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┗146.ネヘレニアの涙ひとつぶ(背)(33-37/42)
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33 :
黒子テツヤ
2013/10/02(水) 02:56
夜は真綿に包まれる、ふわりと浮かんだ心地がひどく、昂揚を誘う。
静かに静かに、静謐な空気を震わせないように。
染みひとつない光の水面に、波紋を落とさないように。
ひっそりと呼吸を繰り返す、夜の景色はとても静か。
一歩踏み出せば、足先を凍らせる空気が体温を殺すのに、その感覚すらも心地よく感じて、ひらいた瞼をそっと下ろす。
目を閉じると鮮明になる、小さく夜が響くおと。
道路を行き交う車のエンジン音、どこか遠く、自転車のペダルが回る。
小さな少女が泣いている、夢か現かも定かではないけれど、夜という不思議な時間が、ありとあらゆるものごとの境界を、あいまいに見せている。
瞳を閉じて感じる夜は、とても静かで、物音に溢れていて、たくさんのものが存在していて。
とてもとても、しずかにひびく。
(水底に身を横たえて、吐き出す泡が水面へと、触れる前に消えていく。)
(見える景色は、そればかり。)
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34 :黒子テツヤ
2013/10/03(木) 22:11
この時期になると自然と心が躍ります。
彼の夢の国では、この時期になると国中一面が不可思議な蔦と南瓜に覆われ、あちらを見ても、そちらを見ても、夢か現か不可思議な、境界の曖昧なものたちがふわふわと。
今年も友人たちと夢の海に行く予定ですが、今からとても楽しみです。
(橙と桑の実、鶸に梔子。)
(夜空に幾重にも浮かび上がる、南瓜のカンテラに灯りをともして練り歩く。)
(叩いた先の扉から飛び出してくるのは、はてさて甘味か悪戯か。)
本当に、心が躍る季節が近づいてきます。
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35 :黒子テツヤ
2013/10/06(日) 21:49
沢山並ぶ日記帳の中から、一冊一冊、大切に大切に読ませて頂いて、水底に届くその言葉のやさしさに、胸がしめつけられます。
大事なひとがいることの喜び、大切なひとがいる苦しみ、それでもそばにいたいとうたうひとたちの声はとても愛おしくて、胸が痛くて、ボクは膝を抱えてうずくまる。
水底でしか生きられないボクには、きらきら眩しい光の泡がとってもとってもきれいに映って、みずいろの湖面にいくつも波紋ができるのです。
日々の暮らしを色とりどりに、綴って描いて日々を残す。
見ず知らずのどなたかの、今いきている瞬間を少しでも、共有できた気持ちになる。
ここは本当にほんとうに、すてきなところです。
水底の居心地がよすぎて、なかなか抜け出すことができません。
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36 :黒子テツヤ
2013/10/14(月) 11:48
耳元で鳴り響く、かーん。かーん。
警鐘、啓示、かーん。かーん。
早く叫べと、鳴いている。
かーん。かーん。
(もういくつ寝ると、)
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37 :黒子テツヤ
2013/11/14(木) 19:19
緩く綻ぶ八重咲きの花弁が美しくて、泳ぐ足を止めました。
寒さに震えかたく凍える深緑のあいだ、ひっそりと息づくべにいろの花。
夜露に濡れる花弁に、芳しい匂いがふわりと辺りを包みます。
いじらしく、一輪だけ咲いているその姿が、とても愛おしい。
ゆっくりと、水底から指先を伸ばして。
散らさないように、きみにふれてもいいでしょうか。
(さむさがきつくなればなるほど、そのべにいろは深くなる。)
(愛しいとしい寒椿、今年も貴女の季節がやってくる。)
(さあさあ寄ってらっしゃい見てらっしゃい。)
(鳥籠の中の金糸雀が、小さな声で鳴いている。)
(狭霧の驟雨が立ち込めて、貴女の涙が水面に落ちる。)
(貴女の吐息が北風と、指を絡めてワルツを踊る。)
(裸足に触れる海原に、浮かぶ水泡が白波を立てる。)
(おどるあなたの歌声に、惹かれて今年も冬がくる。)
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