>>326まずは返書にこれほどまで時間を要してしまったことを詫びよう。この”遊び”を始めたのは間違いなく我々ではあったが、自身の裁量を過信していたと認めざるを得まい。己を推し量れぬなどと、失態もいいところだが…自省を認めたところで読むのも退屈であろうから、本題に移るとする。
慕情をそのままインクに溶かしたような、甘美な恋文に謝意を表する。タルトの礼はケルシーのケーキでいかがかな、フロイライン。プラムは巴旦杏とも呼ばれ、奇遇にもあなたの名に因んでいる。昔から姉上がよく焼いて下さったのだ。その味には遠く及ばずとも、オーディンでも有数のケーキ屋に用意させるとしよう。
俺は、俺自身の思想と信念に確固たる自信がある。時にあなたと衝突することもままあるが、それでも俺は変わらないし、変われない。変わりたいとも思わない。どれほど頑なであるか、今更語るべくもなかろう。……良く連れ添ってくれているものだと思う。
亀裂が入った事が無いとは言いきれず、それでも金継ぎの如く我らは丁寧にそれを埋め、ここまで共に歩んで来たのだ。その軌跡こそ賞賛に値し、我らにとって最も価値ある財産である。そして、それらより更に輝かしい存在が「未来」だ。
あなたが傍に居てくれるのならば、この宇宙を手に入れることさえ容易い。どうかこれからも共に。
Reinhard