに、お前の幻を見たせいで。
あぁ、また。また俺は。
>ーーー
昔、あいつの家で炭酸を勧められたことを覚えている。結局断ったが、炭酸は嫌いじゃない。
弟たちが昔、サイダーを良く飲んでいたっけな。
>ーーー
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