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┗1906.揚雲雀(165-168/168)

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165 :朽木白哉
2013/08/02(金)01:30:22


新たな一冊に、込み上げる懐かしさに似た何か。
恐らくは、私が知る、月の君。

何故か、…安堵を憶えた私が居る。
戻らぬ燕の羽音も遠く、形を成さぬ不安が過る日々なのに。
流れる風の薫りに誘われて覗いた綴りに兄の影を見た。此れが思い過ごしならば、無礼を詫びねば為らぬ。息災か否か、未だに兄の存在は私にとって別格なのだと識る。


愛しき燕の姿は見えず、七日目の夜とて過ごせぬ侭、時は過ぎた。其れでも、燕の帰る場所は私だと確信しているが故に、待っていられる。此の昊は燕に続いていると識っているから。
共に過ごす時には何を話そうか。けれど、零れる言葉は屹度想いを紡ぐのだろう。そして、共に休むのだろう。
傍らには私達の子ども達が寄り添って。


最早此の綴りを見る者等居らぬのだろうが、未だ此の世界に生きている証に一筆。
形を成さずとも、私は燕のモノ。
そして、燕は私のモノ。此れ迄綴った想いは変わらない。

月夜の晩には、殊更強く、燕が癒されるよう。
私の想いは、変わらず燕へと謳われる。

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166 :朽木白哉
2013/11/01(金)13:46:53

私を識る者達が息災である事を願う。

燕然り、月の君然り、
紅魚の副官や仲睦まじく在り続けている三番隊の兄も、
同じ顔の者に、可愛い義妹…

再び言葉を交わしてみたいものだ。
私が私の姿で居られる内に。

…………………

月の君。
燕は広大な空を翔ぶのが定め。長く止まり木には居られぬのが、定めなのだ。
止まり木は鳥籠には成れぬ、其れも又、定めであろう。
兄が此の文に気付くかは分からぬが、礼を、述べたい。
蝶の行く先が分からず、此の様な形になってしまったが…。
月の君、兄も健やかに。此れ迄の事、私は何一つ忘れぬ。
煌めく月を見る度、兄を想う。

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167 :朽木白哉
2022/08/08(月)00:33:55

目映い穹の蒼さに瞼を細め、髪にその蒼を移しては燕への想いを更に深める夏模様。

どれだけ想っても、言葉では表現するには難しく、漠然として、深みは果てが無い。

愛しい。
只管に、愛しい。

私の燕。
次が有ったなら、私から言の葉を紡ごうと、ずっと思っていた。

私の燕。
高い穹を舞う其方に私は視えているだろうか。

何時までも、私は其方を想っている。

此の夜を、私は、忘れない。

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168 :市丸ギン
2022/10/28(金)02:07:03

やァ…随分と、ほんまに、随分と長い時間を過ごしてはる。
此の世界の縁の薄さ、弱さ、脆さ。
そんなん仰山見てきたけど…燕クンの熱量、言うの?
六番隊長サンには無縁のモノやと、思てたんやけどなァ…。せやけど、その熱量でもって、六番隊長サンの事、繋ぎ止めてるンは、流石志波家のオトコ、とでも云うとこなんやろか。

何年目?なんて、不粋な事は云わへんよ。
六番隊長サンもキミも、永い時間を過ごしてるンやから。

ボクには縁の無い、澄み渡る穹が眩しくて。
ほんまに、ヒトの縁の面白さが面白いわ。

叶うなら、白鳥が唄うその時まで、
願わくば誰よりも近くに…ナンテ
ボクの云うセリフやあらへんのやけど。


その翼は穹を行くモンや。
そして、六番隊長サンは翼を休める止まり木。

最期には穏やかに眠れるよう、燕クンの為に、優しく葉を巡らせはるやろから。

(せやから、ボクの役目やないのに)

此の日にひとつ。
彩る花を。白の百合を。
いずれ其の時には咲き乱れているように。

そしてその隅にまたひとつ。
紫の、涙の代わりの花を。
桔梗の紫は高貴でええやろ?

ボクの金盞花は似合わん花やからやめとこ。
怒られるのはイヤやしなァ。

佳き日に、甘やかな夢を。
そう、僕が与えてあげるわ。
過去に飾られた金盞花を駄賃代わりに。



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おめでとう、海燕。

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