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┗静かの海(492-500/500)

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続きを書く場合は、新しい日記を作成してください。

これからも楽しい日々が続きますよう、お祈りしております。
[ Pure sky ]
500 :跡部景吾
2009/12/31 23:51

最後のページを書くのはいいが、読書感想文は昔から苦手だ。
巧く纏められる自信もねえし、昔話で半分埋める事にするぜ。懐かしく読んでくれ。



何がきっかけで部活外の時間を共に過ごすようになったのか。それを思い出すのは記憶に遠く難しい。
ただ、恋心より先に、ゾクゾクする様な痺れを求めてお前と話していた事だけ覚えている。
お前の無愛想な視線が蠱惑的で、不意に逸らされる瞬間が堪らなく好きだった。
共通言語の多さに惹かれた事も事実だが、不純な動機がなかったと言えば嘘になる。
ストイックな雰囲気を持つお前の輪郭を、触れるでもなく、近くで見ていたいと思った。部活の時も、プライベートも。
あれは冬の終わりだったな。

それが崩れたのは、お前の内側に触れたと感じた瞬間からだろうか。
凛とした強さと、隙間に垣間見える脆さ、その相反する性質に身体より心が惹かれた。
あの海の日、繋がったと感じたのが俺だけじゃないなら、やはりこの関係は予定調和だったのだと思う。
動き出した列車の中にいながら、駅に戻ろうと車内の最後尾へ走るような、無意味な抵抗を感じていた。
途中下車していたら、俺達は今頃どこにいたんだろうな。

自分の中にこれほどの熱情が眠っていた事が心底意外で、触れるより早く人を愛した事も初めての経験だった。
キスをしたのは、春が終わりそうな夜だったと思う。流石にこれは覚えてるだろ?
そこからはもう崩れ落ちる様に肩書きを手に入れて、隙間を埋めるように繰り返しお前を抱いた。
その過程で、会話の中で、俺は何度か泣いたと思う。お前にわざわざ伝える事はなかったが。
心臓から満ち溢れ止まらず、掻き毟りたくなり、吐き出したくなり、ただ見つめていたくもなった。
ただひたすらにお前が好きだと思った。お前さえいればもう何もいらない、と。

瞬く間に夏が終わり、秋が来て、初雪を同じ部屋から眺めた。そうしてまた出逢った季節を迎えた。


全く同じ春が二度は巡らないように、俺達が互いに抱く感情も変容してきていると思う。
恐らくはこの先も変わっていくだろう。それはもう当然のようにな。
だが、俺はきっと、四季を愛でるような感覚で「今」のお前を愛している。
過去も未来もなく、お前がそこにいるというだけで世界が満ち足りていく。

『いつか冷めてしまったら。飽きてしまったら』
そんなお前の呟きすら、心臓が潰れちまう程に俺は愛しいんだ。それがちゃんと伝わっているだろうか。
ネガティブなお前も、ダメなお前も、弱いお前も、俺にとっては等しくお前だ。変わり行くお前も。
だからいつでも俺の傍で、野暮な話を聞いて欲しい。不安になる度に問い掛ければいい。
俺がどれほどお前を愛しているのかを。
お前が恋人になってからずっと、幸福を感じない日はない。


…なんて言葉も毎晩お前に聞かせっぱなしだな。面白味に欠けるか?
それじゃ最後に。俺も「I LOVE YOU」を和訳するから、俺達のコードで聞いてくれ。




>「日吉」


(ここまで書いて思い出したが、俺が得意なのは論文だけで、レポート用紙も燃やしたくなるほど嫌いだった。
この程度じゃお前は物足りないか?…そうだな、不足分は俺のベッドで聞いてくれ)

2009.12.18    「Aについて。」  跡部 景吾

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499 :日吉若
2009/12/24 05:35

さて、いよいよ俺が書くページはこれが最後になります。
新しく日記は持たない、と言ったものの、恋人からのお強請りについに根負けしました。
というか、あれだけ筆不精なあの人に対して過酷な条件を突きつけたので、クリアの褒美としてはそこまで法外なモンでもないんでしょう。
一応、これが終わったら新しい日記も持とうと思ってます。


さて、最後のページですが、やり残していたバトンのついでに、昔話でも。

> その昔、「I LOVE YOU」を夏.目.漱.石が『月がキレイですね』と訳し、二.葉.亭.四.迷は『わたし、死んでもいいわ』と訳したと言います。さて、あなたなら「I LOVE YOU」をなんと訳しますか?もちろん「好き」や「愛してる」など直接的な表現を使わずにお願いします。


いつだったか、「月が綺麗ですね」とあの人に言った事がある。
学校から直接、いつものスポーツジムに向かう最中だっただろうか。
少し遅くなった部活の後、あの人の家の車に乗り込み見上げた月があまりにも大きく、綺麗だった夜だ。
知っているのか、知らないのか。それとも知っていて気付かないのか。
あの人がどんな態度を取るかは賭けで、ほんの少しの悪戯心からくる発言だった。
結局、あの人は気付く事もなかったし、どう反応されたのかは覚えていない。
ただ妙に赤みがかった月を見上げた後に見たあの人の横顔を、ぼんやりとだけ覚えている。


この人を好きになる、と確信めいた予感がした時に絶望的な気持ちになったのを、今でも時々思い出す事がある。
距離が縮まり始めた春、あの人は俺にこう言った。
「夏にはここにいないかもしれねえ」
まだ確定はしていないが、と話すあの人は、だから恋人は作らないのだと俺に語った。
初めて聞いた時は、物足りなくなるなと思った。それと、随分と真っ当な人だなと、そう思った。それだけだった。
遊び人のような風体をしていて、駆け引きが得意そうな様子をしていて、実は全く違っていた。
意地が悪いのだけは見た通りだったが、それでも随分と、あの人の優しさは真っ直ぐだったように思う。
他の奴には話せなかった、話さなかった事まで、いつの間にか口をついて出ていた。

太陽のような人だ、と思った。
縮まり、外套を必死に体に巻きつけるように前に進んでいた俺を、力ずくでは無しに丸裸にした。
外面、という物をいっそ馬鹿馬鹿しく思うぐらいに、あの人と過ごす時間は心地よかった。
次第に他との付き合いは疎かになっていった。
恋愛体質だったわけじゃない。恋人に求める物、友人に求める物、仲間に求める物。
それら全てが、あの人で満たされてしまったが故だ。
他の誰と話すよりも、他の誰の隣で眠るよりも、ただあの人の隣は心地よかった。離れがたいと思った。



恋人という肩書きと権利を手に入れてから、一年半近くが過ぎましたね、部長。
相も変わらず、俺にとってはアンタの傍が一番心地いい。
陳腐な言い方をしちまえば、「出逢ってしまった」んだと思う。
アンタより強い人間は他にもいる。
それでも俺が乗り越えたいと願うのがアンタ一人だけなように、アンタより何かが秀でてる人間なんて、探せばまだまだいるんでしょう。
でも、俺にとってアンタ以上の男なんざいやしない。アンタ以上に俺を幸せにしたり、魂を揺さぶる人もいない。
朝起きれば当たり前のようにアンタがいて、学校では当たり前のように先輩面をしていて、家に帰れば当たり前のように甘ったるいキスが待ってる。
当たり前を積み重ねる度に、その当たり前の稀有さを感じる。
稀有な存在が当たり前のように存在する日常を送っている今、これ以上の幸せなんざどこにあるんでしょうね。
何よりも焦がれて堪らない人が、いつも傍で俺を見ている。
欲するだけじゃなく、欲される。
今までの全てを覆すような幸せをくれたのは、アンタだった。

いつだって、アンタの名前を呼べる距離にいたい。
アンタが傍にいない時、アンタが眠っている時。聞こえないと知りながら、声には出さずに名前だけを呼んでいる時がある。
それは多分、アンタがいつだって俺の一番近くにいるからなんだ。いつも一番近くで、アンタに焦がれ続けてる。
だから部長。いつだって誰より近くに在り続けて下さい。
何をしていても、俺はいつもアンタの傍にいる。


「I LOVE YOU」を訳すのなら、やっぱりこれでしょうね。
アンタになら聞こえるでしょう?

>「跡部部長」



499の俺の時間を、アンタに。
2009.12.24 日吉若

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498 :日吉若
2009/07/18 20:34

理性では駄目だと解っていて、感情や体が暴走する事がある。

例えば風呂前や寝起き。
身支度もろくに整っていない状態で求められると、まず頭が拒否をしたがる。
頭はあくまで理性的に、こんな状態で抱かれたくないと考える。それでも、だ。
あの人の手が普段の穏やかなそれとは違う手つきで肌を這い回り出すと、次第に理性は磨耗していく。
俺の理性なんざ容易いモンだと思う。ほんの少し掌が肌の上を往復しただけであっさりと崩れていく。
嫌か、と聞かれて言葉に困るのは、理性と感情がせめぎ合うからだ。
するべきじゃないと考える理性と、あの人を欲しがる感情。
二つがぐらぐらと揺らいで、言葉に詰まる間にもあの人の手が徐々に熱を高めていく。
酷い人だ、とたまに思う。
有無を言わさず流してくれれば、自分の浅ましさを恥じる事もせずに済むのに。
あの人は、俺が欲しがるまでは理性を壊してはくれない。あくまで俺に選ばせようとする。
未だ理性が残る状態で、体の欲に陥落するのは酷く情けなくて、居た堪れない。
欲しいと認める瞬間は、羞恥心で死にたくなる程だ。
理性だけなら容易く拒否も出来るだろう。感情だけなら容易くあの人を欲しがれるだろう。
そのどちらもが俺の中に同時に存在してしまうからこそ、板挟みで酷く苦しい。
負けてしまえ、と唆すあの人の手に体が疼き始めるともう駄目だ。
どうせ最初から分が悪いんだ。
何もされなくても、感情はあの人を欲している。
理性で押し留めているだけのそれを後押しされれば、負けるのは解りきった事だろう。
あの人は、そこにそうしているだけで、ずるい。


2009.12.17編集

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497 :日吉若
2009/07/14 20:41

というわけで、18日夜、俺の実家の道場にて集会を行いました。

参加者は以下の通り(敬称略)

1部参加者(20:30~23:00)
#跡部景吾(進行)
#不二周助℃
#千石清澄(夕焼け)
#仁王雅治*
#越前リョーガ$
#乾貞治(イチズ)
#越前リョーマ(紅星)

2部参加者(23:30~26:00)
#白石蔵ノ介
#不二周助
#芥川慈郎
#手塚国光
#真田弦一郎
#千石清澄


>第一部
ドペ可予定が、蓋を開けてみれば結局ドペ無し状態に。
今回お手伝いを申し出てくれた部長と不二さんと、縁側で麦茶や花火の準備をして待機していましたが、なかなか人が来ない。
これはやはりサクラを引っ張って来るべきか、と思い始めた頃合に千石さん登場。夏らしく水羊羹を手土産に頂く。
その後、仁王さんと越前兄が連れ立って登場。手土産のカルピスから話題は妙な方向へ走り、部長はハゲ予備軍という事で話が落ち着いた。個人的に仁王さんの「グリッター」発言が忘れられない。
千石さんの水羊羹を頭に載せて耐える越前兄に対する参加者の弄りっぷりが面白かったです。
仁王さんと越前兄が帰った後、人数が減りややまったりとした雰囲気で、ハゲの余韻を引きずりつつも恋人からの影響話へ。
ここで乾さんと越前が登場。手土産にヘビ花火。幼少時に道場の仲間と遊び倒した花火の登場に内心浮つく俺が早速点火。
手伝い役の部長が俺の恋人と疑われるシーンも交えつつ、別人と説明。
終了15分前に帰ろうとする千石さんを引き止めると、可愛らしくその場に座った様子に和む。マスコット系でした。
最後、軽く挨拶をして終了。カップルが手を繋いで帰る後ろを1人歩いていく千石さんの背中が印象的な第一部でした。

>第二部
開始するも相変わらず人が来ない。これはまたサクラ(以下略)と思った所で、白石さんから突っ込みが入る。
「鍵あけた?」
………。すいませんでした。
というわけで鍵を開けると、芥川さんが登場。知り合いに多い姿のため、名乗られるまで全く誰か解らない状態になりました。
落ち着く間もなく、手塚さん、真田さんが登場。手塚さんは不二さんからかねがね話を聞いていたため、「初めてお目に掛かります」という気分に。
ここから場が徐々に妙なテンションに。花火と大砲と水とスイカ、それから焦げて半分になった帽子。1部よりもおかしなテンションでしたね。
手塚さんが予期せず俺の保護者3人目になり、真田さんは星になって帰宅。
真田さんの一言から、痴話喧嘩をした事があるのかないのかという話になり、芥川さんの豆知識、チキンスープの話へ。
線香花火の火を守りながらまったりとした会話が続き、人の妨害をする白石さんの鬱陶しさについて手塚さんと目で会話。
不二さんと芥川さんが団扇の柄や線香花火について静かに語り出し、更にまったりと夜が更ける。
花火の合間、不二さんと手塚さんの会話を意識の外へ追いやりつつ、登場した千石さんを迎えた。
あの人と俺の日記の雰囲気というか、空気が近い、とここから言われ始める。今まで言われた事もないのに、何故今日に限って言われるのかという疑問を抱く。
花火に話し掛ける千石さんに話し掛ける手塚さんに話し掛ける俺に話し掛ける千石さん、というループが完成。不二さんと俺のポジションが被り(手塚さんに話し掛けた)、相変わらず発言が被りやすいのか、と。俺と不二さんは発言がよく被る。
手塚さんと芥川さんが帰った後、俺と線香花火を寄り添わせたいらしい千石さんに対し、心優しい俺は通常の花火で応対。圧倒的な火力の差により勝利を収める。
右手と左手の花火を寄り添わせたらいい、と勧められる白石さんの孤独な姿が印象的でした。
挨拶をして終了。去り際の千石さんが可愛らしかったです。

というわけで、完走直前集会に来て下さった皆さん、有難うございました。
誰も来ないんじゃないか、と開始時間になってからも言い続けていた割には人が集まってくれたのでほっとしています。
あの人と知り合ってからは、ほとんどあの人の事しか書いていないような日記でしたが、読んでくれている人もいたんだな、と。
そして最後に、不二さん、跡部部長、白石さん。長丁場でしたが、お手伝い有難うございました。
何から何までやって貰いましたが、おかげで楽しい夜を過ごす事が出来ました。

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496 :日吉若
2009/06/09 04:46

いつまであの人の腕に抱かれていられるだろうか。
積極的に跨ってみせるだけの気概も無く羞恥心に顔を伏せ、誘い文句すら上等に扱えやしない。
好きだから欲しいと、体の奥底にまで記憶していたいと、本人に言えたらいい。
抱き締めて好きだと拙く繰り返すだけしか出来ない。熱いと訴える事は出来ても、どう触って欲しいのか口には出せない。
別に感度がいいわけじゃない。触ってるのがアンタだからだと言って、信じるだろうか。
あの人は飽きないと言う。好きだからどんな俺でもいいと言う。
その言葉に甘えて胡座を掻いて、求められるばかりじゃ駄目だろう。それは自分も未来も腐らせてしまう。
伝える言葉を惜しんではならないと、いつか確認したはずだ。
あの人を幸せにしたい。魂から寄り添って、溶け合うように幸せにしたい。
俺も求めていると、あの人を愛していると、どうやったら伝わるのか。

心に一本、折れない筋を持ちたい。けして負けないように。

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495 :日吉若
2009/06/08 01:13

ここ数日は家で勉強をする時間が増えている。
難解な問題文と睨み合いを続ける事数分、一向に次へと手の伸びない俺を見かねたのか、ソファに横たわりながら何かの書類に目を通していたあの人が後ろからプリントを奪い取った。
引っかかったのは図形問題だ。文章題は誤魔化されないものの、図形関係がどうも苦手で駄目だった。
少しの間何も言わずにそれに目を留めたあの人は、俺の手から筆記用具を奪い取ると、さらっと何事もなかったようにペン先を紙面に走らせ、やはり何事もなかったように俺にそれを押し付けてソファへ戻っていった。
手中に戻ったプリントを見れば、先刻まで取り組んでいた図形に見慣れない線が一本、やや歪んで走っている。
悪戯書きしないで下さい、と文句を言おうとして、ふと気付く。補助線だ。
とある図形に関する問いが出た時、出題された図形には書かれていない一本の線を引く事で、解決の道筋が鮮やかに見えてくる事は少なくない。
頭の固い俺には見えないものが、あの人の目にははっきりと明確な形をもって見えているらしい。
悔し紛れに憎まれ口でも叩こうか、それとも礼を言うべきかと煩悶して唇を開いては閉じる俺に、ソファに背を預けたあの人がいつものように口端を上げて、「さっさと終わらせて構えよ」と笑った。

ああやっぱり敵わないという悔しさと同時に、惚れ直したのはあの人には直接は言わないようにしておこう。
…と思ったのも束の間、結局の所ツンデレにすらなりきれない俺としては、正直にデレておいた。
何だかんだと、俺はあの人が笑う顔が好きなんだ。少しぐらい調子に乗らせてもバチはあたらないだろう。


俺があの人に敵うのは、庶民的経済観念ぐらいじゃないだろうか。
今度クレジットカードが使えないスーパーに財布を持たせておつかいに出してやりたい。
買ってくる物リストを作って、果たして全部買ってこれるのか否か。
長ネギの飛び出した袋を持って、下校中の生徒にでも見つかってしまえ。

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494 :日吉若
2009/06/04 05:17

受け取った言葉を反芻して、ここに在る意味を噛み締める。
アンタはこんなにも沢山の事を伝えてくれていたんじゃないか。
だからこそ今こうして傍にいる。それが全てだ。

俺を愛していると告げるその唇に恥じないように、劣等感に苛まれるのは止めにしよう。
俺が俺を貶める事は、アンタ自身の価値をも下げてしまう。
俺は俺以外の何にもなれないし、アンタはそんな俺を選んだ。
互いに手を取り合った。だから今がある。過去の全てを悔やむよりも強く、今を愛しめたらいい。

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493 :日吉若
2009/06/03 04:20

体の奥にじっとりとした熱が篭っている。
奪われたいと感じる事の不自然さを知りつつも、あの人の腕に抱かれれば容易く浅ましい体が陥落してしまう。
意図せず弱点に触れられる度に身を竦めれば、あの人は笑って謝罪を口にする。…または、調子に乗るかのどちらか、か。
体格がそれほど違うわけじゃない。むしろあの人の方が細身なんじゃないかと思うぐらいだ。それなのに、あの腕の力強さに酔いしれる俺がいる。
背中に腕が回る、あの瞬間が堪らなく好きだ。
首裏を通る腕の、筋肉の動きを感じる瞬間が好きだ。
胸元に鼻を寄せて、感じる汗の香りが好きだ。
少し熱を帯びた低音の、あの声が好きだ。
結局のところ俺は、いつだってあの人が欲しい。
流されている部分も多少はあるだろう。だが、俺の中にそれを欲しいという願望が存在しないのなら、けして流されはしない。
流されるのは、流されたいという願望が奥底にあるからだ。

いつだったか、出逢ってまだ間もない頃。
あの人は、俺の嘘を、「壊して欲しいように見える」と言った。
見破って欲しいがための嘘を、あの人はいつでも見つけて解き明かそうとする。時には野暮に問い掛けさえもする。
だから、これもそういう事だと早く悟ればいい。口先ばかりの拒否は、ただの戯れだと気付けばいい。
体の奥が痛むのに、それでもまだ欲しいと、強欲な俺が眠っている。

骨が軋む程に強く抱き合う、あの瞬間。
言葉になんかしなくても、あの人の気持ちが触れた肌から伝わってくる。
抱き合う目的の半分以上は、あの抱擁にあるとさえ感じるのはおかしいだろうか。
もっと近くにと、いつだって願っている。

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492 :日吉若
2009/05/27 05:08

そして過去の清算。

昔愛した相手から連絡が来たとあの人に話したのは、これが二回目だろうか。
一度目はまだ出逢って間もない頃。二度目はつい先日の事になる。
あの人の身辺でとある出来事が起こる前に連絡があった。話していいものか、悪いものか。馬鹿らしくも悩んでいた。
終わった恋の話だ。その経緯は全てをあの人に打ち明けている。その恋だけじゃなく、全てをだ。
だが、昔の恋人が俺をまだ引きずっていると聞かされて、どうなのか。話さずに全て自分で消化すべきじゃないのかと、悩んだ。そうこうする内に事件は起こり、あの人を抱き締めながら、心の一部で隠し事をしている事に耐え難い苦痛を覚えていた。

ようやく日々が落ち着きをみせ、何かの話の折りに、事実を打ち明けた。
するとあの人は、そいつが苦しんでいるなら楽にしてやれと言った。それは俺にしか出来ない事だと。
そして、一人で悩んで、相変わらずお前はネガティブでバカな奴だなと笑った。
俺の惚れた男は、やはりどこまでも大きい人だったようだ。
全てをただ垂れ流すように晒せはしない。けれど、話したいからこそ悩む事がある。悩んだ末、話す事が出来る。そして話せば受け入れられる。
自己保身と戦い、相手を信じる事が出来る。そしてその信頼をあの人は裏切らない。

この稀有な日々を得たのは、過去の時間があったからこそだ。
恨むわけがない。当たり前だろう。

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