黒子テツヤ、 キミが見えない、 と言ったらキミは怒りますか。それとも笑うでしょうか。発展途上で試合毎に強くなっていくキミが、どんどん遠くに行ってしまう様な気がして…少し怖いんです。 ボクとキミの共通点はバスケだけ、なのにそのバスケでも離れてしまったらボク達を繋ぎ止めるモノは一体何処に行ってしまうんでしょうね。――ねえ、火神君。最近アイコンタクトが減っていませんか、話をする事が少なくなってはいませんか。もしかして、ボクが居なくても平気ではないですか。 ボクに新しい光が出来たから、もうバスケを辞めるだなんて言い出したアホ峰君へも相当鬱憤が溜まっている今現在。ああ、思い出したら殴りたくて仕方無い。あの人本当に馬鹿でしょう、彼もボクの大切な存在で在る事に変わりは無いのに。 其処に火神君の何考えているんだコイツ的な状況が合わさって来ると、いよいよ御手上げですよアハハふざけるな。 火神君、火神君。 …もっとパス、回させて下さい。 キミの考えが、わからないんです。 〆 - 30 - |
黒子テツヤ、 耳を澄ませば、キミの声が聴こえました。 「行くな、黒子。離れんな。」 離れていたのはキミじゃない、…ボクの方だったんだ。余りにもキミへのパスが繋がり易くて、キミの居るコートの居心地が好いから。試合を重ねる度に理由の無い焦燥感に襲われて、自分から姿を消そうとしていた。 ボクがキミと袂を別つ覚悟を決め始めていた時に、改めて考え直させてくれたのが前の光だなんて。――こんな事って、有るんですね。彼とコートで会ったのは3年振りだけれど、ちっとも変わっていなかった。 切っても切れない縁の青峰君。話を聞いて貰えたお陰で、火神君の事をもっと理解しなければいけないと思えました。 有り難う、青峰君。 済みません、火神君。 口下手なキミの事、もっと理解しようとしないと駄目ですね。何だかんだ5年も近くに居た青峰君と違う、未だ始まったばかりのこの関係は歩み寄らないといけなかった。ボク達は未だ蕾だ、でも確かに想いは繋がっている。 キミがいいんです。 火神君。ボクはキミの隣に立ちたい。 こんなに伝えたくなったのは久し振りです。 やっぱりキミの事、好きみたいだ。 〆 - 31 - |
赤司征十郎、 何と無しにテレビを眺めていたらCMの男性が上裸だった。しなやかな身体、無駄の無い筋肉。固い胸板に、逆三角形の上肢。背景が暗いから一層引き締まって見える姿に、彼奴の姿を重ねた。…ら、何故か鼓動が速まった。 彼奴の身体は好きだ。 隣を歩く長身が少し悔しいけれど、何時も繋いで来る掌は大きくて力強い。 デカい図体をしている癖に、夜一緒に眠る時は態々抱き締めてくる。狭い。苦しい。でも仕方が無いから僕も抱き付いてあげる。…寒い日が未だ有るからな!温かいからであって! 彼奴に名前(正確には姓)を呼ばれるのが好き。無駄に謎に色気の有る声、なのに安心する。もっと、もっとと強請りたくなる。周りに誰か居ると照れ臭がって態度に出さないのに、二人の時には直ぐに腕の中に閉じ込めてきて……分かってやってる?狡いね、お前は。 隠す事の困難な想いが渦巻き、そのギラギラと静かに輝く瞳を見詰めた時に、彼奴は言った。 「赤司じゃねーとチンコも勃たねーわ、どーしてくれんだよ。」 ちょんぎってやろうか。 〆 - 32 - |
桃井さつき、 すっごくお気に入りのイヤホンについて紹介します。 これまで色々なイヤホンを使ってきたんだけど、どれもデザインにしっくり来なかったの。可愛いんだけど在り来たりというか…何だろ、だって量産品。私だけが持ってるモノじゃないんだもん。 そんな時に出会ったのがネット通販の『小鳥』(ローマ字表記)。数十箇所の部分の色をぜーんぶ自分の好きな色でカスタマイズ出来るんだ。有名なメーカーじゃないから高音質に拘る人は敬遠するかも知れないけど、普通に音質良いし私はオススメ。 何より、自分色に作れちゃうのが!もう!世界に1つだけのイヤホンなんだよ。値段も安かったし、高校生にはとっても嬉しい。 それでねそれでね、私のイヤホン。 右耳は星のマークの付いた水色。 左耳はハートのマークの付いた桃色。 これってテツ君と私みたいじゃない…!?ぜっ、ぜぜ、全然そんなつもりじゃなかったんだよ!?何回もやり直しながら色決めてたら、最終的にこのパターンが1番気に入って…! 潜在意識って怖ァい。テツ君に見られたらどうしよう。変な顔するかな、それとも笑ってくれるかな。 もう1年以上使ってるのに、全く飽きない。今度はプレゼントとして友達にあげてみようかなって。皆、可愛いって言ってくれたから。 『唯一』って良いよね。何に対しても。 〆 - 33 - |
赤司征十郎、 初めから僕達は、御互いに依存した。 「赤司っち!赤司っちー!」 煩く喚くその姿はまるで犬の様。適当にあしらってもめげずに追い掛けて来て、少し優しくすると全力で喜んで。主将として周りの部員に声を掛けると、何時も嫉妬に狂っていたね。お前、僕の友人達にも妬いて、喧嘩をして、覚えてる?でもそんなお前の想いが周りに買われていたりして、同じ学校の知らない生徒達から「二人の事応援してます」なんてファンレターを貰った時は、本当に驚いた。 お前は何時も真っ直ぐで、直球で。 頭で考えがちな僕とは正反対。理解出来なかった。だけど、心地好かった。お前は僕の全てを認めてくれて、僕の全てを愛してくれた。 上から目線で我が儘ばかりな僕の相手を、飽きもせず嫌がりもせず。喧嘩では怒ると言葉を失す僕を、「言わないと何も解ンないっスよ!」と怒鳴った事も有った。普段ヘラヘラ笑うお前の真剣な姿が、新鮮で、嬉しかった。 2年間、毎日一緒にバスケをした。 何気無い事を何でも報告し合って、試合の日には応援して。 数え切れない程言葉を交わした。 数え切れない程愛を囁き合った。 数え切れない程、キスもしたね。 思えば身体の付き合いはそんなに無い。大切にしたいから、と言ったお前の言葉。それだけでもう、抱かれている様な幸せな想いに溢れた。 僕達は近過ぎた。知り過ぎた。 だから、離れた。 高校を変えてからも、忘れる事は出来なかった。雑誌でお前が“昔の恋人が今でも好き”と言っているのを見た時は、震えたよ。何年も、何年も。僕達は新しい恋人が出来ても昔を乗り越える事は出来なくて、全てが“代わり”だった。 昨年の冬、1度だけ約束をして逢った。 僕を見るなり強く抱き締めるお前は、少し大人びてまた格好良くなっていた。馬鹿、少し、緊張をした。 でも「好き!」なんてお前が何の躊躇いも無く言うものだから、つい僕も―――…。 先日、お前は漸く本気になれている僕の新しい恋を応援…ではないけれど、認めてくれたね。 それは安堵と共に、少しの寂しさ。 恋愛には多分、きっともうならないだろう。 誰よりも愛しているこの気持ちは家族愛。大切で、愛おしくて、永続的な感情。人間として深い情を注いでいる。 傍に居ても言葉は交わさない。見守るだけ。その奇妙な距離感は、数年掛けて築き上げた僕達の新しい形。でもこれで良いんだ、これが良いんだ。ねえ、そうだろう? 少し前まではね、思い出の中のお前は哀しんでいた。 だけど今、笑っているんだ。 僕が好きだった、太陽の様な笑顔。 相変わらず人懐っこく僕を呼んでくれている。 お前は幸せになるべき人間。 だから、誰よりもこの1年間笑うんだよ。 また新しいお前の始まり。 特別な日が終わる1分前に魔法を掛けてあげる。 『誕生日おめでとう、涼太…!』 最大の理解者、大切な存在へ。 〆 - special - |